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30. Have a nice Christmas !


クリスマス前のこの時期になりますと、「Have a nice Christmas ! 」が、お別れの挨拶にとって代わります。もちろんクリスマスまでに、まだ会う予定のある人たちの間では交わしませんが、例えば私の場合、仕入先の方たちとは、ほぼ一ヶ月に一度のサイクルでお会いしますので、次に会うのはクリスマス明けになるわけで、「それでは、よいクリスマスをお迎えください。」と言ってお別れをすることになります。

何度も口にしていると、クリスマス気分がだんだんと高まってくるから不思議です。こちらのクリスマスは日本のお正月のようで、クリスマスカードを書いたり、ご馳走の準備をしたり、一年を振り返ってみたりと、最も大切な年中行事であることはイギリスも日本も変わりはありません。

以前にクリスマスについて書いた時に、日英で季節感が逆になっている怪談と花火大会をご紹介したことがありました。今年もアンティークを通じて、イギリスの昔と今、そして日本との違いなどを時に考えてみましたが、こうした逆転現象が他にもいくつかあることに気がつきました。一年のまとめと言うわけでもないのですが、二つほどご紹介してみましょう。

まず、先日扱ったストロベリー フラワー ブローチの説明文を書いていて、そういえば、イチゴ狩りは日本とイギリスでずいぶん趣が違うなあと、ふと思いました。

房総半島で楽しんだイチゴ狩りは、入場料を払って時間が決まっていました。果樹園で手間をかけて栽培されたイチゴを摘むというサービスを受けるわけですから、八百屋さんでイチゴを買うより割高になるのは当たり前と思われるでしょう。

ところが、英国のイチゴ狩りは、お店で買うより安くなります。イチゴ狩りに出かけても特に入場料を払うわけでもなく、入り口でバスケットが渡されます。好きなだけ時間をかけて、必要なだけイチゴを摘んだら、秤で量ってもらって量り売りの値段を払います。そしてその値段はお店で買うより安いのが普通です。背景にある考え方は、お客さんが勝手にイチゴを摘むと言うことは、出荷の手間が省けるわけで、その分が安くなるのはこれまたイギリスにおける道理なのです。

もう一つ、日本の学校の中間試験と英国のハーフターム休暇は、暮らしの中での顕著な逆転現象です。夏休みと冬休みの中間に、日本の学校では試験があるのはなぜでしょうか。二学期の中ほどともなりますと、勉強もある程度進んだし、学校にも慣れてきてだらける頃でもあるので、試験を実施して生徒の気を引き締めようということではないでしょうか。私もかつてはそういう学校生活をしてきましたし、それ以外の選択があるとは思いもよらなかったのですが、イギリスで暮らしてみたら、違ったやり方もあることを知りました。

学期の途中というのは、学校に慣れてくる頃でありますが、ちょっと疲れが溜まってくる頃でもあります。そんなわけで、イギリスの学校では各学期の中間にハーフタームといって、一週間の休みが入ります。冬場は風邪が流行る頃でもあるので、そこらで一休みして、リフレッシュを図ると言うのも道理にかなった制度なのです。子供たちがお休みになるので、親も合わせて休みを取ってホリデーに出かけたりします。

どちらがよいかは別として、学期の中間に試験が待っているのか、あるいは休暇が待っているのか、そこで暮らす人たちにとっては大違いであることは間違いないでしょう。

同じ事象に対して、ところ変われば、正反対の対応や結果が生まれてくることは興味深いと思います。私たちが今は当たり前と思っていることも、もしかすると、そうでもなくて、もっと他のやり方や考え方があるのかも知れません。

アンティークを通じて昔の暮らしをを知ることは、イギリスの今と比べたり、日本と比べたりすることで、いろいろな世界を知ることにつながります。 よその世界を知れば、今ある自分の物差しが唯一絶対ではなく相対的なものだと感じられてくるのではないでしょうか。 そうなると普段の暮らしにおいても、可能性や選択の幅が広がっていくように思います。 来年もアンティークを究めて、物差しが少しでも伸ばせればと思うのです。


最後になりましたが、この時期ですから、クリスマス レシピを一つご紹介しておきましょう。

イギリス人の友達に一風変わった プレ クリスマス パーティーに呼ばれました。 ディナーの後に陶器の絵付けをするという、その名も 「Pottery Party」。 食事をいただいた後、ワインを飲みながらほろ酔い気分で陶器に絵付けしていきます。 おしゃべりしながら楽しいひと時を過ごしました。 描いた陶器は後日焼き付けてめいめいのもとへ。 娘が作った手作りミンスパイをのせたお皿は私が描きました。 ミンスパイはクリスマスに欠かせないペイストリーです。

レシピは下記(写真下)の通りです。



ミンスパイのレシピ

クリスマスには欠かせないミンスパイは、シェークスピアの時代(16世紀)には既に英国民の間で広く愛されていたようです。 
私のレシピももちろんこの伝統に沿っていますが、甘さが控えめになっています。

パイ生地(ペイストリー)12個分
薄力粉 300g
バター 40g
ショートニング 40g
卵黄 一個分
水 大さじ 3〜4(固さを見て加減)

ミンスパイのあん 250g
干しぶどう50g、アンズ50g、アーモンドスライス5g、りんごの煮たもの一個、レモン汁半分、オレンジピール スプーン一杯、ショートニング10g、シナモンとナツメグ少々、ダークブラウンシュガー30g


(1)ペイストリーを練り、厚さ3mmほどに伸ばし、ミニマフィン型に菊の花模様で型抜きした生地を入れます。

(2)パイあんの材料を混ぜたら(出来れば一ヶ月くらい寝かすともっとよく、大人だけならラム酒やブランデーも加える)、それを生地型に小スプーン一杯ずつ入れ、その上から星、クリスマスツリー、人形などに型抜いた飾りでふたをする。

(3)200℃に予熱したオーブンで20分ほど、またはゴールデンブラウンになるまで焼く。飾りに粉砂糖をふって出来上がり。



英国アンティーク情報」欄の「13.英国陶器の街、ストーク オン トレントとクリスマスのアンティークな見方」と「14.イギリスのアンティークな行事 ボンファイヤー、ガイフォークス デイ」の解説記事も合わせてご参考ください。

(2004年12月17日)

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