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大学院入試英語の実際

大学院入試英語問題の一節をとりあげ,読解・和訳のための解説を加えていきます。大学院入試レベルの英語力を身につける一助となれば幸いです。

なお,英文を読みこなすためのヒントや考え方については,院試塾サイトのコラムや「考える生活」の「英語力」もあわせてご覧ください。また,院試塾では大学院入試英語講座として「総合通信指導コース」「短期添削コース」「英語質疑応答ゼミ」等の講座を用意しております。

特別記事「大学院入試英語対策の基礎知識

はじめに

今月は,これから大学院入試に向けて英語の勉強を始めようという方に,大学院入試英語の概要について解説したいと思います。さらに詳しい情報については,ニューズレターの過去記事もあわせてご覧ください。なお,紹介した本については,Amazon.co.jpの該当ページにリンクしておりますので,あわせてご利用ください。

大学院入試英語のレベルと内容

大学院入試英語問題は,基本的に専門文献から出題されます(一部,主に文学・人文科学研究科などで,文学作品や時事英語が出題される場合もあります)。出題対象となる選抜単位によって,どの程度専門的な内容が出題されるかには違いが出てきますが,概説書レベルの英文が比較的多いということは言えるでしょう。また,踏み込んだ専門知識に立ち入ることはあまり多くありません。

英語そのもののレベルは,大学教養〜専門外国書講読のレベルです。大学の一般外国語だけしかふれていない,という人には少し難しいかもしれません。大学入試の英語で苦労した,という人は,かなり気合いを入れて勉強する必要があります。

どう勉強すればよいか

文法・構文

まずは基本的な文法・構文がしっかり身についていることが大切です。いくら専門知識から類推がきくとはいっても,文の基本的な構造がわからなければ読みこなすのは不可能です。

こうした知識にあまり自身がない人は,大学入試用の英文解釈(長文読解ではなく)用の参考書から始めるのがよいでしょう。たとえば,『基礎英文解釈の技術100』あたりがよいのではないでしょうか。必ず自分で訳文をノートなどに書き,解答例・解説と照らし合わせながら修正していくようにしてください。また,『英文法総覧』や『英文法解説』などの文法書を参照しながら文章を読むのも効果的です。ただし,文法書はそもそも利用するうえである程度の文法知識が必要となるので,まずは基本的な文法を理解する必要があります。

文法アレルギーの人は『ネイティブスピーカーの英文法』や『英語の言語感覚—ルイちゃんの英文法』から入るのがよいかもしれません。いずれの本も,文法事項を直観的に理解できるよう解説しています。

院試塾では,「総合通信指導コース根底科」として,基本的な文法・構文を短い文の和訳問題で学習する講座を開設しています。

語彙力と辞書

大学院入試英語の場合,いわゆる単語集を用いた学習はあまり効果的とは言えません。大学入試用の単語集はいろいろありますが,語彙項目や掲載されている意味が大学院入試で必要なものと異なっているなどの問題点があります。また,こうした単語集の訳語を用いて訳しても,うまく意味がとらえられない場合も多いのです。

分野に関係なく,学問的な英語で必要な基本的語彙を習得するには,辞書をしっかりと活用することが大切です。訳語を機械的に探すのではなく,どのような用法で用いられているのかなどにも注意しながら,例文も含めてじっくり吟味するのがよいでしょう。英文を読みながら,出てきた未知の単語をしっかりチェックし,一つ一つ丹念に覚えていきましょう。

さて,どんな辞書を使うかですが,大学入試まで使っていた学習用辞典はあまりお薦めできません。語彙数が少ないのと,訳語が十分ではない点が問題です。用法記述と収録語数のバランスを考えると,いちばんよいのが『小学館プログレッシブ英和中辞典』です。収録語数と訳語の豊富さで選ぶなら『リーダーズ英和辞典』もよいですね。

専門的な語彙力をつけるには,たとえば英語で書かれた概説書のGlossaryを利用するのがよいでしょう。また,多くの分野では英文の専門用語辞典も出版されているので,これを利用してもよいですね。専門試験の用語解説対策にもなるでしょう。

院試塾では,語彙力増強用キット「Vocabulary Weekly【有料版】」を毎週配信しています。

実践演習

ある程度の実力がついたら,実践演習を行う必要があります。できれば過去の問題を入手して解いてみるのがよいでしょう。最初のうちは,模擬試験的に取り組むのではなく,時間もたっぷりかけ,辞書や文法書も活用しながら解くのがよいでしょう。

院試塾では,受講生が入手した過去問題で指導を行う「院試英語フリープラン」や,総合的な演習を行う「総合通信指導コース」,さらに集中的に答案演習を行う「短期添削コース」などを設置しています。

2002年3月分

問題文

Few people would argue that the quality of teaching and learning on college campuses is diminishing. Recently, a concerned group of educators was asked by the National Institute of Education to report on an agenda that would give directions for improvements in instruction in higher education. Their report, "Involvement in Learning," cites two major problems: passive students and dull teachers.

解説

これは複数段落の和訳問題から抜き出した最初の1段落です。最初のポイントは1行目のFew people would argue …wouldの用法です。全体の文脈は現在であることをまず確認する必要があります。特に,第1文のthat節内の述語動詞がisとなっている点に注意するとよいでしょう。このように,現在の文脈で過去形の助動詞が登場する場合,多くは「仮定法」だと考えられます。この文についても,基本的にはこの線で考えていくとよいでしょう。

過去形の助動詞が仮定法であると判断したら,次に問題となるのが「仮定条件」を探すことです。典型的な仮定法の文では仮定条件がifで示されるのですが,実際にはこのような形をとる文はむしろ少数派に属すると考えなければなりません。仮定条件がif節として明示されない文では,他の形式で表されていないか,文脈から判断できないかを考えていきます。この文の場合には「もし主張することがあったとして」といった仮定条件を考えるとよいでしょう。もっとも,これは仮定条件としてはあまり意味のないものであり,このような場合にはむしろ「婉曲的推量」,つまりwillの意味が弱くなったものと考えるのが普通です。

続いて問題となるのがa concerned group of educators was askedの部分です。まず,述語動詞が単数のwasである点に注意しましょう。ここから考えて主語の中心はgroupであると判断できます。つまり,依頼されたのは個々の教師ではなく集団のほうであるわけです。また,askの意味・用法にも注意しましょう。3行目にto reportto不定詞が登場しているので,元の形はaskto Vであることがわかります。つまりこのaskは「尋ねる」ではなく「依頼する」だと判断することになります。

5行目のinvolvementは注意すべき語です。involveというとすぐに「巻き込む」だと考えがちですが,この訳語は実際にはほとんど役に立ちません。この語の基本的意味は「必要不可欠なものとして含む」で,これと並んで「参加させる」があります。この文の場合には後者を採用するとよいでしょう。

解答例

大学での教育・学習の質が低下しつつあることについて,異議を唱える者はほとんどいないだろう。最近,国立教育研究所がこの問題を心配する教師の集団に,高等教育における教育内容を改善するための指針となる議題について報告するよう求めた。その報告書「学習への参加」では,受動的な学生とつまらない教師という2つの主要な問題点が挙げられている。

2002年4月分

問題文

Human communication is much broader than the exchange of words in discrete messages with silences between them. My premise is that communication is a continuous multisensory process. In this view, words occur in and are important in a natural and interdependent environment. The entire body provides them with that environment through personal appearance, gestures, posture, and paralanguage ("tone" and pattern of voice) as well as other activities of the total sensorium.

解説

今回は人間科学系の入試問題です。キーワードはcommunicationですね。カタカナを用いて「コミュニケーション」と表記する場合もありますが,基本的には「伝達」と考えるのがよいでしょう。まずは1行目のmuch broadermuchの用法に注意が必要です。比較級にmuch / farをつけると「差の強調」となり,和訳としては「ずっと〜」となります。また,ここから文脈を読みとることも大切です。筆者はthe exchange of words in …だけがhuman communicationであるという狭い見方を否定しているわけです。さらに,the exchange …以下の解釈は,できる限り具体的に考える必要があります。この際のキーワードはdiscretemessageですね。discreteは英和辞典を見ると「不連続の」「別個の」といった訳語が出てきますが,何となくピンとこないのではないでしょうか。「一つ一つが切れていて,はっきり異なっている」と理解するとわかりやすいでしょう。またmessageを単に「メッセージ」としたのでは,そこで思考が止まってしまいます。基本的には「伝えられる内容」と理解するのがよいでしょう。続くwith silences between themwith+O+Cの構文になっており,「OがCである状態を伴って」と理解するのが基本です。実はこれがdiscreteの内容を補強している点を確認すると,全体の意味がつかみやすくなるでしょう。

第2文は構造的に難しいところはないでしょう。continuousdiscreteと対義になっていることと,multisensorysilenceとの関連で,「聴覚だけではなくさまざまな感覚の」となる点に注意するとよいですね。

続いて第3文です。まず,[S]words [V1]occur in (and) [V2]are important in [X]a natural and interdependent environmentという構造を的確にとらえましょう。また,interdependentmultisensoryとの関連で考えるのがよいでしょう。

第4文ではまずThe entire bodyの意味するところをきちんと確認しておく必要があります。もちろん,前出のmultisensoryとの関連で考えなければなりません。また,themwordsを指している点,that environmentが前出のa natural and interdependent environmentを指している点を確認しておきましょう。なお,B as well as Aは「AだけでなくBも」という意味で,意味的にBのほうがより重要である点も確認しておく必要がありますね。

解答例

人間の伝達行動は,沈黙をはさみながら言葉をやりとりして個々の伝達内容を伝えるだけではなく,これよりずっと広範囲にわたるものである。私がここで主張したいのは,伝達というのは絶えず複数の感覚を働かせながら行うものである,ということだ。この見方をとると,言葉はありのままで相互に依存しあう環境において生じるもので,またその中で重要性を持っている,ということになる。体全体で,それぞれの人間の外見,身振り手振り,身の構え,(声の調子や決まった型などの)パラ言語,さらにはあらゆる感覚でとらえられる活動を通じて,言葉にこの環境を与えるのである。

2002年5月分

問題文

The term "political community" shall apply to a community whose social action is aimed at subordinating to orderly domination by the participants a "territory" and the conduct of the persons within it, through readiness to resort to physical force, including normally force of arms. The territory must at any time be in some ways determinable, but it need not be constant or definitely limited. The persons are those who are in the territory either permanently or temporarily. Also, the aim of the participants may be to acquire additional territory for themselves.

解説

今回の問題は,国際関係分野からです。用語の定義を行い,そこに登場する概念を順に説明していくという,用語を中心に展開する英文の典型的なパターンになっています。

まずは1行目のshallから確認していきましょう。主語が2,3人称であるshallは「話し手の意志」を表す場合が多く,この場合もこれに該当します。つまりこの文は,"political community" という用語をここではこういう意味で使っていきますよ,という内容になるわけです。

また,subordinating …以下の部分では,目的語が長くなっているために文末に回っている点を確認しておく必要があります。具体的に言うと,[V]subordinating [M]to orderly domination by the participants [O]a "territory" …という構造になっています。

さらに,readiness to resort to physical forceの部分については,名詞化構文の読みほどきが重要です。readinessを元の形容詞readyに戻してready to resortと読みかえるわけです。ready to Vの訳についても,十分な検討が必要です。

続いて問題となるのは第2文後半のbe constant or definitely limitedの部分です。論理的に考えればまったく問題ないのですが,be constant or definitely limitedという構造になっている点を,文法に沿ってきちんと確認しておきましょう。

第3文ではthose who …に注意しましょう。これで「…である人々」となります。また, … are in the territory either permanently or temporarilyについては,直訳ではなくわかりやすい訳を作るようにしなければなりません。

解答例

「政治共同体」という用語を,通常武力を含む実力行使も辞さないという姿勢によって,「領土」と領土内の人々の行動を秩序を維持しながら支配していくことを目的として,統治者が社会的行動をとる共同体について用いることにする。領土はいかなる場合にも何らかの形で確定できなければならないが,その範囲が常に不変かつ明確に限定されている必要はない。領土内の人々とは,その共同体の領土に永住ないしは一時滞在している人のことである。さらに,統治者が自らのために領地をさらに拡大したいという目的を持つ場合もある。

2002年6月分

問題文

First of all we should note that the scientific method is cyclical in nature: it starts with facts, progresses through theories and predictions, and establishes new facts that form the end of one cycle and the beginning of the next. We may define a fact as an observation that has been made (or could be made) repeatedly and consistently by different observers.

解説

今回の英文は研究の方法論を述べたものです。このような抽象的な英文については,述べられている内容を十分理解しながら訳出していくことが大切です。

まずはcyclicalの意味内容を正しく把握する必要があります。コロン以降が説明になっているので,その部分と関連づけて考えなければなりません。特に注目すべきはthe end of one cycle / the beginning of the nextですね。cycle / cyclicalという派生関係に注目するわけです。cyclicalは辞書を引くと「周期的な」「循環的な」といった訳語が見つかりますが,これではあまりわかったとは言えないでしょう。

コロン以下では並列の構造に注意が必要です。[S]it [V+X1]starts with facts, [V+X2]progresses through theories and predictions, and [V+X3]establishes new facts ...という構造になっており,主語のitは3つのV+Xに対して共通となっています。あわせて,thatが導く関係代名詞節の構造が[S]that [V]form [O1]the end of one cycle and [O2]beginning of the nextとなっている点も確認しておきましょう。さらに,one cyclethe next (cycle)の対比による省略にも注意が必要です。

第2文ではまず助動詞mayの意味を確認しておきましょう。これは「〜して差し支えない」を基本に考えていきます。また,an observationにも注意が必要です。observationは動詞observeの名詞形ですが,このような名詞形が可 算名詞として用いられる場合には「結果」の読みになることが多く,この場合もこれに該当します。「観察すること」は「行為」の読みで,これでは「事実」に相当しない点に注意が必要です。

解答例

まず注意しておかなければならないのが,科学の方法はそもそも同じことを周期的に繰り返す段階を経ていくものだということだ。つまり,まず事実から出発し,理論と予測を立てながら進んでいき,新たな事実を立証し,これがひとつの周期の終わりであるとともに次の周期の始まりとなる。事実とは,観察する人が違っても繰り返し一貫して得られている(ないしは得られる可能性のある)観察結果であると言えるだろう。

2002年7月分

All languages change all the time. It is not very well understood why this is the case, but it is a universal characteristic of human languages. The only languages which do not change are those, like Latin, which nobody speaks. Languages change their pronunciations through time. Five hundred years ago, all English speakers used to pronounce the k in knee—now nobody does. Grammatical structures also change. English speakers used to say Saw you my son? Now everybody says Did you see my son? But perhaps the most obvious way in which languages change is in the usage and meaning of words.

解説

言語学からの出題です。と言っても,言語のきわめて基本的な特徴を扱ったものなので,文学/人文科学系研究科の共通出題となる可能性もあるでしょう。

まず,第2文の2つのitに注意する必要があります。1つ目のitは形式主語で,間接疑問文であるwhy ...の節を承けています。2つ目のitは通常の人称代名詞で,第1文の内容全体を承けています。また,be the caseの意味「そうである」にも注意が必要ですね。

第3文ではthose ... which nobody speaksの解釈が重要です。例としてラテン語が出てきている点を確認しておくとよいでしょう。nobody speaksを単に「誰も話さない」とするだけでは,なぜラテン語が例として出ているのかがあまりわかっていないと思われてもしかたないでしょう。speaksの現在形を過去との対比でとらえることが大切です。テーマが「言語変化」である点もあわせて考えるとよいでしょう。

続いて問題となるのは最後の文でしょう。in whichの部分の前置詞+関係代名詞の解釈が苦手な人が多いのですが,わかりにくい場合には元の形に戻して考える習慣をつけましょう。languages change in the way「言語はそのように変化する」が元になります。また,この文は構造が一通りわかってもなかなか訳しづらい部分があるので,自分が作っている訳文を少しずつ確認しながら,意味をじっくり考えて訳出することが大切です。

解答例

どの言語も常に変化している。なぜそうなのかはあまりよくわかっていないが,変化は人間言語に普遍的に見られる特徴である。変化しないのは,たとえばラテン語のように,誰も話さなくなった言語だけである。言語は時間がたつとともに発音が変化する。500年前には,英語の話者なら誰でもkneekを発音していたが,今ではこういう発音をする人はいない。文法構造も変化する。以前,英語の話者はSaw you my son?と言っていたが,今ではDid you see my son?"と言う。しかし,言語が変わっているのがいちばんはっきりわかるのが,語の用法と意味である。

2002年8月分

There are many consequences to the type of scientific change that Kuhn (1970) has described. The embracing of a paradigm means the redefinition of what is scientific and a redetermination of what is the proper study of that particular branch of science in which the paradigm prevails. What may be genuine and crucial, but does not fall within the paradigm, may be declared beyond the pale of true science. The risk of intellectual totalitarianism is inherent in paradigm shifts. Perhaps psychiatry has benefited by the weaknesses of its paradigms; considerable diversity has been retained, and no one paradigm has ever completely effaced the others. However, should the adherents of one paradigm dominate academia and/or the funding streams that nourish research, this could become possible.

解説

臨床心理分野の大学院入試問題からの抜粋です。この分野では,通常の心理学に関する英文の他,研究方法論を主題とする英文も出題されます。内容が抽象的な場合が多く,注意が必要です。

第1文については大きな問題点はないでしょう。Kuhnは科学哲学者のThomas Kuhnで,この文献はThe Structure of Scientific Revolutionsです。科学哲学の分野では必読書と言ってよいでしょう。

第2文では,embracing / redefinition / redeterminationの名詞化をほどくことが大切です。ofが元の動詞の目的語を導いている点も合わせて確認しておきましょう。また,A means Bは「AはつまりBである」と解釈するのがよいでしょう。さらに,that particular branch of science in which ...thatですが,関係節の先行詞についているthat / thoseは先行詞を明示するためのもの(scienceではなくbranchが先行詞であることを示している)で,基本的に訳出しません。particularの意味にも注意が必要ですね。

第3文は構造がちょっと入り組んでいてわかりにくいかもしれません。What節の構造は[S]What [V1]may be ..., but [V2]does not fall ...となっており,この節が主語となって,may be declared ...の部分が述語動詞となっています。

第3文では,inherentの意味に注意しましょう。第4文では,no one paradigmが「どのパラダイムも1つだけで…することはない」を基本に考える点を確認しておいてください。また,everが否定の強調である点やthe othersの解釈にも注意が必要です。

第5文では,should the adherents of one paradigm dominate ...if the adherents of one paradigm should dominate ...と倒置による書き換え関係にある点に注意しましょう。また,thisの指示対象を明確に意識するとともに,couldの過去形が過去を意味していない点を確認しておく必要があります。

解答例

クーンが記述した科学的の変化の類型は多くの影響をもたらしている。あるパラダイムを受け入れることで,何が科学的であるのかを再定義し,そのパラダイムが優勢である科学の領域で適切な研究とはどういうものかをあらためて決めなおすことになる。本当でありきわめて重要であっても、そのパラダイムに当てはまらなければ,厳密な科学の範囲外だとされる場合がある。知的全体主義の危険性が,パラダイムシフトにはつきものである。おそらく精神医学は、そのパラダイムが弱いためにかえって助かっているとも言える。かなりの多様性が依然としてあり,どのパラダイムも1つだけが他のすべてのパラダイムを完全に消し去った事はないからだ。しかし、もしあるパラダイムの支持する人が、学界や研究に対する資金供与の流れを支配する事があれば、そうなる可能性はありうる。

2002年9月分

An artifact can be thought of as a meeting point—an "interface" in today's terms—between an "inner" environment, the substance and organization of the artifact itself, and an "outer" environment, the surroundings in which it operates. If the inner environment is appropriate to the outer environment, or vice versa, the artifact will serve its intended purpose. Thus, if the clock is immune to buffeting, it will serve as a ship's chronometer. (And conversely, if it isn't, we may salvage it by mounting it on the mantel at home.)

解説

環境学分野の研究科での出題です。内容は工学系のものですね。

第1文についてですが,(—)ダッシュによる挿入に注意しましょう。必要であればこの部分をいったん外すと,a meeting point ... between ~という関係が見えてきますね。また,カンマによる同格(内容説明)にも注意が必要です。an "inner" environmentthe substance and organization of the artifact itselfan "outer" environmentthe surroundings in which it operatesがそれぞれ同格の関係になっています。A, Bの形の同格を「AつまりB」ないしは「BであるA」と訳します。さらに,substanceorganizationといった語の意味や,in whichの前置詞+関係代名詞の処理にも注意したいところです。

第2文では,vice versaが「逆に(の)」という意味である点を確認しておきましょう。また,serveについては辞書で十分に用法を検討してほしいところです。

第3文でもserveが用いられていますが,こちらはserve as ~となっている点に注意が必要です。また,converselyはただ機械的に「逆に」とするのではなく,何と何が逆なのかを具体的に検討しましょう。さらに,if it isn'tは省略があります。肯定と否定が対比になっている点をしっかり見きわめる必要がありますね。

解答例

人工物は人工物自体の内容と構造である内的環境と,人工物が働く環境である外的環境とが出会うところ,今日の用語で言う「インターフェイス」である。内的環境が外的環境とうまく合うか,その逆であれば,人工物は意図された目的を果たす。たとえば,もし時計が振動に強ければ,船舶用時計として使える(逆に振動に弱くても,家の暖炉に置いて使うことはできるのだ)。

2002年10月分

With the remarkable increases in longevity, and increasing awareness that risks associated with advancing age may be reversible, health promotion, not just disease prevention, is emerging as an important theme in geriatrics. The goal of these efforts in old age need not always be prevention—sometimes delay is really all we need. The benefits of delaying the onset of disease are very substantial, and problems in old age such as heart disease and cancer are often subject to delay, if not to prevention.

解説

社会福祉学などの研究科で狙われそうな内容です。実際の出題では,上の引用全体で英文和訳1題となっています。

それでは第1文から見ていくことにしましょう。英語に特徴的な名詞中心構文の読みほどきが大きな課題となります。the remarkable increases in longevitylongevity remarkably increasesとまず考えます。ただし,このまま訳してもまだ日本語としてこなれない感じになるので,この基本的理解を基にさらに訳文を考えていく必要があります。remarkableの意味も重要です。続くincreasing awareness that ...we are increasingly aware that ...と考えればよいでしょう。advancing ageについても検討が必要です。

health promotion以降がこの文の主節です。このhealth promotionと直後のdisease preventionnot justで対比されている点を確認しましょう。わかりやすく書き換えるとnot only disease prevention but also health promotionとなります。emerge as ~については,わかりやすい訳語を心がけるとよいですね。

第2文では,not alwaysの部分否定に注意します。all we needの意味にも注意しましょう。大学入試の時に覚えたAll you have to do is (to) do as I tell you. = You have only to do as I tell you.を元に考えるとよいでしょう。

第3文はあまり大きな問題点はないでしょう。substantialの意味は注意したいところです。また,subject to ~も意味するところを文脈に即して具体的にとらえ,適切な訳語を検討する必要があります。

解答例

寿命が延び,年をとることと関係があるとされる危険なことが元に戻せるかもしれないとだんだんわかってきたので,単に病気を予防するだけでなく健康を増進することが老人学の重要な主題となりつつある。高齢になってこうした努力をするのは,何も病気を予防するためだけではない。ただ発病するのを遅らせるだけでよい場合もあるのだ。発病を遅らせることの利点はきわめて大きく,心臓病やガンのような高齢期に起こる問題は,防ぐことはできないまでも遅らせることができる場合が多いのだ。

2002年12月分

The speaker was talking about the first of seven bullet points on the slide, but my eyes were drawn to the sixth point. "Communication triage," it said. Now that sounded interesting. While the speaker was describing the earlier points in some detail, I started to think about my e-mail problem. Communication triage was exactly what I needed. An idea began to take root.
Social solutions to the e-mail problem have failed. We're all locked into this compulsion where we have to log in at mid-night from some faraway hotel in order to download the hundred messages that await our action. And heaven helps us if we shirk this duty, because the next day there will be two hundred.

解説

情報系の研究科で出題された英文の冒頭2段落を挙げてあります。エッセイ調の文章で,学問的な英文になれているとかえって読みにくい部分もあるかもしれません。

まずは状況をきちんと思い浮かべる必要があります。スライドを用いた発表などを聴いているところですね。The speakerはその時ちょうど話していた発表者という意味で,場面によって限定されているために定冠詞のtheがついていますが,訳出する場合には訳さないようにする必要があります。bullet pointsというのはあまり聞き慣れない表現かもしれませんが,箇条書きの行頭記号のことをこう言います。第2文のit saidの指示対象には注意が必要です。the sixth pointですね。

第3文のNowにも注意が必要です。文の時制は過去形なので「今」という意味でないことは明らかですね。「ここで」と言った意味で解釈するとよいでしょう。[S]that [V]sounded [C]interestingの文型にも注意しましょう。続く第4文では接続詞whileの解釈に迷うかもしれません。たしかにこの場合には「時」の意味でとっても大きな問題は生じません。しかし,the earlier pointsmy e-mail problem (the sixth point = communication triageから出てきている考えですね)との対比に着目し,対比・対立の意味でとらえるのがよいでしょう。

第5文はそう大きな問題はないでしょう。関係代名詞のwhatと,exactlyの解釈に若干気をつければよいでしょう。次の文は文法的には問題ないと思いますが,「自分の中で」という意味である点を取り違えるとよくわからなってしまうかもしれません。take rootと言う熟語表現にも慣れておきましょう。

続いて第2段落です。第1文は問題ないでしょう。第2文のthis compulsionについては,thisの指示対象とcompulsionの名詞化に注意が必要です。また,それに続くwhereはこの場合場所を示しているのではなく,compulsionの内容説明である点を確認しておきましょう。この文の前のほうでlocked intoと言っていることから,this compulsionが,比喩的ながらも場所として扱われていることもあわせて考えるとわかるでしょう。次の文ではheaven helps usの意味をきちんと把握しなければなりません。Heaven knows ...と言った表現とあわせて考えるとよいでしょう。

解答例

発表者はスライドに書いてある7つの箇条書きの1番目について話していたが,私の目は6番目の項目に引きつけられていた。「通信の優先順位付け」とあった。この時この項目はとても興味深く思えた。発表者はもっと前の項目について詳しく話していたが,私は自分の抱えている電子メールの問題について考え始めていた。通信の優先順位を決めることこそまさに必要だったのだ。そしてある考えを思いつき始めていた。

電子メールの問題を社会的に解決するというのはうまくいっていない。何とかしなければならない何百通ものメールをダウンロードするために,どこか遠くのホテルから深夜にログインしなければならないという状況から逃れることができない。この義務から逃れることはできない。翌日にはメールが200通になっているからだ。

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