一口に8mmフィルムと言っても、実は、いくつかの種類があります。ダブル8(別名レギュラー8)、スーパー8、シングル8、ダブルスーパー8の4種類に大別できます。

ダブル8(レギュラー8)
 ダブル8は8mmフィルムの中で、最も歴史のあるフォーマットです。16mm幅のフィルムを使用します。まず、フィルムの片側半分だけを使って撮影し、フィルムを入れ直し、もう半分のほうも使うという案配です。現像後、フィルムを縦に切断し、繋いで一本のプリントにします。ダブル8は、パーフォレーション(フィルムの端にある連続した穴)が16mmフィルムと同一サイズだったために、その幅の割に1コマあたりの有効面積が小さくなってしまうという決定的難点がありました。

シングル8とスーパー8
 ダブル8の様々な難点を解決すべく、1965年に相次いで誕生したのが、スーパー8とシングル8です。スーパー8はイーストマン・コダックが提唱したフォーマットで、シングル8はフジフィルムが提唱したフォーマットです。どちらも幅、パーフォレーションの大きさ、位置等は同じで、映写機も共有できるのですが、シングル8が薄型のセルロイドを採用したためフィルムの厚みが違います。映写のさい、片方のフォーマットを基準にしてピントを合わせると、もう片方のフォーマットで映写したさいにピントがずれてしまいます。ですから、異なる二つのフォーマットで撮影し、編集で繋いで一つの作品にまとめることは原則として出来ません。

ダブルスーパー8(ダブルランスーパー8)
 ダブルスーパー8は最終的な形態そのものはスーパー8と同じなのですが、撮影の段階では幅が16mm、長さが100ftあります。ダブル8と同じように片側づつを交互に使用します。長さも通常のスーパー8に比べ2倍あるので、1本のフィルムで4倍の撮影時間を確保できます。しかし、このフィルムが使用できるカメラは非常に限られています。(国産機だとキャノンのスクービック、エルモC-300位でしょうか。)全く一般的ではありません。通常のスーパー8に比べて最も優れている点は、フィルムを押さえる圧板がカメラ側に付属しているので、ピントの精度が高まることです。もっともシングル8ではこれは当たり前のことなのですが・・・。

注意:ダブル8、ダブルスーパー8は、現在ではほとんど使用されていません。間違って機材を購入するといけないので、そういうものがあるということだけ頭の片隅に置いておいて下さい。

 幅が8mmなので8mmフィルム、解りやすいですね。1つのマガジンに長さ50フィート=約15mのフィルムが装填してあります。時間にして約3分間の撮影が行えます。

シングル8
 シングル8フィルムは、巻き上げ、巻き戻し、それぞれ専用の二つの軸を備えているためにフィルムの巻き戻しが容易に行えます。(スーパー8は巻き上げ用の軸しかありません。)そのおかげで、シングル8黎明期に発売されたカメラには多重露光、逆転撮影などの特殊撮影が可能なカメラが多数存在していました。
 カメラ、フィルムの組み合わせが持つ撮影メカニズムでは明らかに勝っていたのですが、8mm全盛時代(1960年代〜80年代初め)において、フィルムの種類、基本性能においてはコダックに圧倒的敗北を期していました。(フィルムそのものを製造するメーカー数においても完敗でした。)また、海外メーカーは言うに及ばず、国内の有力カメラメーカーさえもが、こぞって輸出を念頭においてスーパー8用のカメラの開発、生産に重点を置いたために、世界規模でのカメラの種類、数においても常に劣性に立たされ続けました。(日本国内ではやや優勢だったのですけどね・・・。)

 シングル8の現像所はかつては大阪にあったのですが、需要の変化から、1999年春、府中現像所に移設されました。それと同時にアフレコ、サウンドフィルムは生産中止になり、録音を行いたい場合は、サイレントフィルムで撮影した後、録音用のマグネットを塗布するサービス(アフレコ仕上げ)体制に一本化され、モノクロ現像も中止になりました。首都圏在住の私にとって、現像期間が短縮されたことだけは、非常にありがたい話なのですが、自主映画の衰退を表しているようで寂しい気がします。
 

スーパー8
 90年代の初め、バブル経済の崩壊と呼応するかのように、一度は日本国内で死に絶えたフォーマットです。日本コダックが突如スーパー8の日本でのフィルムの販売、現像の中止を発表し、イーストマン・コダックが日本支社所属の研究員ほぼ全員を解雇した頃、私は高校三年生でした。
 フィルムの正規販売中止から2年ほど経った頃、カメラが捨て値で売られていた時代がありました。かつて15万円以上した高級機が1万円台にまで下落していた時代があったのです。正にバブル崩壊です。しかし、我々の知らない間にスーパー8は復活を遂げていたのです。(詳しくはレトロ通販まで)

 以前、欧州を旅したさい、親戚の叔父さんに「ツァイスのレンズの付いた8mmカメラがあるから欲しければ持って行きなさい。」と言ってもらったのに、日本でスーパー8は使えないことを理由に断ってしまったことがありました。今にして思えば何ともったいないことをしたのだろうと思います。その旅の中で、未だに8mmを使っている家族、夫婦を数例目撃し(8mmフィルムが決して一部のマニアのものでなく、一般の生活の中に未だに息づいているのです。)、欧州と日本との文化水準の違いを見せつけられたことを昨日のことのように思い出します。
 私にとっては余りいい思い出のないスーパー8ですが、レトロ通販を利用することを前提とするなら、これから始める人にとっては決して悪くない選択肢であると思います。コダクロームの描写(特に発色)はシングル8に数段勝っていると言われていますし、カラーネガフィルムやモノクロフィルムも販売されているとのことなので、私もいずれ試してみたいと思っています。但し、フィルムの巻き上げ軸が一つしかないので、逆転撮影、巻き戻しなどは行えない機種が多いので注意して下さい。限定的巻き戻しが可能な機種もありますが、それは原理的に出来難いことを無理矢理にやっているだけなので、あまりお奨めできません。

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