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新着情報
品物の追加は11月23日が最新です。(下線付き太字の品物名をクリックいただくと、拡大写真とその他の説明写真がご覧いただけます。)
11/23 アンティーク シルバー デザートスプーン、テーブルスプーン :品物一覧を整理しました。
フリーメイソン スターリングシルバー オールド イングリッシュ パターン デザートスプーン
“コンパス”と“直角定規”はフリーメイソンのシンボルで、コンパスは「道徳」を、そして直角定規は「真理」を表象しています。 フリーメイソンとは、『大辞林』によれば、「博愛・自由・平等の実現を目指す世界的規模の団体。中世以来の熟練石工組合を母体として一八世紀初めイギリスで結成。 啓蒙主義精神を基調とし、多くの名士を会員に含むとされるが全容は明らかでない。」とあります。
アメリカの独立戦争を指導したリーダーの多くはメイソンだったり、その後も歴代大統領の多くがメイソンだったということです。 1ドル紙幣に描かれた「ピラミッドと一つ目の絵柄」も『万物を見通す目』というメーソンのマークの一つで、アメリカ的価値とフリーメイソンには分かち難い関係があるようです。 さらに言えば、日本の戦後10年を主導した歴代首相の多くはフリーメイソンだったこともあり、日本とも大いに関係があります。
11/23 No. 14389 スターリングシルバー & 9カラット ローズゴールド ペンダントヘッド
with ピアストワーク
ペンダントヘッドの縦長(留め具含む) 2.6cm、厚み
1mm、正方形の一辺の長さ 1.8cm、9カラットゴールド部分の一辺の長さ
7.5mm、シルバーチェーンの長さ 41cm、1928年
バーミンガム、一万四千円
ブリティッシュ ホールマークの部分をきれいにして、写真を撮りなおしてみました。
正方形のフォルムに直線系のピアストワークというデザインは、アール・デコの影響が出ているものでしょう。 世界恐慌の発端となったウォールストリートの株暴落より先立つこと一年の1928年に作られた品であることは、裏面に刻印されたブリティッシュ ホールマークを判読することで分かります。
写真二番目に見えるように、裏面には四つのブリティッシュ
ホールマークが刻印されています。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1928年のデートレターとなります。
今から八十年以上前に作られたスターリングシルバーのペンダントヘッドというわけで、銀の輝きとローズゴールドのコントラストが楽しめるところもポイントです。 中央のローズゴールド部分は、周囲より一段高くなった構造で、9カラット ゴールドの薄板を取り付けた作りになっています。
9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金ですが、金以外には銅を多く含む場合には、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドと呼ばれます。 英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドにおいてもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 金純度の高いイエローゴールドよりも、温かみがあってVery
Britishな装飾素材なのです。
ローズゴールドの周囲にはウェーブパターンの手彫りエングレービングが綺麗です。 ルーペで詳しく見てみると、三種類の彫刻様式が認められます。 まずローズゴールドを取り囲むようにして鉤彫りが施されています。 そしてメインモチーフの波模様パターンは深めな彫刻です。 ファセット(彫刻切面)が多方面に向くことから、ブライトカットと同様な効果がもたらされ光を美しく反射します。 さらに波模様の背景部分は微細な彫刻線を施して影を付けていった細工になっています。
波模様モチーフにはContinuation(続いていくこと)や
Eternity(永遠)という意味合いが象徴されており、ヴィクトリアンからエドワーディアンの頃に好まれたクリスチャンモチーフになります。 このペンダントヘッドはアール・デコの時代に作られておりますが、ピアストワークとローズゴールドに挟まれた比較的狭い彫刻面には、前時代の影響も引きずっているということになりましょう。
小振りな銀のアクセサリーではありますが、詳しく見ていくと、アール・デコの影響や、エドワーディアンの残像も認められ、作者の意図だとか、品物の背景、そして作られた時代に思いを馳せてみることが、アンティーク コレクターとしての私の楽しみです。 やはりそこにはアンティークでしか手に入らない、人を惹きつける何かがあるように思うのです。
それでは、写真の品が作られ使われた当時のイギリスはどんなであったのか。 先日、お客様との遣り取りの中で、調べてみる機会がありました。
1929年に始まった世界恐慌といいますと、私たちは世界史をアメリカ中心に学んできましたので、米国株暴落から世界中一緒に奈落の底に落ちて行ったかのように思ってしまいがちです。
実際のところは、1929年10月の米国株暴落から直ちに世界恐慌につながったわけではなくて、1931年頃まで、イギリスへの影響は比較的軽微でありました。 1931年5月から欧州の銀行倒産が始まって、31年9月イギリスは金本位制から離脱しました。 ところが金本位制離脱後には低金利政策が可能になって、1932年から37年までのイギリスは住宅建設ブームになっています。
当時、イギリスの金本位制からの離脱は大きな出来事でしたし、1930年代は総じて不況と言ってよいのですが、一方で住宅建設は好調でした。 光と影が同時に存在した1930年代のイギリスであったのです。
11/23 No. 14743 ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン
長さ 11.8cm、重さ 11g、ボール部分の長さ 3.9cm、最大幅
2.2cm、ボールの深さ 5mm、柄の最大幅 1.0cm、1805年
ロンドン、Thomas Wallis作、一本 五千五百円
(3本あります。)
このスターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーンは、今から二百年以上前に作られたもので、英吉利物屋の扱い品の中にあってもかなり古い品になります。 1760年から1820年までのジョージ三世時代は長かったので、アンティークにおいても、この時代の品には「ジョージ三世...」と接頭辞のように国王の名前を冠することが多いのです。
オールドイングリッシュ パターンについてはアンティーク情報欄「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事を、またジョージ三世については「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」後半部分もご参考ください。
写真三番目で見て、ホールマーク順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1805年のデートレター、そしてジョージ三世の横顔でデューティーマークとなります。
英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますが、この銀のスプーンが作られたのは1805年ですので、余裕でアンティークのカテゴリーに入るどころか、その二倍の"ダブル"アンティークともなっているわけで、そんな辺りにもアンティークファンとしての楽しみ方がある品と言えましょう。
二世紀以上の時を経ているという古さはやはりアンティークとして大きな魅力になります。 英国の歴史は比較的安定していたことが特徴で、隣国フランスのように大きな革命や動乱を経験せずに今日に至っており、そのおかげもあってイギリスにはアンティークのシルバーが多く残っているとも言えます。 しかし、このティースプーンが作られた頃はイギリスにおいてもかなり世の中が荒れて、政治が混乱した時代でした。
一つには産業革命の影響で英国社会に大きな変化が起こりつつあって、ロンドンでは打ち壊しのような民衆暴動が頻発していたことがあり、二つには国王ジョージ三世がアメリカ植民地経営に失敗してアメリカ独立戦争を招いたことなどが混乱に拍車をかけました。 18世紀後半にロンドンで起こったゴードン暴動では死者が五百人を超える惨事となって革命一歩手前だったようです。
さらに加えて海外からの不安定要因がイギリスを脅かし始めます。 1789年に始まったフランス革命は次第に先鋭化していって、ついに1793年には国王を処刑してしまうまでになりました。 このティースプーンが作られた頃というのは、おっかなびっくり隣国フランスの様子を窺いながら、当時のイギリスはいつ対岸の火事が飛び火してくるか、ひやひやものでありました。 もし英国史がそのコースを少し外していたら、このスプーンを今こうして見ることもなかったかもしれない、などと思ってみたりもするのです。
それから、柄先にホールマークを刻印することをトップマーキングと言いますが、1800年前後にロンドンで作られたティースプーン等の小物シルバーウェアのトップマーキングにおいては、ロンドン レオパード ヘッドの刻印を省略することが当時流行っていました。 このティースプーンにもロンドン アセイオフィス マークがありませんが、同時期に作られたロンドン物ではよく見かける傾向なのです。 おそらくロンドン中心思考がこうした習慣を生んだと思われますが、1830年ぐらいから以降は改まりきっちり刻印されるようになっていきます。
11/23 No. 14742 スターリングシルバー with 10ストーンズ ペンダントヘッド
縦の長さ(留め具含まず)3.0cm、最大横幅 1.7cm、最大厚み
4mm、雫形シトリンの長さ 7mm、一万一千円
石は上下に雫形のシトリン、丸いガーネットが三つ、小粒で丸いアメジスト二つ、雫形のアメジストが二つ、中央は薄青色の透明感ある石でタンザナイトです。
上のシトリンは黄色が濃いめで、下のシトリンは薄めな色合いをしています。
シルバーフレームの裏面にはスターリングシルバーを示す「925」の刻印があります。
それぞれの石の裏面は、直径1.5ミリほどずつ銀のフレームが抜けた構造になっていて、光がよく通って輝きがよくなるように作られています。
11/23
No. 14741 エドワーディアン スターリングシルバー フォブ ペンダントヘッド
縦の長さ(留め具含まず) 3.0cm、留め具含む縦長
4.0cm、最大横長 2.7cm、最大厚み 4mm弱、重さ
17g、1904年 バーミンガム、一万四千円
11/23
No. 14740 ヴィクトリアン スターリングシルバー フォブ ペンダントヘッド
縦の長さ(留め具含まず) 3.8cm、留め具含む縦長
4.7cm、横の長さ 2.8cm、最大厚み 2.5mm、重さ
14g、1898年 バーミンガム、一万一千円
11/22 英国アンティーク情報記事一覧へ:週末ですので、お時間ございましたら、次のような情報記事もご覧いただければ嬉しいです。
34. アンティークなパブの楽しみ
23. 本の宝箱 サザランズ − アンティーク絵本の素敵な書店
33. Avebury:ストーンサークルに囲まれたアンティークな村
11/21 No. 14739 スターリングシルバー ケース
縦の長さ 8.0cm、横の長さ 5.5cm、最大厚み
1.15cm、重さ 45g、1928年 バーミンガム、二万九千円
両面に施されたハンド エングレービングが素晴らしい。 持っているだけで楽しい気分になれるシルバー ケースです。
元々はタバコ入れですが、今どきのイギリスはパブですら全面禁煙になってしまい、愛煙家の方は立場がなくなる一方です。 日本だって、この銀ケースにタバコを入れようと、お考えの方は少ないでしょう。 しかし、薬入れとか、お裁縫セット入れなど、役割を変えれば、まだまだ現役で十分に活躍できるだけのコンディションのよさを保っております。
ブルーンバーグのニュースを聞いておりましたら、本日チャリティー アンティーク オークションがあって、出かけていったレポーターの方が銀のシガレットケースを見つけて、欲しいと思ったけれども手が出なかったと言ってました。
写真の品はどこへ出しても引けを取ることのないシガレットケースと思います。 そのレポーターの方にも見せてあげたいと思いながら聞いてました。
余談ながら、ブルーンバーグのニュースというのは、一日二十四時間、太陽とともにマーケットを追って東京、香港、ロンドン、ニューヨークと発信スタジオを移しながら流れていきます。 ロンドン時間になると、上述のようなアンティークの話題なども出てきて、なんかほっとするというか、のんびりしているというか、ちょっと他所とは違う雰囲気なんです。
11/21 No. 14738 アンカー & Forget-me-not スターリングシルバー ブローチ
with イエロー & ローズゴールド デコレーション
長さ 4.5cm、最大横幅 2.35cm、ブローチ本体の最大厚み(留め具含まず)
4mm、ピンの長さ 4.3cm、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃の英国製、一万二千円
「Forget-me-not(勿忘草、わすれな草)」には、イエロー&ローズゴールドの装飾が効いています。 上方の葉っぱと三つの花はローズゴールド装飾ですが、下方の葉っぱにはイエローゴールドが施されているのが隠し味で、Rose
& Yellow Gold のコントラストが楽しめる作りになっているのは興味深く思います。
9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金ですが、金以外には銅を多く含む場合には、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドと呼ばれます。 英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドにおいてもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 ローズゴールドの温かみある色合いは、Very
Britishな装飾素材といえましょう。
「Forget-me-not(勿忘草、わすれな草)」は、ヨーロッパを原産とする、薄青色の小花が可憐な一年草で、信実とか友愛のシンボルとされます。 花言葉は「Forget-me-not」そのもので、「忘れないで」です。
モチーフとしてのアンカーにはかなり古い歴史があります。 世界史で習ったローマ時代のカタコンベには、クロスに見立てたアンカーがありました。 当時はキリスト教が国教となる以前のことで、アンカーをクロスの代用とすることで信仰を守る必要があった時代でした。
そうした背景があって、アンカーは初期のクリスチャンモチーフとなりました。 そしてアンカーのクロス的側面を重視する場合には、アンカーのことを「聖クレメントのクロス」とか、「船乗りのクロス」と呼びます。
さらに時代が下って、ヴィクトリアン後期からエドワーディアンの頃になると、イギリスではシーサイドリゾートが人気となり、マリンモチーフのファッション性が好まれました。 写真の品が作られるようになったアンカーの流行もこうした潮流の中にあったわけです。
クリスチャンモチーフとしてのアンカーには、クロスの代用という意味合いの他にも、「Hope(希望)」や「Steadfastness(しっかりしていること)」を表象する意味合いも含まれています。 あるいはまた、船が抜錨して次の目的地に向かうという連想から、「Fresh
Start(新たな出発)」をシンボライズするモチーフともなっています。
この分野のアンティークは現代の品には見られない雰囲気と、一つ一つが個性的で同じものをまず見かけないのが特徴で、興味深いアンティーク分野と思います。 ホールマークはありませんが、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃の英国製スターリングシルバー ブローチで間違いないでしょう。
11/21
No. 14736 スターリングシルバー チャームブレスレット
一周の長さ 16.8cm、重さ 29g、ハートの留め具横幅
1.3cm、自動車の長さ 2.6cm、二万二千円
11/21 No. 14690 オリジナル 木製ケース入り マザー
オブ パール お裁縫セット
ケースの縦横厚み 13.5cm*18.5cm*2.7cm、鋏の長さ
9.1cm、鋏の重さ 15g、全体の重さ 210g、1930年代の英国製、二万三千円
木製ケースを開けると、エッジ部分に『Warranted
Sheffield Cutlery』とありますので、英国はシェフィールドで作られたお裁縫セットです。
やはり木製ケースというのは趣があります。 内張り布の周囲には太めな縄飾り装飾もあって、よく出来た箱と思います。 側面裏側のヒンジも、手前の開閉金具もしっかりしており、全体のコンディションから察するに、おそらくあまり使われることなく現在に至っているセットと考えられます。
小道具四つのハンドルはマザー オブ パールです。 下から二番目のマザー
オブ パール柄は薄くなったところがありますが、その表面が滑らかなことから、これは元々の状態と思います。
オリジナルケース入りで、マザー オブ パールが綺麗なセットですが、やはりこのセットの圧巻は鋏でしょう。 持ちはかりがあって、しっかり出来た鋏は、切れ味も抜群なのですが、この装飾性の高さには特筆すべきものがあり、とても気に入りました。 写真二番目では鋏のみ撮ってみましたのでご覧になってください。
写真一番目で見て、ケースに入った上から二段目の品(目打ち)について、サイズを示しておきます。 長さ
9.1cm、重さ10g、マザーオブパール柄の最大幅1.5cm、マザーオブパール柄の最大厚み
6mmとなっております。
先端の金属部分は鉄と思われ、錆びやすいといえば、そうなのですが、適切にお手入れすれば、錆で困るということはなさそうです。
このセットは七十年ほど前の品になりますが、金属部分に錆はあまり出ておらず、まずコンディション良好な状態です。 箱入りであることで、ある程度まで錆防止に効いている可能性はあります。
錆びにくい素材といえばステンレスになろうかと思いますが、このセットがステンレス素材であれば、それはそれでやや興醒めな感じになろうかとも思うのです。
11/21 アンティーク シルバー アクセサリー (7) : 品物一覧を整理しました。
Air Raid Patrol スターリングシルバー ペンダントヘッド
Air Raid Patrol とは戦時の空襲監視員あるいは防空指導員のことです。 デートレターから製作年が1936年と分かります。 空襲に備えるべく、警官や予備役の人たちを中心に組織されたと聞きました。 1936年は英国にとってまだ戦時下ではないのですが、このとき既にARPが組織され備えを始めていたことが分かります。 アンティークから歴史の検証が出来るのはおもしろいことだと思うのです。
11/20 アンティーク シルバー サーバー (プレーンタイプ、フォークタイプ、はさみタイプ他) :新しいコーナーを作りました。
11/20 これまで二つあった指輪のコーナーを次のように四つに拡張しました。
9カラットゴールド & シルバー リング
(3)
9カラットゴールド & シルバー リング
(4)
スターリングシルバー リング (1)
スターリングシルバー リング (2)
11/19 No. 4735 フラワー エングレービング シルバー クロス
縦の長さ(留め具含む) 3.7cm、横の長さ 2.5cm、重さ
5g、本体部の厚み 1mm、留め具の最大厚み 6mm、一万一千円
縦横が等しい長さで、四方にT字型をしたこのタイプは、クロス ポテントと呼ばれます。 主としてカトリックの国々で見られるクロスになりますが、これまでにブリティッシュ ホールマークが刻印されたクロス ポテントも見たことがありますので、必ずしもカトリックの欧州諸国のみならず、イギリスにあっても不思議はないように思います。
中央部にはお花のエングレービングが綺麗です。 四方に矢印が向いているのは、あるいはケルティック モチーフが取り上げられている可能性も考えられます。
エングレービングは深めな彫りの力強さと、背景部分のとても繊細な彫りに特徴があって、全体としてかなりレベルの高い仕事振りと感じます。 ホールマークはありませんが、ハイレベルな彫刻と金属の風合いからみて、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアンにかけてのシルバークロスで間違いないでしょう。
11/19 No. 4734 エドワーディアン スターリングシルバー フィドルパターン ティースプーン
長さ 12.0cm、重さ 15g、最大幅 2.5cm、ボールの深さ
0.7cm、フィドル柄の最大幅 1.35cm、柄の最大厚み
2mm、1907年 ロンドン、Josiah Williams &
Co.作、三千五百円
今から百年とちょっと前に作られたスターリングシルバー フィドルパターンのティースプーンです。 イギリスのアンティーク シルバー テーブルウェアの歴史を紐解きますと、昔のものほどサイズが大きくなる傾向があります。 例えばジョージアンのテーブルスプーンなど見ますと、こんなに大きなスプーンを二百年前の人は使ったのかとびっくりします。
この傾向はフィドルパターンのティースプーンにも言えることで、写真のティースプーンと、4732 ジョージアン ティースプーンを比べていただくと、サイズの変遷がお分かりいただけると思います。
エドワーディアンとジョージアン、製作年は百年前と二百年前で、両者の間に一世紀ほどの隔たりがあるわけです。 この二つのフィドルパターンを並べて見ると、4734
エドワーディアン ティースプーンの方が、ひとまわりと言わずふたまわりほど小振りになっており、博物学的な興味の対象ともなりえましょう。
ただし、4734 ティースプーンはジョージアンと比べれば確かに小振りではありますが、柄の最大厚みは2ミリもあり、銀をたっぷり使って作られており、手にしてみて重厚感ある仕上がりになっています。
写真二番目に見えるホールマークは順に「Josiah
Williams & Co.」のメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、そして1907年のデートレターになります。
一般にヴィクトリア時代創業のシルバースミスが多い中にあって、この品を作ったJosiah
Williams & Co.はジョージアンの時代に始まった老舗の一つになります。 1800年創業のJosiah
Williams & Co.はブリストルのメーカーで、地方では最大のシルバースミスでした。 メーカーズマークは当時の共同パートナーであった二人、George
Jackson & David Fullertonの頭文字GJDFが刻まれています。
今日でも中世の街並みや大聖堂が美しいブリストルは、16世紀にはエイボン川河口の貿易港として栄え、その後はイングランド南西部の主要都市として発展しました。 しかし大きな都市であったがゆえに、第二次大戦中の1940年11月24日にはドイツ軍による空襲を受け、Josiah
Williams & Co.も工房を失い、残念ながら140年の歴史に幕を閉じました。
このスプーンのパターンは柄の形がヴァイオリン(Fiddle)に似ていることから、フィドルパターンと呼ばれます。 もともとは18世紀のフランスで人気だったこのフィドルパターンは、19世紀に入った頃からイギリスでも次第に流行っていきました。 フィドル パターンについてはアンティーク情報欄「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事もご覧ください。
11/19 No. 4505 エンジェルヘッド モチーフ ノルウェー シルバー ティースプーン
長さ 11.5cm、重さ 10g、最大横幅 2.25cm、柄の最大幅
1.5cm、柄の最大厚み 2mm、ノルウェー製、Marius
Hammer作、一本 五千円(3本あります。)
お手入れしたところ、綺麗になりましたので、写真を撮りなおしてみました。 レイノルズのエンジェルヘッドを思わせるモチーフに惹かれて求めた品で、北欧アンティークの中でもノルウェー製のシルバー ティースプーンになります。 裏面にはノルウェー製シルバーのスタンダードである「830」の刻印と、メーカーズマークが刻印されています。
ボール部分の先細なシェイプと、三つ葉の柄先に植物模様とエンジェルヘッドが可愛らしく、優雅な雰囲気で気に入りました。 柄の中ほどに見えるねじり構造は、柄の強度をアップするのと同時に、光の反射が綺麗で装飾的な美しさを追求するのに役立っています。
柄の裏面に刻印されたホールマークは、ノルウェー製シルバーのスタンダードマークと、マリアス・ハマーの「MH」マークです。 シルバースミスのマリアス・ハマー(1847年-1927年)は、ジュエリーも手がけたノルウェーの有名どころになります。
ノルウェーの銀にはデートレターの制度がないので、製作年を特定することが難しいのですが、マリアス・ハマーの作であることからして、百年ほどの時を経たアンティークであると考えられます。
11/19 No. 4732 William Bateman スターリングシルバー フィドルパターン ティースプーン
長さ 14.2cm、重さ 19g、ボール部分長さ 4.9cm、横幅
2.9cm、ボールの深さ 7mm、1814年 ロンドン、William
Bateman作、八千円
二百年近く前に作られたフィドルパターンのティースプーンで、William
Batemanの作になります。 写真二番目で見えるように、ブリティッシュホールマークがしっかり刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順に「William
Bateman」のメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1814年のデートレター、そしてジョージ三世の横顔マークはデューティーマークです。
英国アンティークの時代別カテゴリーで言えば、エドワーディアンやヴィクトリアンよりも、さらにもう一つ古いジョージアン アンティークであることは、やはり大きなポイントになりましょう。
ジョージアンの時代にはティースプーンとして使われた品ですが、全長が14センチにボール部分の長さが5.0センチ近くもあり、実際のところ現代的な感覚からはティースプーンとしてはかなり大きい感じです。 この品の重さは通常のティースプーンの範疇を超えていると思いますので、普段使いの一本として、デザートスプーンやプリザーブスプーンとしてもお使いいただけると思います。 また、お茶の席でティースプーンとして見かけると、その存在感は圧倒的で、裏面のブリティッシュホールマークとも併せて、珍しくて話題性のあるアンティークとなります。
ホールマークのガイドブック 『Jackson's Hallmarks』によれば、William
Batemanについて 「Very good (best of the
Batemans)」 とコメントされており、この品の場合はシルバースミスの名前も大きなポイントになっています。
数多いシルバーウェアの中でもベイトマン ファミリーの品は別格に扱われることが多いようです。 一つには二百年近い年月を経ているということがあるでしょう。 しかしそれでも、なぜ?と思われる方も多いはずです。 手にとって直に見てみると、ボール部分が先細なタイプで品の良さを感じ、柄の曲線のなんとも言えない優雅さ、手仕事のみが生み出す温かさが多くの人を惹きつけてきた要因であることがわかります。
そうは言っても、ベイトマン以外のフィドルパターン ティースプーンの品とここがどうしても違うとは私は思わないのですが。 結局のところベイトマンがアンティークシルバーにおいて別格なのは、鶏が先か卵が先かの議論にもなりますが、コレクターの需要が強いからということになるのでは、と思います。
英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますが、このスプーンが作られたのは1814年ですから、余裕でアンティークのカテゴリーに入るどころか、あとしばらくでダブルアンティークにもなるわけで、やはりこれほどの古さは大きな魅力と言えましょう。
この品が作られた1814年というのは、日本では十一代将軍徳川家斉の時代で、伊能忠敬が地図を完成させています。 イギリスではスティーブンソンが蒸気機関車を発明しています。 さらにはアメリカとイギリスは二年にわたる米英戦争をしており、現代における米英の結束を鑑みるに、まさに隔世の感があるのです。 アンティークを手にして、その品が作られた時代に思いを馳せてみることはアンティークコレクターの大いなる喜びであり、遠い昔が身近に感じられるのは、とても楽しいことだと思うのです。
それから、柄先にホールマークを刻印することをトップマーキングと言いますが、1800年前後にロンドンで作られたティースプーン等の小物シルバーウェアのトップマーキングにおいては、ロンドン レオパード ヘッドの刻印を省略することが当時流行っていました。 このティースプーンにもロンドン アセイオフィス マークがありませんが、同時期に作られたロンドン物ではよく見かける傾向なのです。 おそらくロンドン中心思考がこうした習慣を生んだと思われますが、1830年ぐらいから以降は改まりきっちり刻印されるようになっていきます。
11/19 No. 4731 スターリングシルバー マッチケース
縦の長さ 4.2cm、横 2.9cm、厚み 1.3cm、重さ
8g、1914年 バーミンガム アセイオフィス、一万二千円
スターリングシルバーのマッチケースで、比較的珍しいアンティークと思います。 作られたのは今から九十五年前の1915年で、エドワーディアンの時代が終わってすぐの頃になります。 もうすぐ百年が経とうという古さはアンティークとしての魅力になりましょう。
写真二番目に見えるように側面部分には、四つのブリティッシュ ホールマークが刻印されているのもこの品のよい特徴です。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1914年のデートレターになります。
小さめサイズで、マッチケースというよりはマッチ箱を覆う銀のカバーと言えるかも知れません。 それでも、こういうアンティークなシルバーでマッチを囲えば、いい感じになろうかと思います。 日常使いにマッチというのが、そもそも既にレトロな雰囲気ですが、このアンティーク シルバーでレトロさ加減が増すことは間違いないでしょう。 私はヴェスタを使っているのですが、銀のマッチケースというのも、なかなか渋い味わいがあっていいものだと思うのです。
レトロなマッチについては、以下のサイトもご覧ください。
ノスタルジア マッチ http://www.nostalgia.co.jp
写真のマッチケースは小さめサイズと思うので、市販のマッチ箱ではぴったり入るサイズはないかも分かりません。 ぴったりサイズのマッチ箱を作ってみるのも楽しみのうちでしょう。
11/18 No. 4730 Forget-me-not ハンドエングレービング ヴィクトリアン スターリングシルバー ティースプーン 一部 SOLD
長さ 12.5cm、重さ 13g、ボール部分最大幅 2.55cm、柄の最大幅
1.2cm、柄の最大厚み 2mm弱、1899年 シェフィールド、一本
五千円、(6本あります-->5本あります。)
柄先に二つ、柄の中ほどに二つ、そしてもう少し下った辺りに一つ、勿忘草(わすれなぐさ)の手彫りの彫刻が印象的なスターリングシルバーのティースプーンで、作られたのは今から百十年前のヴィクトリア時代は最後の頃になります。
「Forget-me-not(勿忘草、わすれな草)」は、ヨーロッパを原産とする、薄青色の小花が可憐な一年草で、信実とか友愛のシンボルとされます。 花言葉は「Forget-me-not」そのもので、「忘れないで」です。
Forget-me-notのエングレービングは清楚な感じながら、花びら部分は深めな彫刻で、くり貫き彫りのように彫刻切面がいろいろな方向に向くことから、ブライトカットと同様な効果をもたらし、光の反射を美しく誘います。 また、写真では解像力不足でよくご覧いただけないのですが、葉っぱの内側には、細かなドット状の飾り彫りが効いています。 繊細な仕事振りと思いますが、彫りの様子を見ていると、全体として優しく穏やかな雰囲気が伝わってくるように思います。
裏面をご覧いただくと、四つのブリティッシュホールマークがどれもしっかり深く刻印されているのも、このアンティークのよい特徴です。 写真三番目で見えるホールマークは順にメーカーズマーク、1899年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールド アセイオフィスの王冠マークです。
この品が作られたヴィクトリア時代の背景については、英国アンティーク情報欄にあります「14. Still Victorian」や「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」の解説記事もご参考ください。
ちなみにヴィクトリアンの物品を示すアンティーク専門用語に「Victoriana」という言葉があります。 ヴィクトリア時代は1837年から1900年までの六十余年の長きにわたり、英国の国富が大いに伸びた時代なので、アンティークコレクターにもヴィクトリアーナ専門という方が英国には結構いらっしゃるようなのです。
11/17 No. 4726 スターリングシルバー ティースプーン
with ピアストワーク SOLD
長さ 11.1cm、重さ 12g、最大横幅 2.4cm、ボール部分深さ
7mm、透かし柄の最大幅 1.15cm、1915年 ロンドン、Wakely
& Wheeler作、五千円
銀が厚めでしっかり出来たティースプーンです。 手仕事の透かしは手間のかかった仕事で好感がもてます。 裏面には四つのブリティッシュ ホールマークが刻印されています。 ホールマークは順に、「Wakely
& Wheeler」のメーカーズマーク、1915年のデートレター、ロンドン レオパードヘッド、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントになります。
お客様から、「バラ売りされているティースプーンはないでしょうか。ちがった年代、デザインを1本ずつ集めるのも楽しいのでは・・・」とお便りいただきました。
実は私も以前にティースプーンをちがった年代、デザインで1本ずつ集めるのも楽しいのではと思ったことがあったのです。 知り合いのアンティークディーラーのお宅にお邪魔してお茶をご馳走になった時、出てきたティースプーンが、プレーンなジョージアンスプーンでしたが、セットではなくちがった年代とデザインでした。 そのことでかえってスプーン一本一本を眺めたり、ホールマークを見比べたりと話が弾み、セットのティースプーンであったら出来なかったような会話を楽しむことが出来たのです。
銀のティースプーンをあつめてみる、はじめの一本にお薦めできるアンティークと思います。
この品を作ったシルバースミスのWakely &
Wheelerは、その創業が1791年という老舗です。 創業者はジョン ライアスという人でしたが、19世紀の後半には創業家のライアスファミリーは仕事から退いて、当時のパートナーであったウェイクリーとウィーラーによって事業が引き継がれていきました。 ガラード、エルキントン、マッピン&ウェッブといった有名メーカー&リテーラーにライアス時代からずっとシルバーウェアを納入していたWakely
& Wheelerは、ジョージアンとヴィクトリアンを通しての優良シルバースミスの一つと言ってよいでしょう。
11/17 No. 4725 スターリングシルバー GOOD LUCK ホースシュー ペンダントヘッド
with デートレター「N」 今回入った銀のホースシュー三つ、これでサイトアップ完了しました。
写真で見てホースシューの横の長さ 2.4cm、縦
2.3cm、最大厚み 3mm、1937年 バーミンガム、一万四千円
グッドラックの縁起物で、シルバースミスは「HG&S」になり、オーソドックスなタイプです。 表はリアルな蹄鉄デザインで、裏面には「GOOD
LUCK」と「ENGLAND」の文字が見えています。 どちら向きに使っても、楽しめるところもよいでしょう。
留め具の円環は太めなタイプで、この円環自体にもスターリングシルバーを示すライオンパサントの刻印があるのもポイントです。
GOOD LUCKのよい意味合いに相俟って、スターリングシルバー素材であることから、四半世紀ほどの時を越えて、現代までコンディションよく大事にされて残ってきたものと考えられます。
11/17 No. 4720 エドワーディアン スターリングシルバー クロス
縦の長さ 3.9cm、留め具を含む全長 4.8cm、横の長さ
2.5cm、帯幅 6mm、厚み 1mm、1904年 バーミンガム、一万九千円
お手入れしたところ綺麗になったので、写真を撮り直してみました。
三つ葉が左右交互に向きながら、たくさん並んで彫られていて、三つ葉のバックにもとても細かなエングレービングが施されています。 このパターンの彫刻はヴィクトリアンからエドワーディアン頃に流行ったデザインになります。
基本デザインは深めな彫りで、葉っぱが左右交互に向かうことから、その彫刻切面はブライトカットと同様な効果をもたらし、光の反射を美しく誘います。 ブライトカットとは十八世紀終り頃から、英国においてその最初の流行が始まった銀装飾の手法です。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。
三つ葉デザインの手彫りエングレービングはレベルの高い仕事です。 写真では解像力不足でよくご覧いただけないのですが、背景にある濃いめの色合いでシェードがかかったように見える部分も、1ミリ間隔に何本もの微細な彫刻線でエングレービングを施したもので、ハンドワークとしては限界に近い仕事です。
英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します、そして百年もので素晴らしいアンティークはそうはないものです。 この品は105年の時を経ており、余裕で厳密なカテゴリーに入るエドワーディアン アンティークです。
裏面に四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻んであるのも好印象です。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1904年のデートレターになります。
また、留め具の円環にもスターリングシルバーを示すライオンパサントが刻印されており、クォーリティーの高さを示しています。
19世紀後半からしばらく、ヴィクトリアンやエドワーディアンのイギリスでは、植物を好む自然主義的傾向が顕著でした。 バルコニーやガーデンファーニチャーに絡まるアイビーが好まれ、稠密かつ精巧なナチュラルデザインとしてファーン(シダ)が好まれました。 あるいはコンサバトリーでの観葉植物や薬草の栽培もガーデニングの延長として流行ったのです。
そういえば、もともとは王宮庭園であったキューガーデンが、王立植物園として生まれ変わったのはヴィクトリア時代の初め頃でありました。 植物研究施設としてのキューガーデンが、ヴィクトリアンの人たちの植物好みを引っ張ったと言うこともあるでしょう。
写真のシルバーアンティークに施された植物文様には、ヴィクトリアンの人たちの植物好きが色濃くは反映されているわけです。
それから、このアンティークが作られた頃の時代背景について、英国アンティーク情報欄にあります「14. Still Victorian」もご参考まで。
11/17 No. 4705 スターリングシルバー チャームブレスレット
ブレスレット一周の長さ 17.0cm、重さ 31g、伝書鳩の横幅
1.5cm、ハート留め具の横幅 1.5cm、二万三千円
くるくるチャーム:ハートを指で弾くと、「HAPPY
BIRTHDAY」の文字が浮かび上がる仕掛けチャームです。
マザーグースのナーサリーライムに、花嫁が身につけると幸せになれるといわれるサムシング・フォーに続いて、以下のように一節があり、六ペンスが好まれる背景になっています。
Something old, something new,
something borrowed, something blue,
and a sixpence in her shoe.
これがサマセット・モーム『月と六ペンス』に言われる六ペンスになわけですが、余談ながら、『月と六ペンス』という対比的な題名になんとも惹かれるのですが、皆さん如何でしょうか。 この小説を読むと六ペンスを持ってみたい気がしてくるように思うのです。 ちなみにモームは「幻想と現実」を表象する二つのものとして月と六ペンスを選んだようです。
六ペンスによい意味合いが付与されてきた背景には、イギリスにおける長い歴史的な事情があるわけですが、そうした歴史の中に「イングランド銀行を救った六ペンス」の話もありますので、ついでにご紹介しておきましょう。
『Manias, Panics and Crashes (Kindleberger著)』という本によれば、南海泡沫事件のさなかの1720年9月にイングランド銀行で取り付け騒ぎが起こり、大勢の預金者がお金を引き出そうと、イングランド銀行に殺到しました。 資金ショート寸前であったイングランド銀行が危うく倒産を逃れたのは、六ペンスのおかげであったというのです。
11/16 No. 4680 スターリングシルバー リング with
ブリティッシュ ホールマーク
リング内径 1.55cm、外径 1.8cm、銀の厚み 1mm強、帯幅
1.0cm、重さ 5g、1975年 ロンドン アセイオフィス、一万四千円
しっかりしたスターリングシルバーのリングです。 ファセット面がさまざまな向きになり、ブライトカットと同様な効果があって、光の反射がとても綺麗です。 素材は1ミリ強と銀が厚めで、帯幅は1センチもあることから、手にした感じが重厚で、それはリングとしてはかなりの持ちはかりといえる5グラムという重さとなって現れています。
ブリティッシュ ホールマークがこんなに深く刻印されているリングも見たことがありません。 刻印を打ち込んだ深さは0.5ミリほどになっているのではないでしょうか。 ホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、そして1975年のデートレターになります。
ルーペで見てみると、レオパードヘッドの表情も豊かに見えますし、ライオンパサントやデートレター「A」もとてもはっきりしております。 アンティークハント用のルーペがお手元にあれば、より楽しめるブリティッシュ シルバー リングになるでしょう。
比較的近年の品ですが、それでも三十四年が経過しております。 そのわりにはコンディション良好なことからみて、ほとんど使われることなく現在に至っている品と考えられます。
11/16 No. 4723 スターリングシルバー マッチケース
縦の長さ 6.05cm、横 3.9cm、厚み2.0cm、重さ
30g、1928年 ロンドン アセイオフィス、一万六千円
スターリングシルバーのマッチケースで、比較的珍しいアンティークと思います。 作られたのは今から八十年以上前の1928年になります。 大きめサイズで持ちはかりがあり、しっかり作られているのは好印象です。
私はヴェスタを使っているのですが、銀のマッチケースというのも、なかなか渋い味わいがあっていいものだと思うのです。
30グラムという銀の重さは、けっこうな持ちはかりで、携帯して持ち歩くにはどうか、ちょっと微妙なところではあります。 しかしながら、手にしてみると、純銀の重さが心地よいアンティークなマッチケースであります。 また、シンプルなデザインの純銀というものは、銀の色合いは思っていた以上に美しく、まろやかで心がやすまるものであると、あらためて気付かせてくれることもあるように感じます。
写真二番目に見えるように側面部分には、四つのブリティッシュ ホールマークが刻印されているのもこの品のよい特徴です。 ホールマークは順にメーカーズマーク、ロンドン レオパードヘッド、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1928年のデートレターになります。
横サイドは両面ともに、写真一番目で手前に見えるような楕円のくり貫き構造になっています。 奥も楕円形のくり貫きで、残りの一面はマッチケースが出し入れ出来るように全開の構造です。
中にはJ.John Masters &Co. Ltd, LONDON,
PIONEER Matchesのマッチ箱が収納されていたので、そのままお送りします。
11/15 英国アンティーク情報記事一覧へ:週末ですので、お時間ございましたら、次のような情報記事もご覧いただければ嬉しいです。
39. イギリスと日本、笑いの違いについて
37. アンティークと歴史経済の大循環について
36. イギリスの学習参考書から眺めた英国における古典教育(シェイクスピア
英語原典の読み方)
27. ホールマーク漏れと英国人気質
17. 海沿いのアンティークな村、Cley Next the
Sea

11/14 No. 4314 ヴィクトリアン クレッセント モチーフ スターリングシルバー ブローチ
with ローズ ゴールド デコレーション
横の長さ 4.3cm、縦長 2.6cm、三日月の直径
2.35cm、本体部分の最大厚み 4mm、ヴィクトリアン後期の英国製、一万五千円
今から百二十年ほど前のヴィクトリアン後期に作られたスターリングシルバー ブローチです。 当時はJapanese
craze(日本趣味の大流行)の時代でしたので、メインモチーフの三日月はその影響と考えられます。
三日月は花札の絵柄に代表されるように、ジャポニスムの主要なモチーフでありますが、同時に西欧文化にあっても
Crescent Moon(三日月)はギリシャ神話のアルテミスや、ローマ神話のディアーナといった月の女神を象徴する古くからのモチーフでもありました。
小花や葉っぱの部分には9カラット ローズゴールドの薄板が取り付けられており、一段高くなった構造です。 フラワーデザインの彫刻はかなり繊細な手仕事なので、ヴィクトリアンの素晴らしい職人技を堪能できます。 フレーム周りに配された銀の粒々飾りはグラニュレーションと呼ばれ、ヴィクトリア期に好まれた銀装飾の手法になります。
9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金です、金以外には銅を多く含むものは、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドとも呼ばれます。 英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドアクセサリーでもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 ローズゴールドはVery
Britishな装飾素材なのです。 いわゆる黄金色ではありませんが、ゴールドの気品を保ちながら温かみのある色合いなので、私はローズゴールドが好きです。
メーカーズマーク以外のホールマークはありませんが、ヴィクトリア時代後半の作で間違いないでしょう。
1853年のペリー来航以来、日本の工芸が広く西欧に紹介され、英国シルバーの世界にも日本の伝統的なモチーフとして蝶などの虫、飛翔する鳥、扇、竹、さくら等のデザインが取り入れられていきました。1870年代、80年代のこうした潮流はオーセンティック ムーブメントとして知られています。
サムライの時代が終わった頃、1870年代前半における英国のジャポニスム取り込みについては、英国アンティーク情報欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」記事後半で詳しく解説していますのでご覧になってください。
その後のジャポニスム研究は、モチーフブックなどの成果となって、以下のような書籍が次々と発表されていきます。
「Art and Art Industries of Japan(1878年、
Sir Rutherford Alcock)」、 「A Grammar of
Japanese Ornament and Design(1880年、Cutler)」、「Book
of Japanese Ornamentation(1880年、D.H.Moser)」
そして1880年代の後半にはジャポニスム モチーフブックの集大成である「Japanese
Encyclopedias of Design(Batsford)」が出て、Japanese
craze(日本趣味の大流行)のピークとなりました。
ヴィクトリアン後期の英国にあってはジャポニスムが新鮮で、大きな顧客需要があり、モチーフブック等の基礎資料も充実していたことが、今日私たちが日本趣味な英国アンティークシルバーにお目にかかれる理由なのです。 百数十年も前に多くのイギリス人たちが日本に大いなる関心を持っていたことには驚かされます。
求めたままの状態なので銀の黒みが感じられますが、あまり使われた様子がなくコンディション良好な品ですので、お手入れすれば綺麗になるでしょう。
ただし、シルバーアンティークはお手入れが過ぎない方がよろしいという意見もあって、銀の黒みをむしろ尊び、その古びた風合いを愛される方もあります。 そう言われてみると、そんな銀の扱い方がかっこいい気もしてくるもので、たしかにイギリスにはあまりピカピカに磨かずに、銀の渋い色味を楽しみたいという人たちが多いようにも思います。
お好みの問題となりますが、お手入れするかしないか、難しいところであります。 そして、私はといえば、銀の渋い味わいをと思いながらも、やはりついつい磨いてしまう方なのです。
11/13
アンティーク オイルランプ、ヴェスタ、蝋燭消し、パイプ : 品物一覧を整理しました。
アンティーク シルバー アクセサリー (1) : 品物一覧を整理しました。
11/12 No. 4484 エドワーディアン プレストグラス テーブルオイルランプ
高さ 43.5cm、円形底の直径 10.7cm、1900年から1910年頃、四万二千円
今から百年ほど前のエドワーディアンの頃に使われたテーブルランプです。 オイルタンク部分のプレストグラスの中には、製造時に紛れ込んだ小さな気泡が見えますし、上部カバーグラスの不均質さも現代のガラスではありえない、いかにもアンティークガラスの味わいがあります。 カバーガラスのトップに装飾が効いているのも、好感が持てます。
古い品ではありますが、今日でも実用可能な使えるアンティークです。 実際のところイギリスでは停電が起こることも稀ではないので、趣味で求めたアンティークランプを非常時の備えとされている方もあるのです。
夏目漱石の『琴のそら音』を読みました。 時代背景は日露戦争の頃と思いますが、アンティークな灯りについての記述が多くて、エドワーディアンの英国と重なる感じで、興味深く読みました。 物語ではいきなり最初の一行目から洋灯(ランプ)という言葉が出てきます、いくつか灯りについての記述を抜き出してみました。
「あるいは屋敷の門口に立ててある瓦斯燈ではないかと思ってみていると、」
「三分心の薄暗いランプを片手に奥から駆け出して来た婆さんが頓狂な声を張り上げて」
「天井に丸くランプの影が幽かに写る。見るとその丸い影が動いているようだ。」
「由公はランプのホヤを拭きながら真面目に質問する。」
「幽霊だの亡者だのって、そりゃ御前、昔しの事だあな。電気燈のつく今日そんなべら棒な話しがある訳がねえからな」
今日では電気や電灯が当たり前で、アンティークは昔を想像するのは難しいところがありますが、『琴のそら音』を読みますと、灯りについてノスタルジックな気分も味わえます。
ランプが身近な暮らしというのは、それほど昔のことではないのだなあと、あらためて思いました。 読後感も爽やかな短編小説です、よろしかったら、以下をご覧ください。
夏目漱石 『琴のそら音』
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/1073_14944.html
私はアンティーク オイルランプのやわらかな灯火が好きなので、特に秋冬の夜長にはヴェスタマッチをシュッと擦っては、ランプに灯を入れるのが楽しみになっています。
灯をつける時には、カバーガラスを外しておいて、最小限に出しておいた灯心に火をつけたら素早くカバーグラスをかぶせます。 燃料は灯油を使いますが、アウトドア用品店でランプ専用のオイルを買っても良いでしょう。 専用オイルの方が匂いやすすが少ないようです。
オイルランプは灯心を絞った方が、ほのかな灯火を眺めて落ち着いた気分に浸りやすいように思います。 写真三番目には灯火の様子も写真に撮ってみましたので、ご覧になってください。
アンティーク オイルランプについては、「英国アンティーク情報」欄にあります「22. ヴィクトリア時代の灯りについて」の解説記事もご参考ください。
11/12 No. 4712 ヴィクトリアン ピンチバック ロケット
楕円の長径 2.75cm、短径 2.2cm、厚み 5.5mm、重さ
7g、ヴィクトリアン後期からエドワーディアン頃の英国製、一万八千円
このヴィクトリアンロケットは、作りもアンティークな上に、かなり綺麗と思います。 彫刻の確かな技術、そして品のよさが時を経たアンティークであることを伝えてくれる。 そういう品はそれほどはないものです。
厚さが5.5ミリと厚めなロケットのボディー部分に、上下からピンチバックの板を張り合わせた構造をしており、ロケットとして昔の工作方法で、いかにもヴィクトリアンな作り方がしてあります。 現代のロケットは一枚板から打ち出す方が普通でかつ容易なので、この手間のかかった作りからして、古いロケットであることが伺い知れるのです。
両面ともに幾何学模様はゴージャスな飾り彫りになりますが、表に見える小さなクロスには清楚な美しさを感じます。 雰囲気が違った表と裏のデザインが二通りに楽しめるのはよいでしょう。 彫刻レベルはアンティークでしか手に入らない高い水準にあると思います。 両面ともにエッジ周りにはブライトカットの楕円周が刻まれているのも気に入りました。
エングレービングは手仕事としては限界的な技巧が凝らされており、基本デザインの背景部分には、1ミリ間隔に何本もの彫刻線を引いて影を付けた細工も見て取れます。 ルーペで詳しく見ていくと、楽しみがよりいっそうに深まるアンティークです。
ロケットの素材はピンチバックと呼ばれるアンティークな素材です。 この素材は銅と亜鉛の合金で、ゴールドの色あいをもたらすジュエリー素材として、ヴィクトリアンの英国で好まれてしばしば使われました。 元々は1720年ごろにロンドンの時計メーカーであったクリストファー ピンチバックという人が発明したことから、ピンチバックの名で呼ばれるようになったのでした。
デートレター等のホールマークが無いので年代特定が難しいのですが、ロケットの作り方、素材や構造、モチーフとデザイン、そしてエングレービングの素晴らしさ等からみて、ヴィクトリアン後期からエドワーディアン頃の品と思われます。
No. 4313 小花デザイン ヴィクトリアン スターリングシルバー ボタン SOLD
直径 1.65cm、重さ 2g、厚み(留め具含まず)
1mm強、厚さ(留め具含む) 6.5mm、1898年 チェスター、六千円
ヴィクトリアンの終り頃に作られたスターリングシルバーのボタンで、小花のデザインが可愛らしくて気に入りました。 ブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されていることは、この百年以上の時を経たアンティーク銀ボタンのよい特徴の一つです。 ホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、チェスター アセイオフィスのシティーマーク、そして1898年のデートレターになります。
ヴィクトリアンの物品を示すアンティーク専門用語に「Victoriana」という言葉があります。 ヴィクトリア時代は1837年から1900年までの六十余年の長きにわたり、英国の国富が大いに伸びた時代なので、アンティークコレクターにもヴィクトリアーナ専門という方が英国には結構いらっしゃるようなのです。
写真の銀ボタンが作られたヴィクトリア時代の背景については、英国アンティーク情報欄にあります「14. Still Victorian」や「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」もご参考まで。
さらに、チェスターシルバーというのも希少価値があってポイントとなりましょう。 英国各地のアセイオフィスで検定を受けたスターリングシルバーのおそらく9割以上は、ロンドン、シェフィールド、バーミンガムのいずれかの品で、チェスターは数が少ないのです。
写真一番目で見て、小花の中央からやや上の辺りに、チェスター アセイオフィスのシティーマークがくっきりと読み取れます。 チェスターのマークは「Three
Wheat Sheaves(三つの麦束)」と呼ばれ、1686年から使われてきたものですが、1962年にチェスターアセイオフィスが閉鎖となったので、今はもうありません。
ウィート シーフ(麦束)とは、豊穣、生産力(Fecundity)、肥沃さ(Fertility)のシンボルで、英国ではラッキーモチーフとして好まれる縁起物です。 そもそも小麦はギリシャ神話に出てくる「農業、豊穣、結婚の女神デーメーテール」を象徴しています。 以前にミントン美術館で見た「ウィート シーフを抱えた少女の絵皿」にとても惹かれ、この少女の顔立ちはデーメーテールを意識したのかしらと、妙に気になったのを覚えていて、それ以来どうも私はこのウィート シーフというモチーフに惹かれるのです。
ちなみに、ミントンの絵皿については、「英国アンティーク情報」欄の「13. 英国陶器の街、ストーク オン トレント」の解説記事に写真がありますのでご覧ください。
No. 4696 ブラス & ガーネット フラワーブローチ SOLD
長さ 5.2cm、重さ 8g、横幅 3.6cm、本体部の厚み
6mm、留め具を含む最大厚み1.1cm、ハート形の大きいガーネット最大幅
6mm、八千円
ブラスフレームにガーネットの入ったフラワーブローチです。 五つの花びらを構成しているガーネットは一つひとつがハートの形をしています。 写真二番目で見えるように、フレームの抜けた構造によって光が通りやすく、ガーネットが明るい色合いに感じられるのも好印象です。
ガーネットをフレーム裏面からルーペで見てみると、フレーム下方に向かって多角錐状のパビリオンが伸びているのが分かります。 通り抜けた光がパビリオンのカットで屈折したり反射することで、ガーネットの輝きや美しさが増していきます。
裏面から見ると、ブラスフレームのカットがハートの形をしているのも作りのよさを示しておりますし、可愛らしい感じが気に入りました。 細工の様子からみて、1930年代に作られたブローチと思います。
現代でも馴染み深いハートのデザインですが、イギリスにおけるハートモチーフの歴史をたどりますと、ジョージアンの頃登場しヴィクトリア期に大流行した経緯があります。 その後は大流行という現象はないものの、コンスタントに人気のあるモチーフとして定着していきました。
ブラスのお手入れについては、ブラス専用の磨き液がありますので、ご紹介しておきましょう。 私はReckitt
& Colman社のBrassoという磨き液を使っています。 スペイン製ですが、なぜか缶の表には英国王室御用達のQE2マークがあります。 イギリスの方はブラスが好きで、マナーハウスのドアノブ、パブのカウンター、ホテルの調度品等、昔から英国風には欠かせない素材であったことが関係あるのかも知れません。
No. 4686 ファージング コイン ペンダントヘッド
with ゴールドギルト 一部 SOLD
直径 2.0cm、留め具を含む縦長 2.7cm、厚み
1.5mm、ファージング コインは1943年鋳造、一つ
八千円 (三つあります-->二つあります。)
英国のファージング コインにゴールドギルトを施したペンダントヘッドです。 ファージングという今では使われていない通貨単位の響きにノスタルジーを感じますし、昔の通貨制度を考えてみるよい材料になって、興味を惹かれます。
Farthing コインは四分の一ペンスに相当し、13世紀に初めて作られ、それから700年以上にわたって英国で使われてきた歴史があります。 第二次大戦後のインフレーションの為に、次第に使う意味がなくなってきて、1960年に廃止となりました。
デザインになっているのは ウェン(Wren) という鳥で、尾を高く上げる姿が特徴的です。 成長しても体長が10センチにも満たない、イギリスで最も小さな鳥として知られています。 おそらくファージングが小さな貨幣単位であることから、デザインに採用されたのでしょう。
英吉利物屋をご贔屓いただいているお客様から、『ウェンという鳥、見たことがあるような、ないような・・』といただきました。 私も思うところが一緒だったので、ウェン(Wren)について、もう少し調べてみましたら、いろいろ分かってきました。
まずこの鳥はイギリスにも日本にもいます。 小さくてけっこう動きが素早いので、じっくり見たことがある方は少ないかも知れませんが、山奥の渓流とかで声を聞いた経験は皆さんあると思います。 日本での名前はミソサザイ、鳴き声のいい鳥です。 野鳥好きな方は大勢いらっしゃるようで、ユーチューブで「ミソサザイ」と検索すると、たくさん出てきます。 鳴き声を聞くと、ああ聞いたことあるなと思われることでしょう。
マザー・グースでも有名な『誰が殺したクック・ロビン』に出てくるロビンという鳥がいますが、このロビンとウェンは夫婦だという考え方が、昔のイギリスにはあったようで、興味深く思っております。 そもそも別種ですから、科学的にはありえないのですが、ロビンが雄鳥、ウェンが雌鳥で夫婦と見られたようなのです。
ロビンはちょっと風変わりな鳥で、庭で芝刈りしておりますと、周りの小枝やガーデンゲート止まって人を見張るような挙動をします。 その本当の理由は、芝刈りすると地面から出てくるミミズなど捕ってやろうということらしいのですが、この庭はロビンの縄張りだとばかりに、人を見張る姿は滑稽でもあり、人懐っこい鳥なのかなあとも思うのです。
そして「王立園芸学協会」と「野生動物トラスト」による、庭で見かける生き物たちのお気に入りコンテストでは、ロビンは上位に入賞する人気の鳥でもあります。
そうすると、人気者ロビンの奥さんであるウェンも、イギリスではそれなりの人気を持っていて、そんなことを背景にイギリス硬貨のデザインに選ばれたのか、などと考えております。
裏面の肖像は現女王エリザベス二世の父君にあたるジョージ六世です。 「王位を賭けた恋」で有名なエドワード八世が劇的な退位を遂げた後に、急遽、英国王になったのがジョージ六世でした。 ご本人も自分が国王向きなパーソナリティーであるとは思っていなかったようで、それまでに国王になる準備がまったく出来ていなかったこともあって、初めのうちは周囲からも大丈夫だろうかと心配されました。
ところがその後の対ドイツ戦争中に、側近たちがバッキンガム宮殿からの疎開を進言したのに、それを拒んで、爆撃を受けるロンドンから執務を続けたことで、国民の人気が上がりました。 戦争中のロンドンはしばしばドイツの爆撃機が来たり、さらにはV1やV2と呼ばれるミサイルまでもが飛んでくる危険な状況でありました。 そんな中でロンドンにあって英国民を鼓舞し続けたジョージ六世の評価が上がったのは当然と言えば当然でしたが、さらには王妃や子供たちを大切にする理想的な家庭の夫であったことも、「良き王」として英国民の尊敬を集める理由となったのでした。
No. 4706 ヴィルヘルミナ女王 オランダ銀貨のスプーン SOLD
長さ 11.9cm、重さ 14g、1グルデン銀貨の直径
2.6cm、厚み 2mm弱、1グルデン銀貨は1940年製、柄先の25セント銀貨は1944年製、五千円
ボール部分はオランダの1グルデン銀貨を最大厚みが7ミリになるまで、パラボラ状に打ち出して丸みをつけた構造になっています。
柄先の飾りをご覧いただくと、表側の縁辺部はふっくらシェイプになるように、角を削り落とした上で磨いてあって、もともとの銀貨の面影を感じさせないまでに完成度が高められています。 ところが、裏面をご覧いただくと、「25
CENTS 1944」の文字が見えてきて、この飾り部分も元々はオランダの銀貨であったことが分かるのは、ちょっとしたサプライズな楽しさです。
オランダの25セント銀貨にピアストワークを施して、ヴィルヘルミナ女王のポートレートを浮き立たせた飾りなわけですが、断面をルーペで観察すると、糸鋸を引いたギザギザ跡が細やかでレベルの高い仕事です。 1グルデン銀貨にあるヴィルヘルミナ女王の肖像と比べて見ても、このポートレートの切り出しはとても精巧で、手間のかかった確かな職人技のレベルの高さに驚かされます。
今ではオランダ通貨はユーロに移行して、オリジナル通貨は捨ててしまっております。 年月が経過していけば、こうした旧オランダ銀貨スプーンのアンティークとしての面白さや価値にとっては、プラスにはたらくことでしょう。
写真二番目はボール部分の裏面で、後ろ足で立ち上がったライオンの姿と王冠が見えますが、このライオンランパントと王冠の紋章はオランダの国章です。
1880年生まれのヴィルヘルミナ女王は、わずか10歳でオランダ女王に即位して、1948年までの六十年弱にわたってオランダの女王であり続けました。 しかし1940年代前半のオランダはナチスドイツの侵略を受けて、ヴィルヘルミナ女王はオランダ政府と共にイギリスに亡命しておりましたので、英国と少なからずの縁があるわけです。
このスプーンに使われた銀貨が1940年と1944年のコインであることや、シルバースミスのレベルの高さ、そしてこの品はそもそも英国で見つけたこと等を考慮すると、このスプーンはイギリスのシルバースミスが作った可能性が高いように思います。
No. 4121 HELVETIA スイスフラン銀貨のペンダントヘッド
SOLD
直径 2.3cm、厚み 1mm強、重さ 6g、銀貨は1860年
鋳造、一万三千円
今から百五十年ほど前の1860年に鋳造されたスイスの銀貨がペンダントヘッドにしてあります。 留め具が左右二つあって、取り付けてある円環は太めな楕円形になっており、細工に手間のかかった良い品と感じます。 コインの表と裏で天地が逆になっているのも興味深く、写真二番目をご覧いただくとその様子が分かります。 ペンダントヘッドを身に着けた状態で、ひょいと上下にひっくり返すと「1
Fr. 1860」と見せてあげられるわけで、面白い構造と思います。
「HELVETIA」とあるのは、スイスのラテン名になります。 スイスの歴史を振り返ってみますと、紀元前一世紀ごろにケルトの一種族でヘルウェティと呼ばれる人たちが南ドイツあたりからスイスにやってきたと言われています。 ヘルウェティは次第に勢力を拡大して、やがてローマ帝国と衝突するようになりましたが、ジュリアス・シーザーの頃にはヘルウェティは現在のスイス領周辺にまで押し返されて、ローマ人はその地を「HELVETIA」と呼ぶようになったのです。
写真の銀貨はずいぶん昔のものですが、今日のスイスでも「HELVETIA」という言葉を使うことがよくあります。 現在のスイス連邦はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語と四つの公用語を持っており、国名を表記するときに全部書き連ねるのは面倒だし、どれかに偏るのも問題があるということで、大昔のラテン名である「HELVETIA」をアイデンティティーの指標として使っていくことがままあるのです。
お客様との遣り取りで、「スイスフランのCHFのCHって何?」というお話がありました。 そもそもCHFとは外国為替市場で取引されるスイスフランの世界共通な通貨コード名であるわけですが、詳しくは
CHF=Confoederatio Helvetica Francということで、直訳すればヘルべティア連邦フランになります。 「ヘルべティア連邦フラン」なんて言われても、馴染みがなければ、何のことやらピンときませんが、実は誰もが知っているメジャー通貨のスイスフランなのです。 日本の私たちも「HELVETIA」というスイスのアイデンティティー指標を知らず知らずに、皆で使っていることになります。
No. 4702 シルバー & マルカジット アイビー ブローチ
with ブリティッシュ ホールマーク SOLD
横の長さ 5.3cm、最大縦長 3.9cm、最大厚み(ピン留め具含まず)
7mm、重さ 11g、1963年 ロンドン アセイオフィス、一万五千円
ふんわりとした曲線フォルムが優雅な雰囲気を感じさせ、マルカジットの輝きが美しいスターリングシルバー ブローチです。 透かしのシルバーフレームには、たくさんのマルカジットがはめ込まれ、キラキラと反射光が綺麗です。
アイビーの葉っぱのデザインですが、向きを変えると見ようによってはフラワーデザインの様でもあって、いろいろな使い方が出来そうなところも気に入りました。 また、ピンの留め具が外れにくい安全構造なのもよいでしょう。
アイビーは蔦がしっかりと絡まることから、Fidelity(忠実ないしは誠実)、Friendship(友情)、あるいはMarriage(結婚)を象徴するモチーフとされます。 そしていつも緑であることから、Immortality(不滅)や
Eternal Life(永遠の魂)を表すクリスチャンモチーフともなっています。
裏面には写真二番目のように、ブリティッシュ ホールマークが刻印されていることも、この品のポイントになっています。 このタイプのブローチでは刻印がない方がむしろ一般で、あっても「SILVER」といった表示が普通ですので、ブリティッシュ ホールマークが完備していることは、この銀のアクセサリーのレアな特徴になっています。
ホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、そして1963年のデートレターです。
マルカジットは丸い粒の表面が六角錐になった鉱物で、マーカサイトと発音されることもありますが、私の周りのイギリス人は皆マルカジットと発音するので、それに従っています。 光沢のある六角錐状の表面が、光を様々な方向に反射して美しい為に、古くから装飾品に多く使われてきた素材です。
以前に英吉利物屋のお客様と以下のような遣り取りがあり、「マルカジット」というと、いつもそのことを思い出します。
お客様からのメール:
『もう15年ほど前になりますが、母から、イギリスの1950-60年頃のデットストックだというシルバーの指輪をもらったことがあり、その指輪に、「マルカジット」という石が使われていたのです。 日本語で聞くとなんだか可笑しな名前なので、母が聞き間違えたのではないかと思い、鉱石の本で調べたり知人に聞いたりしたのですが、はっきり分からず、アクセサリーを扱うお店などでも、同じ石が見つからず、いつしか諦めていました(当時は、まだインターネットなどありませんでしたし)。 そこで、そちらで扱われていらっしゃるアクセサリーに、はっきりと「マルカジット」と書いてあり、久しぶりに、母がくれた指輪のこと、そして可笑しな名前の石のことを思いだしたのです。』
私からの返信:
『「マルカジット」のお話、興味深く拝読させていただきました。 Marcasiteは「白鉄鉱」ですが、日本で発音するときは「マーカサイト」と言われる場合が多いようです。英語辞書で発音記号を見ても「マーカサイト」に近いのですが、イギリス人の発音は「マルカジット」に聞こえます。 アメリカ英語とイギリス英語で発音が違うのだと思います。私もこちらでは皆「マルカジット」と言うので、それに倣っています。お母様が聞かれた発音も「マルカジット」だったのでしょう。』
No. 4692 ヴィクトリアン スターリングシルバー ロケット SOLD
楕円の長径 3.5cm、短径 2.6cm、留め具含む縦長
4.7cm、重さ 10g、1881年 バーミンガム、二万九千円
No. 4697 エドワーディアン スターリングシルバー ボタン
with ブリティッシュ ホールマーク SOLD
直径 1.6cm、留め具を含む最大厚み 6mm、重さ
2g、1903年 バーミンガム アセイオフィス、四千円
(1つあります。)
ブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印された銀ボタンです。 ホールマークは順にバーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1903年のデートレター、そして左側にはメーカーズマークがあります。
これまでに扱ってきた銀ボタンがいくつかありますが、ホールマークから分かる製作年は、ヴィクトリア時代からエドワーディアンの時代に移った1900年を起点にして前後十数年ほどの間にかたまっているようです。 偶然なのか、あるいは銀ボタンが当時流行ったということなのか、興味を惹かれます。
といいますのも、比較的に製作年代が短い期間に集まっているアンティークというのは、コレクターとしてはその道の専門家になりやすいというメリットがあるからです。
No. 4681 オルゴール付 木製 宝石入れ小箱 SOLD
テーブル面の直径 14.6cm、高さ 8.5cm、重さ
325g、ビロード部分の縦横高さ 7.4cm*7.4cm*3.0cm、一万六千円
オルゴールの曲はJohannes Brahmsの『Cradle
Song』です。
銀のバターナイフ コーナーを増設しました。
アンティーク シルバー バターナイフ (1)
アンティーク シルバー バターナイフ (2)
アンティーク シルバー バターナイフ (3)
No. 4654 Welish Love Spoon SOLD
長さ 19.8cm、重さ 20g、最大横幅 4.5cm、最大厚み
1.7cm、ボール部分横幅 3.8cm、深さ 1.5cm、ウェールズ製、一万三千円
ちょっと変わったアンティークを見つけましたので、ご紹介しましょう。 写真の品はウェールズのラブスプーンと言われ、17世紀からのウェールズの習慣によれば、男性が好きな女性のために彫ってプレゼントする木製スプーンなのです。 現代的には、壁にかけたりして、話題性のある室内装飾品として使われるようです。
中央部のクルクルと捩れた螺旋構造は都合二回も立体交差しているのですが、これが一つの木をくり貫いて作られているのですから、なかなかの芸術品です。 「Spiral=渦巻き、螺旋」というのは、とても重要なケルティックモチーフで、渦巻きは太陽を象徴し、そこからGrowth(成長)、Expansion(拡大)、Energy(活力)の意味合いが導かれます。
ラブスプーンにはいろいろなパターンがあり、ウェールズという土地柄からケルティックモチーフのデザインも多いのですが、この品はまさにケルティック スパイラル デザインで、かなり手がかかった珍しいタイプと思います。
現在のウェールズはイギリスの一部でありますが、旅してみると、歴史的背景が異なることから、とても興味を惹かれるところです。 ウェールズについては、英国アンティーク情報欄にあります「32. ウェルシュ ボーダーの Weobley村」の解説記事もご覧になってください。
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