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クロックメーカーズ ミュージアムへ行く。(西洋アンティークの専門誌『オクルス』 2001年1月号掲載記事です。)
今回はロンドン ギルドホールの中にある、世界でも一番古い時計コレクションとして知られるクロックメーカーズ ミュージアムをご紹介しましょう。

ギルドホールはシティ行政の中心として800年以上機能してきた、いわば市庁舎にあたる建物です。この区役所とはとうてい思えない立派な建物は、中世の同業組合であるギルドに起源を持ち12世紀以来シティの自治を支えてきました。今日でもロンドン市長すなわち、ロードメイヤーの晩餐会や定例市議会がここで開催されます。この建物を見ていると英国においてロードメイヤーは国王とも対等に渡り合える貫禄を持っていると言われるのも納得できる、一見の価値あるアンティークな建物です。

そして、このギルドホールにはクロックメーカーズ ミュージアムも併設されています。
クロックメーカーズ カンパニーは、1631年に国王チャールズ一世によって設立を許可された時計業者ギルドで、ロンドン市における時計の製作、販売をコントロールしてきました。そして今日でも時計学フォーラムを開催して職人養成活動を続ける、生きているギルドでもあります。
ここに展示されている600以上のウォッチやクロックの大半は1600年頃から1850年頃までの貴重な品々で、19世紀初めからクロックメーカーズ カンパニーによって収集されてきた世界でも一番古いコレクションです。ヴィクトリア時代半ばには一般に公開されるようになり、ミュージアムとしても130年近い歴史を誇っています。
展示品には、時計ギルド設立認可状である国王チャールズ一世のロイヤルチャーターや時計学の古文書等もあり、英国における時計の歴史を概観できるとともに、ロングケースクロックや、タバーンクロックなど英国ならではの時計も堪能できます。

イギリスで暮らしていると、有名な国会議事堂のビッグベンをはじめとして、昔からの時計が日常の暮らしに溶け込んでいるのを感じます。
教会や町の中心には時計台があり、時を告げる鐘の音を耳にします。
田舎のカントリーハウスに泊まると、ウォールクロックのストライクが夜中に響くのをべッドの中で、うとうとと聞くとはなしに耳にすることもあります。
また郊外のマナーハウスでアフタヌーンティーをしていると、グランドファーザーズクロックの音が響き、ノスタルジックな気分になります。
そういえば私が子供の頃、祖父の家にも振り子時計があった記憶があります。当時、日本でも振り子時計は割と一般的だったと思います。いつの間にかあの時計達は姿を消してしまいました。
こうした経験もあってか、イギリスで暮らし始めて間もなくアンティークの振り子時計に興味を持ちました。
いくつかのアンティーククロック屋さんを回って、気に入った百年ほど前の振り子の置時計を手に入れました。アンティーククロックというのは楽しく不思議な物です、百年前の時を刻んでいたアンティークなのに、今の時も刻むことが出来るのですから。
時計の駆動用とストライク用、二つのねじを一週間に一度は巻きます。時計の進み具合を計りながら、振り子のボブを上げ下げして微調整したりと、手間がかかりますが、それがまた楽しみでもあります。しかし一度調整してしまえば、百年前の時計でもけっこう正確に時を知らせてくれるものです。時間毎に時を知らせるストライクは趣深く、アンティーククロックをタイムキーパーにする暮らしもなかなかいいなと思います。
イギリスに来てから時間にまつわる事で驚いたのは、大人の時間と子供の時間があることでしょうか。
日本、香港、イギリスと住んでみてわかったのは、アジアの国では子供も夜、家族と外食という風に、大人と一緒に過ごす傾向がある一方、イギリスでは厳然と大人と子供の時間は分けられています。
子供はふつう、5時頃ティーと呼ばれる子供だけの軽い食事をします。7時半ぐらいにはベッドに入らなくてはいけません(6時半と言うお母さんもいました!)。そして大人は8時ごろから夫婦だけのディナーを食べるのです。もっとも子供が大きくなると一緒にディナーに加わることもできますが。
ですから、ロンドンのレストランに入った方はお気づきになったかもしれませんが、6時ごろにはガラガラでも、8時すぎから混んで来るという訳です。もちろん小さな子供はいません。
けれども、アジア式もイギリス式も文化の違いから来るのでどちらが良い悪いとは一概に言えないと思います、その国にあったやり方が一番良いのでしょう。
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