「血は流れない。」99改編版
その瞬間は突然訪れた。某クイズ番組を視聴中、8時45分から特別報道番組が放映されることが予告される。8時45分、その予告通り番組は中断された。世界戦争の始まりでも告げられるのかと思いきや、皇太子が結婚するだとか、どうとかいう馬鹿馬鹿しい情報が流される。結局、クイズ番組の「嘘つき4択」の答えは解らずじまい。その状況の余りの下らなさに怒りは極限まで高まる。
その超個人的怒りから本作は製作された。皇太子・皇太子妃結婚の儀のパレードの中、果敢にもゲリラ撮影を行い、極左集団が妨害工作を行うも失敗するという適当なストーリーをこじつけ、いかがわしい映像作品に仕立て上げたというのが実態である。オリジナルバージョンは93年に撮影・制作されたが、一部の内容が余りに過剰であったために、一般上映に適した改編作業を施したものである。
93年撮影・制作 上映時間-9分 PFFアワード2000落選作品
「三重苦の蠅」99改編版
ほぼ全編、出身地である愛媛県 野村町でロケを行い、出演者も全て幼なじみ並びに身内という極めて土着色の強い作品である。題名は子供の頃、一部で流行ったゲームの名前であり、この映画そのものが我々にはゲームであった。私的な集団で思いのままにカメラを廻した後、皆の合議で題名を決め、それにこじつけた物語のようなものをを作りあげるべく、追加撮影を行うという行き当たりばったりな手法で製作した上、事故でフィルムを損壊させたこともあり、完成までに2年以上の月日を要している。物語を語るのではなく、主題を訴えるのではなく、記憶の反芻、状況の提示、経験の共有こそが重要だと考える作者の姿勢が最もよく表れた映画だと自負している。
91〜94年撮影・制作 上映時間-22分 PFFアワード2000落選作品「ビデオ」
本作は、鬱屈した青年を苛ませる最大の要因であり、意志を発露させる最大の要因でもあるリピドーとその処理作用としての自慰、そして現代社会においてリピドーと自慰に密接に介在するポルノとの関係性を直接的に描き出しつつ、愛おしい映画と映画館を、そしてその崩壊の過程を、自作という記憶の最も先鋭な領域に記録した重層的かつ逆説的な構造を持った映画である。おそらく、作者のその意図を読み解くには、相当にマニア的知識が必要とされるが、それが叶わずとも、映像の毒に酔うことは存分に可能であろう。
なお、冒頭に紹介される亀有名画座は2000年2月、閉館後早々に取り壊されてしまった。自分の映画の中に、かつての心の拠り所が辛うじて生き続けるというのはある種の快感であることを本作は教えてくれる。
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