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海沿いのアンティークな村、Cley Next the Sea

英国の地図をご覧になるとロンドンの北東に丸く突き出した地方があるのにお気づきになるかと思います、丸くなだらかな海岸線の向こう側はオランダ、フランスです。
車で行けばロンドンから三、四時間ほどでしょうか、イーストアングリアと呼ばれるこの地方は英国の中でも、遠い中世の面影を残すアンティークな地域です。

のどかな田園地帯がどこまでも続く風景を見ていると、とても想像できないのですが、600年以上前の中世にはこの地方が英国の中心と言える時代がありました。中世のイーストアングリアは英国の中でも一番豊かで、人口密度の高い地域でした、ヨーロッパ大陸諸国との羊毛貿易で栄えていたのでした。以前にアンティーク情報欄でこの地方の南にあるサクステッド村をご紹介しましたが、遠い昔の繁栄のお陰で小さな村には不釣合いなほど立派な教会が残っているのがこの辺りの特徴です。ところがペストの流行で15世紀には荒廃し、その後は石炭等の資源がなかったことから英国の繁栄の中心はよその地方へ移ってしまいました。
そしてつい最近まですっかり見放された地域となってしまったのです。北側のノーフォーク州では大きなお屋敷でさえ20世紀半ばまで電気も引かれない状況が続きました。それだけにアンティークな村巡りに持ってこいとも言えましょう。

今回ご紹介するアンティークな村はクライ ネクスト ザシーです。
クライはノーフォーク州の北海岸に沿って糸で繋がれたビーズのように点在するブリック&フリント ビレッジの一つです。小さな村のメインストリートには、この地方特有なフリント(火打石)壁のコテージが目を引きます。村の家々にはオランダ風の切り妻造りが残り、海の向こうの影響が見られます。

(写真1)村のメインストリートにあったデリカテッセン、壁に埋め込まれた丸石がフリントです。



(写真2)風車の上から眺めた村の全景



実はこの小さな村は1820年代までは、英国でも指折りの貿易港として栄えた街でした。
今では民家に転用された当時の税関の建物が往時の繁栄をわずかに偲ばせてくれます。
風水害から村を守る為に行なわれた干拓の影響で、港は土砂でふさがってしまい、貿易港としての役割は170年前に終えました。今では村から海まで1マイルほど干拓地が広がっており、その向こうの海岸線に出てみると、北海を渡って吹きつける風が4月に入っても冷たいのが印象的でした。
村の中心、旧波止場跡には風車小屋が建っています。これも18世紀の建築で、5階建ての建物は今ではB&Bとして使われています。中は意外に広く、1階はラウンジ、2,3階は客室、4,5階は展望室となっています。アンティークな風車小屋での一泊はお薦めです。

(写真3)今は民宿B&Bとなっている18世紀の風車小屋


(写真4)風車小屋一階のラウンジ


(写真5)風車小屋三階の客室



イギリスでは珍しいフィッシュ ショップがあるのもこの辺りの特徴です。
イギリスで暮らし始めた頃、日本と同じ島国のイギリスでは、きっと美味しい魚がたくさん待っているだろうと思って来ました。ところが、そんな期待はまったくの的外れであることに気付くのにそれほど時間はかかりませんでした。ある時、美味しい魚を求めて海岸沿いを旅したのですが、結局見つけられませんでした。イギリスは島国なのに、不思議なことにフィッシュ&チップス以外の魚料理はまずありません。ヨーロッパの海沿いの国を見れば、フランスは言うに及ばず、スペイン、ノルウェー等どこに行っても豊富な魚料理があるのに、これはもう謎としか言いようがありません。
そして次第に分かってきたのは、そもそもイギリスには食に対して無頓着な人が多いらしいということでした。仕事をする為にお腹が満たされればそれで良し、そんなカルチャーがあるようです。

そんなわけで、ノーフォークの海岸沿いの村でいくつか魚屋さんを見つけた嬉しさ、驚きったらなかったです。
ある海岸沿いのフィッシュショップでは、お店の中に小さな丸テーブルが二つ置かれていて、その場で茹でた蟹を食べさせてもらえました。クロマー クラブという地元の蟹だそうです、イギリスの他の地方ではめぐり合ったことがない、美味しい経験でした。

(写真6)村のフィッシュショップ

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