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文章を読む際,ただ漫然と読むのではなく,図解を作成しながら読むと理解が深まります。また,何となく読んでいただけではつかめなかった語句の関連性がより明確につかめるようになったり,筆者の意見に対する自分の考えが発見できたりします。ここでは,図解ワールドトップページで学んだ内容を発展させながら,Microsoft PowerPointで図解を作成しながら文章を読み解く過程を学習しましょう。
これは,久恒先生が著書のなかで「図読」と読んでいるもののバリエーションです。
養老孟司氏の講演「情報技術の進歩と人間のコミュニケーション」(asahi.com)を題材にしましょう。第3段落までを1つのまとまりと考えて図解します。
コンピューターと人間の脳は意外と似ている。人間が考えることを脳がどう可能にしているのか,そのメカニズムはまだ分からないが,それをある意味できちんと論理化して作ったのがコンピューターだといっていい。
われわれの意識と無意識は氷山にたとえるなら,水面の上が意識で,自分で分かっている部分。その下には自分で読めない大きな部分がある。これが無意識。体といってもいい。氷山の一角である意識が作り出してきたのがコンピューターであり,コミュニケーションは氷山の水面から出た部分同士,意識をつなぐ道具だといえる。しかし,無意識をつなぐ言外のコミュニケーションというのもある。隣に座っている見知らぬ人の手は普通は握らない。こういうコミュニケーションは抑制して外には出さない。
意識同士をつないでいるのが言葉であり,情報といっている。現代社会では水面上の部分だけが見えていて,基本的には上だけで動いている。脳と脳を情報でつないでいくのが,私のIT社会のイメージだが,その時非常に多くの部分が切り落とされていることをそれこそ意識しておく必要がある。
養老孟司「情報技術の進歩と人間のコミュニケーション」(http://www.asahi.com/sympo/BB2004/より引用)
それでは図解に着手しましょう。まずは基本を確認しておきます。キーワードを四角で表し,キーワード相互の関係を矢印で表現するのでしたね。
第1段落を読むと,「コンピューター」と「人間の脳」が「似ている」とあります。「コンピューター」「人間の脳」がキーワード,「似ている」が関係です。「似ている」はさらに「論理化」と言い換えられています。これを図解すると以下のようになります。
この図ではテキストボックスを用いて,コネクタに「論理化」という文字列を加えています。[図形描画]ツールバーの[テキストボックス]ボタンをクリックし,文字を入力してから中央揃えにし,横幅を調整します(テキストボックスの場合,縦は文字サイズに応じて自動的に設定されます)。
位置合わせについてですが,垂直方向はドラッグ,またはカーソルキーを使って行います。文字ができるだけ矢印に接近するようにしましょう。水平方向については,「人間の脳」「コンピューター」の四角形との関係を考える必要があるので,コマンドを使って調整します。以下を参考に整列してください。
それでは第2段落に進みましょう。ここにはまず,「意識」と「無意識」というキーワードが出てきます。これらはすでに出ている「脳」とどのように関係するのでしょうか。後続部分を見ると,無意識について「体といってもいい」とあります。「無意識(=体)」だとすると,「意識(=脳)」ということも言えそうです。このように,筆者が必ずしも明確に言い換えていないものについても,図解しようと考えて読むとより明確に関係をとらえることができます。
また,意識と無意識の大きさの違いにも注意しましょう。これについては「その下には自分で読めない大きな部分がある。これが無意識」とあるので,意識よりも無意識のほうを大きく描きます。さらに,「下」にも注目するとよいですね。以上をまとめると,図解は以下のように変更するのがよいでしょう。
まずは「人間の脳」を「意識(=脳)」に修正し,「コンピューター」との位置関係を変更します。コネクタの吸着位置を変更し,「論理化」のテキストボックスも移動します(必要に応じて,[上下に整列]しましょう)。続いて,「意識(=脳)」の四角形をコピーしてサイズを変更し,これの文字列を「無意識(=体)」とします。
さらに第2段落の図解を進めます。「氷山の一角である意識が作り出してきたのがコンピューターであり」はすでにここまでの図解で表現できていますね。続く「コミュニケーションは氷山の水面から出た部分同士,意識をつなぐ道具だといえる」はどう表現すればよいでしょうか。「つなぐ」ためには要素が2つ必要ですね。そこで,これまでに作成した要素すべてをコピーして左右に配置しましょう。全体を選択して(全体を囲むようにドラッグします)コピーします。左右対称のほうが見た目がよいので,「論理化」のテキストボックスはそれぞれ矢印の外側に来るようにしましょう。
それでは2つの「意識」をコネクタで「つなぎ」ます。双方向性を表すには矢印2本を組み合わせることが多いのですが,コネクタを使うので両矢の矢印にします。さらに後ろを見ると「無意識をつなぐ」というのもあるので,設定をすませたコネクタをコピーして,吸着箇所を調整します。
こうして追加した2本のコネクタに文字列を加えることにしましょう。やはりテキストボックスを使います。ここで考えるべきは,どんな文字列を加えればよいかです。本文では,意識をつなぐのが「コミュニケーション」,無意識をつなぐのが「言外のコミュニケーション」とありますが,これでは少し長すぎますね。「コミュニケーション」は日本語の「伝達」に言い換えてしまったほうがよいのではないでしょうか。このような場合,類語辞典やカタカナ語辞典を使うとよいでしょう。このように取り組むことで,語彙力をつけることもできます。
また,第3段落を見ると,「意識同士をつないでいるのが言葉であり,情報といっている」とあるので,意識どうしを「言語・情報伝達」でつなぐことにしましょう。となると,無意識どうしは「非言語伝達」でつなぐのがよいかな,と判断できます。ここまでの作業で,以下の図解ができているはずです。
この図解を見て,何か気づくことはないでしょうか。「コンピューター」どうしをつなぐことはできないか,ということです。このように,図解しながら文章の内容を整理していくことで,筆者が明確に述べていない,暗黙の部分にも目が行くようになります。図解の大きな効果ですね。
コンピューターとコンピューターをつないでいるのが,現代の情報通信技術です。第3段落にも「脳と脳を情報でつないでいくのが,私のIT社会のイメージ」とあり,第1段落で述べられている,脳とコンピューターとの関係を考えあわせても,コンピューターどうしのつながりを「情報通信」と表現するのは適切であるようです。これを加えると,以下の図になります。おおむね完成に近づいていると言ってよいでしょう。
いよいよ仕上げの段階に入っていきます。もう1度第1段落から読んでみると,無意識について,「自分で読めない大きな部分」「こういうコミュニケーションは抑制して外には出さない」「非常に多くの部分が切り落とされている」といったように,「見えない」という意味のことを言っているのがわかります。そこで,この無意識の「見えにくさ」を表現してみることにしましょう。無意識の部分を覆うように四角を描いて,その下にうっすらと(しかし判読可能であるように)無意識の部分が見える,という表現をするのはどうでしょうか。こういったイメージです。
まずは四角を描き,サイズと位置を調整します。続いて,新しく描いた四角をダブルクリックして,「オートシェイプの書式設定」ダイアログボックスを表示します。
見本の図の場合,塗りつぶしの色を「25%灰色」,透過性を「60%」に設定してあります。この透過性の設定によって,下にある図形が透けて見えるわけです。また,線の色を「線なし」にすることで,この四角の周囲を囲む線を消してあります。
最後の仕上げをしましょう。第3段落の「脳と脳を情報でつないでいくのが,私のIT社会のイメージ」を表現します。IT社会という言葉から判断して,意識とコンピューターの部分を四角で囲って「IT社会」というテキストボックスを加えればよいでしょう。四角は塗りつぶしをなしに設定して枠だけを残します。完成イメージは以下のとおりです。
第4段落以降の図解作成の指導を希望される方には,お申込により「図解作成入門ゼミ」として有料指導を行います。第4段落以降を以下の3つに分け,それぞれ1点ずつの図解を作成する指導を行います。
図解はMicrosoft Officeの描画機能を用いて作成していただきます。PowerPointでの作成を基本としますが,お持ちでない場合にはWordでも可とします。
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