生態観察日記スペシャル:2007年夏 愛媛への旅

7月21日 土曜日 晴れ
品川の高層オフィスビルの蛍光灯一斉交換作業に従事する。夏場の蛍光灯は最もきつい仕事のうちの1つだが、以前に比べ、仕事量が増えているにも関わらず、作業単価が下がっているために、増員することが出来ないため、1人当たりの負担は著しく増加している。
5時過ぎに仕事を上がり、羽田で天ぷらをつまみながら、腹一杯ビールを飲み、何とか生き長らえる。午後7時発の飛行機に乗り、松山空港に到着すると甥のK星が激しく出迎えてくれる。話には聞いていたが、悪ガキ振りにますます磨きが掛かり、既に制御不能であった。その晩は、空港近くの妹宅に宿泊する。


甥のK星
大きくなるに従い、イタズラも酷くなり、全く手に負えない。

7月22日 日曜日 晴れ
朝方、妹宅を出立し、山間の国道沿いの骨董屋で国産旅客機YS-11の計器パネルがぞんざいに扱われているのを発見し、格安で購入する。添付された伝票によると昭和40年代に交換され廃棄された部品らしい。それが回り回って、四国の山奥に転がっているのだから、世の中何がどうなるか分かったものではない。思わぬところで、思わぬお宝を入手し、大いに上機嫌になる。
久しぶりにN町の実家に帰り着くと、庭の半分が潰され、家の周り中が畑になっていて、いい感じにスラム化していた。母親が仕事に行くというので、悪ガキを預かったのだが、一瞬も休む隙を与えない。座敷で横になっていると、扇風機を止め、それでも寝ていると、頭を蹴り飛ばし、「このクソガキが!」と立ち上がると、「ほら起きた」と大喜び・・・何という悪ガキだ。悪ガキを連れて、近所の山に登ると、上り坂こそ「休憩しよう」「疲れた」と不満たらたらだったが、下り坂になった途端「下りは早く走れるのに、なんでオッチャンは走らんの」と言いながら、もの凄い勢いで走って行く。子供のすばしっこさにはとても付いて行けない。

商店街を通り、先頃開館した相撲施設を見学する。3年前の町村合併のさい、地元県議の黒い政治力を背景に駆け込みで行われた大規模公共事業の産物だが、その施設の豪華さは想像以上であった。
(合併してしまえば、これまでのように思うように出来なくなるし、逆に合併してしまえば、借金が隣町にもおっ被せてしまえるため、合併間際に大規模な公共事業が数多く行われた。もちろん他の町は面白くないだろうが、地元選出の県議:池田のハゲの政治力が強大であるため、文句が言えない)

大規模な相撲競技場に地下にはこれまた立派な温泉施設・・・職業柄、維持費をソロバン勘定すると目の前が真っ暗になりそうだが、やってしまったものはしょがない。温泉は気持ち良いし、相撲競技場は国体の競技施設になることが内定している。そもそも、この施設の建設を20年前に提言したのは、うちの親父だ(もっとも、こんな豪華施設にする計画ではなかったはずだが)。何とか、頑張って頂き、町おこしに繋げてもらうしかない。


豪華な相撲施設

一方、地元商店街のさびれ具合は、これまた想像以上であった。そこかしこに空き地が出来、辛うじて営業している商店も全く活気がない。いや、そもそも町中に人がいない。N町を脱出して、15年経つが、この2年間の変化は飛び抜けて大きく、しかも変化は、より悪い方向に加速度的に進んでいる。折からの公共事業削減に加え、町村合併時にデタラメをやったツケがまわり、田舎の経済を下支えして来た土建屋も軒並み壊滅、毎年数社が倒産している。東京にいると、地方の窮乏振りは完全に他人事だが、実家に帰れば、同級生の家が破産し、遠縁の叔父は山で変死と、痛みと苦しみは、極めてリアルな現実だ。現在、隣町で高速道路の建設が行われているため、まだ辛うじて持ちこたえているが、最後の麻薬が切れたとき、底が1つ抜けるのは疑いの余地がない。


その昔、曙が来町したことを記念して作られた像
顔はそっくりです。最近は、職場の近くに本人がよく出没します。

7月23日 月曜日 晴れ
午前中は、先日東京から送った荷物と新たな撮影のため実家から送る荷物の整理に励む。午後、K星とM口夫人とその息子のH君を連れて、母親の実家に遊びに行く。都会育ちの人には想像も出来ないような山奥なのだが、従兄弟の子供達がたむろっているので、おそろしく賑やかだ。着くなり、K星はチビっ子達を引き連れ、墓場の方へ向かった走り去っていったのだが、なんと自分の知らぬ間にお堂の裏に小さな遊び小屋が建てられていたのだ。チビっ子共にしてみれば、極めて具合の良い秘密基地だろう。面白いに決まっている。小屋での遊びに飽きると、チビっ子共は砂遊びとプール(これも自家製)で遊び始めたのだが、徐々にプールへと人気が移っていくなか、K星だけはプールに入らない。それどころか、プールの外から、しかも標的の後ろから水鉄砲で攻撃するという極めて卑怯な行いを繰り返す。しかも、イタズラしているときの表情の憎たらしさといったら、筆舌尽くし難い。誰に似たのか知らないが、相当のワルだ。


秘密基地の外観


これが秘密基地の中


夕方、実家に戻り、近所の酒屋でビールを買おうとしたところ、発泡酒、いわゆる第3のビールを含めて、日頃自分が飲んでいる商品が1種類も売られていないことに驚かされる。とりわけ、ビールに関しては、スーパードライ1種類しか置かれていない。3年前は、ラガーと一番搾りはあったはずなのに・・・アサヒの販売力が強力なのか、田舎者は味覚まで鈍感なのか。同級生のやっているたこ焼き屋だけは、モルツを出していたが、あの店を起点にN町の人々にも、本当に美味しいものを知ってもらいたい。


サービスカット
ホモ野郎共よ、オナニーでも何でもしてくれ!


見よ!この卑劣な表情と卑怯な行いを

7月24日 火曜日 晴れ
早朝、嫌がるK星をラジオ体操に連れて行く。K星にしてみれば、周りは知らない子供ばかりだし、小学校に入ったばかりで、ラジオ体操そのものを理解していないから、嫌がるのも無理はないのだが、奴のヘタレ具合には、ほとほと手を焼く。朝飯を食った後、今度は宿題の面倒を見ることになったのだが、奴に全くやる気がなく、逆さ吊りにしたり、家の外に放置したりして、何とか算数のドリルを1枚やらせる。聞けば、父兄の要望により、絵や自由研究といった面倒な宿題は、出題されないそうだ。これもゆとり教育とやらの後遺症なのか。やる気の無いガキが勉強しないのは当人の勝手だが、最初から能力を発揮させるステージを用意しないというのはおかしいと思う。
昼飯食って、うとうとしていると、クソガキは財布から小銭を抜き取り、相撲施設でガチャガチャをやって、上機嫌で帰って来る。まだ、小銭しか金だと思っていないので、被害は微々たるものだったが、あと数年も経てば、どんな悪ガキに成長してしまうのか。午後、隣のS町のプールにK星を連れていったが、ここでも奴はプールに入ろうともしない。仕方が無いので、20年程前に山奥に引っ張って来たジェット戦闘機F-104を見に行く。かなり無惨な状態で放置されているが、田舎の人は関心が薄いせいか、部品はほとんど抜かれていない。もっとも、併設されていた陸自のヘリコプター(確かUH1)と練習機(T1)は、既に撤去されていた。中学生の頃、初めて見たときには胸躍ったものだが、K星はまだ小さ過ぎるせいか、近くに設置された巨大滑り台の方が楽しかったようだ。
かつてはS町の繁華街であったD地区を初めて見物したが、正に強者共の夢の跡・・・半世紀前、ここに映画館、旅館、商店が立ち並んでいたとは誰も思わない。立派な地主の邸宅は今は住む人も無く朽ち果て、土蔵の屋根は崩れ落ち、後は壊滅するのを待つばかりだ。故郷のN町が、こうなるのも遠い先ではないように思われる。


おそらくF-104は巨大過ぎて撤去出来ないのだろう。しかし、どうやってここまで運んできたのか。

7月25日 水曜日 晴れ
母親の運転する車で内子駅まで送ってもらう道すがら、先日寄った古道具屋に赴き、YS-11の計器を買い占めようとしたのだが、店番していたオバハンが、店の主人に電話して売値を確認したところ、いきなり3倍以上に吊り上がったため、購入を断念する。前回買った値段が余りに安いだけなのだが、転売して金儲けしようと考えたので罰が当たったのか。松山駅でうどんを食べ、松山空港でしばし昼寝した後、羽田へ戻って来る。帰って来た途端、川崎に直行し、一遊びした後帰宅する。


松山駅のうどん
地元では何と言うことないうどんですが、そんなものでも当たり前に美味いのがありがたいです。

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