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アンティーク イングリッシュ スプーン パターン
英国の アンティーク スプーンの主なパターンの解説です。 テーブルマナーの変遷に沿って、トレフィッド、ドッグノーズ、ハノーヴェリアン、フィドル、そしてオールド イングリッシュパターンを説明しています。

下の二つのスプーンでより古いのはどちらでしょうか。

(写真1)


(写真2)


一見したところ、写真1のスプーンは今でもよく見かけるデザインで、写真2のスプーンがより古いタイプに見えます。

実は、写真1のパターンの方が約半世紀ほど古いのです。写真1のティースプーンは今から200年前、ジョージ三世(1760−1820)治世の1800年にロンドンで作られた「オールド イングリッシュ パターン」と呼ばれる範疇に入るティースプーンです。
このパターンは1760年頃はじめて登場し人気を博しました。
しかし1800年以降、当時の古典主義の影響下、写真2のより力強い「フィドル パターン」が急速に台頭し、繊細でエレガントなオールド イングリッシュ パターンを人気の座から追い落としてしまいました。
その後の歴史を見ると、フィドル パターンは19世紀半ばには人気が衰えはじめ、現在では歴史上の主要なパターンとしてその名を残すのみです。対してオールド イングリッシュ パターンは消長を経ながらもジョージアン、ヴィクトリアンの時代にいくつかのバリエーションを生み、現在でも生き続けるパターンとなりました。

今日でもなじみの深いオールド イングリッシュ パターンが生まれるまでには、テーブルマナーの変遷に合わせて、スプーンには三つのパターンの変化がありました。

英国の食卓において、スプーン、フォーク、ナイフ等のテーブル セッティング マナーが始まったのはそれほど古い昔ではなく、17世紀の後半からです。
それ以前には、スプーンやフォークはめいめいが個人所有で持ち歩くもの、特に銀のスプーンは洗礼や婚約の際にさずけられる貴重な品でありました。ですから当時はたとえ国王と云えども自分のスプーンを持って夜会に出かけていました。
この英国流のテーブルマナーに大きな変化が起こったのは、清教徒革命が頓挫して1660年に王政復古でチャールズ二世の宮廷が、亡命先のフランスから戻ってきたことによります。テーブルセッティングにもフランス流が持ちこまれ、以降は食事に際し、もてなす側がスプーン、フォーク、ナイフ等あらかじめセッティングしておくという、今思えば、あたりまえのようなマナーが次第に確立してきました。

(1) Trefid pattern
1660年のチャールズ二世の復帰とともに、スプーンの柄先にある二つの刻み目(Two notches)を特徴とするトレフィッド パターンが流行しました。
(2)Dog Nose pattern
アン女王の治世(1702−1714)にはドッグ ノーズ パターンが大勢を占めました。トレフィッド パターンの特徴である柄先の二つの刻み目がなくなり、柄先が犬の鼻先のように突き出した形状をなすことからこう呼ばれます。
(3) Hanoverian pattern
1710年頃登場し1770年頃まで作られました。柄先のドッグノーズがなくなり、より丸くなりました。次世代のオールド イングリッシュ パターンに似ていますが、違いは柄先が手前に折れ曲がっていることです。

上記三つの時期を通じて、スプーンがテーブルの置かれる際、現在とは逆に当時はスプーンを伏せて置くのが習いでした。1760年頃からテーブルセッティングマナーに新たな変化が起こり、スプーンは現在と同様に表を上に向けて置かれるようになりました。このマナーの変化に対応してハノーベリアン パターンのスプーンの柄先が背に向けて曲げられたのがオールド イングリッシュ パターンでした。

トレフィッドやドッグノーズ パターンのスプーンはいかにも博物館で見かけるような古い歴史上のスプーンという印象を与えます。しかし写真1のスプーンは200年という時の経過を感じさせません。それどころか、それより新しいフィドルパターンが古ぼけて見える可笑しさがあります。これはひとえにオールド イングリッシュパターンが生き長らえて今日の私達の生活に溶け込んでいるためです。アンティークは遠い昔の物ですが、その昔からの時間の延長上に、私達の暮らしがあることを思い出させてくれるお手本がオールド イングリッシュ パターンと思います。

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