【食物アレルギーの診断】
| Q14 |
食物アレルギーの診断では、何をはっきりとさせる必要があるのですか? |
| A14 |
食物アレルギーの正確な診断は、治療方針を立てる上での基礎になります。
食物アレルギーの診断の要点は、次の5つに整理する事ができます。
| (1)食物アレルギー関与の診断 |
今の症状が食物アレルギーに基づくものか否かの診断 |
| (2)食物抗原の特定 |
何が食物アレルギーの原因抗原なのかについての診断 |
| (3)症状の種類・程度の予測 |
どのような症状の出現が予測されるのかについての診断 |
| (4)症状の出現経過の予測 |
症状はどのような経過で出現する事が予測されるのかについての診断 |
| (5)耐性獲得の確認 |
食物抗原と考えられていた食物に対して、耐性獲得が成立していないかの診断 |
食物アレルギーの診断をする時には、過剰診断・過小診断を避けるために、慎重に診断を進める必要があります。
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| Q15 |
食物アレルギーの診断は、どのように進めていくのですか? |
| A15 |
食物アレルギーの診断は、子どもさんの年齢や症状に応じて、子どもさんやご家族の負担の少ない診断方法から、順 次進めていきます。
食物アレルギーの診断の進め方を、次の3つの段階に整理します。
| StepI |
(1)現病歴 |
(発症時のエピソードや症状の種類から、原因を推察する) |
| (2)既往歴 |
(以前に経験した症状や、その状況から、原因を推察する) |
| (3)食生活状況 |
(好きな献立・嫌いな献立・お菓子の与え方などの食生活習慣から、原因を推察する) |
| (4)診察 |
(症状の観察や診察の結果から、原因を推察する)
診断をする上で、子どもさんの症状についての聞き取りが中心になります。 お母さんのていねいな観察記録が必要です。 |
| StepII |
(1)血液検査 |
(IgE値・食物関連特異的IgE値・好酸球数・好塩基球数・IgA値・ヒスタミン遊離試験) |
| (2)便検査 |
(便中IgE値・好酸球数・便細菌培養・便真菌培養) |
| (3)皮膚テスト |
(皮内テスト・プリックテスト・スクラッチテスト・パッチテスト) |
| StepIII |
(1)食物除去試験 |
| (2)食物負荷試験 「診断のための食物負荷試験」 |
| (3)食物生活日誌 |
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| Q16 |
食物アレルギーの診断について、もう少し詳しく教えてください。 |
| A16 |
食物アレルギーの診断は、食物抗原の摂取から、症状が出現するまでの時間で分類すると、理解しやすくなります。
ここでは食物アレルギーを、即時型・非即時型の2つのタイプに分けて説明します。
I:即時型食物アレルギー
蕁麻疹・喉頭浮腫・気管支喘息発作・食物アナフィラキシーショックなどの、即時型食物アレルギーを診断するためには、アレルギー症状発症時のエピソードの聴取・血液検査
(IgE抗体・食物関連特異的IgE抗体・ヒスタミン遊離試験)・皮膚テストが用いられます。
即時型食物アレルギーは、原因食物抗原の摂取から、症状が出現するまでの時間が短いために、聴取したエピソードから比較的容易に、原因抗原を類推する事ができます。
また、食物関連特異的IgE抗体など、即時型アレルギーを診断するための血液検査も、診断に有用です。
しかし、食物アナフィラキシーショックの出現を避けるために、即時型食物アレルギーを診断する目的で、「診断 のための食物負荷試験」を実施する機会は、多くありません。
II:非即時型食物アレルギー
アトピー性皮膚炎に代表される、非即時型食物アレルギーを診断する事は、容易ではありません。
血液検査として、IgE抗体・食物関連特異的IgE抗体(CAP-RAST値など)を検査する事が普及しています。 しかし、IgE抗体・食物関連特異的IgE抗体の検査は、本来即時型アレルギー反応を調べる検査法です。
そのため、検査結果と、食物除去負荷試験に基づいて診断された非即時型食物アレルギーとの間の相関は、必ずしも良好ではありません。 ある食物を摂取すると、アトピー性皮膚炎が悪化するなど、明らかに食物抗原とアトピー性皮膚炎の関連性が確認されている子どもさんでも、IgE抗体・食物関連特異的IgE抗体が陽性を示さない。
反対に、IgE抗体・食物関連特異的IgE抗体が高値を示すのに、アトピー性皮膚炎の症状がみられない。こういった子どもたちは、稀ではありません。
非即時型食物アレルギーを診断する血液検査として、リンパ球幼弱化反応などがありますが、採血量の多さや検査料の高さなどの理由で普及していません。
アトピー性皮膚炎などの、非即時型食物アレルギーを診断するために、現在のところ食物除去負荷試験が、もっとも正確な方法だと考えられています。
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| Q17 |
食物除去試験は、どのように進めるのですか? |
| A17 |
食物除去試験は、原因と考えられる食物抗原を、微量な混入まで避けた上で一定期間過ごし、アレルギー症状が改善するかどうかを調べる試験です。
そのためには、お母さんの注意力と根気に加え、栄養士さんの専門的な指導が必要です。
しかし、食物アレルギーの診断を、食物除去試験によるアトピー性皮膚炎の皮膚症状の変化という指標だけに頼る事は、診断上の不十分さを残します。なぜなら、アトピー性皮膚炎の治療は、食物除去試験と平行して、スキンケア・環境整備などの生活指導を同時に行われる事が多く、
アトピー性皮膚炎が軽快したとしても、生活指導が効を奏した結果であり、食物アレルギーは関与していない場合があるからです。
また、当初は食物アレルギーが関与していた子どもさんでも、年齢が大きくなるに伴い、食物耐性を獲得してくる場合が一般的です。
これらの診断上の不十分さを解消するためには、診断のための食物負荷試験を実施する必要があります。 しかし、食物除去試験を行う事により、身体の過敏性が亢進し、非即時型アレルギー反応が、即時型アレルギー反応に移行する事も稀ではありません。その結果、食物アナフィラキシーショックが出現する危険性もあります。
食物負荷試験は、救急時の対応が可能な医療機関で行う必要があります。
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| Q18 |
食物生活日誌をつける目的は、何ですか? |
| A18 |
食物生活日誌は、お母さんの観察記録を、子どもさんの食物アレルギーの診断に役立てようとするものです。食物生活日誌を記録してもらう中で、次の事がわかります。
(1)微量な食物抗原の混入にまで注意して、除去されているかの確認
(2)除去食療法の効果判定
(3)予測した食物抗原以外の食物抗原の発見
(4)栄養摂取状態の把握
(5)食生活パターンの把握
(6)生活リズムの把握 |
食物生活日誌は、食生活の記録だけでなく、遊びや生活リズムを記録する事で、
症状の変化の原因を推察し、食物アレルギーの診断を過誤なく行うために鍵となる記録だと考えます。
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| Q19 |
食物生活日誌をつける上で、注意する点を教えてください。 |
| A19 |
食物生活日誌をつける上での注意点を説明します。
I:食物面では、
(1)食事時間を記載する。
(2)子どもさんが口にしたすべての飲食物を記載する。
(3)母乳を与えているお母さんであれば、お母さんが口にしたすべての飲食物を記載する。
(4)加工食品を口にした場合は、加工食品に表示されている成分名を記載する。
(5)使用した調味料も記載する。
(6)魚の場合、天然もの・養殖ものの区別、抱卵の有無についても記載する。
II:生活面では、
(7)起床時間・就寝時間を記載する。
(8)入浴時間・着替えの時間・スキンケアを行った時間を記載する。
(9)外遊び・外出の時間・出かけた場所を記載する。
(10)その日の子どもさんの体調(熱・咳・排便・食欲など)を記載する。
(11)天候についても記載する。
III:症状面では、
(12)皮膚症状(湿潤している部位・発赤している部位・乾燥の強い部位・かゆみの強い部位)を図に記載する。
(13)皮膚以外の症状についても、時間を追って記載する。
(14)症状の変化と原因と考えられる事について、自由に記載する。
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文責:小児科 木村彰宏/いたやどクリニック小児科
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