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21. アンティークセンター (イースト アングリア地方散策) (アンティークの専門誌『オクルス』 2001年9月号掲載記事です。 2004年7月11日追記。)

イギリスのアンティークセンター事情をご紹介し、旅先で立ち寄るアンティークセンターとコスチュームジュエリーの相性について考えてみます。 また、アンティークの街として有名なロングメルフォードや、遠い中世の面影を残し英国でも隠れた人気の観光スポットであるラべナムもご案内します。



コスチュームジュエリーというと、誰しもフリーマーケットで箱の中を引っ掻き回して、キラキラピカピカを見つけた経験がおありではないでしょうか? 私もその一人です。
そう、本物の貴金属や宝石の代わりに、メッキやペイストのジュエリーを使った気軽なアクセサリーです。
コスチュームジュエリーはアンティークジュエリー専門店でというよりも、アンティークフェアや、ごちゃごちゃといろんなお店が集まったアンティークセンターで探すイメージかと思います。

前々号でイギリスのアンティークフェアを紹介しましたので、今回は英国のアンティークセンター事情をご案内しましょう。
アンティークセンターは、複数のディーラーが集まり様々なカテゴリーのアンティークが一ヶ所で楽しめる仕組みのお店です。10ぐらいから、多い所では100以上のユニットが集まる大きなセンターまであります。

ロンドンではアルフィーズやグレイズといったセンターが有名ですが、イギリス全体では大小合わせて400近くのアンティークセンターがあります。ちょっとした街ならどこでもアンティークセンターがあると言ってよいでしょう。
アンティークフェアと違って常設店舗ですからいつでも行けます、また特定のアンティークショップに行くのと違い、色々なカテゴリーのアンティークにまとめて出会えるのも便利です。旅行で地方に出かけた時など、その街のアンティークセンターにちょっと寄ってみると旅のアクセントになりそうです。

さて、お天気もいいしイギリスの夏は短いので、掘り出し物探し方々遠足気分で、イーストアングリア地方のロング メルフォードとラべナムへ行ってきました。
それぞれの街にあるアンティークセンターもお目当ての一つです。

ロング メルフォードはロンドンの北東約100kmにあり、アンティークの街として有名です。まっすぐなハイストリート沿いに、アンティークセンターが二つとアンティーク家具を中心にした二十軒ほどのお店が点在しています。やはりアンティークの街には違いないのですが、真剣なアンティークハンターの方にすれば、観光客相手のアンティーク街ではないかしら?との印象を持たれるかも知れません。

しかし品物を探すだけがアンティークの楽しみ方ではありません。ロング メルフォードや少し足を伸ばした隣り村のラべナムは、イギリス中世の面影を色濃く残すアンティークな街として、散策をお薦めしたいスポットでもあるのです。



ラべナムには漆喰壁に木のフレームが特徴の中世ティンバー様式の建物が多く残っています。民家、ギルドホール、マナーハウス、どれも五百年以上の時を経ており、タイムスリップが味わえます。マーケットプレイスから少し歩けば村の端まで行けてしまう小さな村には、不釣合いなほど立派な教会があるのも不思議です。いったいどうして遠い中世の面影が緑豊かな田園地帯の真中にこうもよく残っているのでしょうか。

14世紀に国王エドワード三世が織物の輸入を禁止すると、ベルギーや北フランスから織物職人たちが移民としてイーストアングリア地方に流入し、この地方の毛織物産業が大発展を遂げました。その後16世紀までラべナムやロング メルフォードは英国で最も発展した裕福な街の一つとして栄えました。

ところが水力織機が発明され、後に石炭が動力として使われるようになると、織物産業の中心はよその地方に移ってしまい、石炭のないイーストアングリアの毛織物は急速に衰えてしまいます。その後は再び活気を取り戻すことなく、つまりは中世後期で時間が止まったまま今日に至っているからなのです。

毛織物衰退は不運な出来事でしたが、繁栄の頂点で時計の針がストップし、歴史的な建物がそのまま残りました。今ではそれが幸いしてラべナムは英国でも隠れた人気の観光スポットです。村は小さいのにホテルが三軒もあり、これも一見の価値ある古い建物ばかりで、夏の間はどこも一杯です。
アンティーク探しの合間に、アンティークな村巡りは如何でしょうか。

コスチュームジュエリーというと安価なイミテーションのイメージですが、やはり安くて普段使いできるアンティークは大きなメリットと思います。高価なアンティークジュエリーですと旅先でちょっと買うという訳にもいきませんが、気に入ったコスチュームジュエリーを旅先で求めれば、後々まで旅の思い出とともに大切に出来ます。また、中にはデザイナーの名が刻まれた、アンティークとしての価値が高い品もあるのですから侮れません。
19世紀後半までの品にはサインがない物がほとんどですが、それ以降の品には、初期の頃のTorifariは「KTF」、Eisenbergは「E」、Hattie Carneigieは「H.C.」、そしてMiriam Haskellは「Haskell」というふうにイニシャルやフルネームが入っている品もあります。
それ以外にも、シャネルとかスキャパレリなどの服飾デザイナーの作品も見逃せません。
詳しくは英国のアンティーク コレクターズ クラブが出しているDeanna Farneti Cera著、『コスチューム ジュエリー』をお薦めします。初心者でも分かりやすく写真もきれいなので、楽しめる一冊と思います。

というわけで、私は旅先で立ち寄るアンティークセンターとコスチュームジュエリーは相性がよいと思うのです。

以上



以下は2004年7月11日追記

写真三番目:ロング メルフォードにある旅籠 『The Bull』の看板(Pub Sign)スケッチ


雑誌に掲載されているパブ サインのスケッチ原画が出てきたので、サイトアップさせていただきます。
このパブ サインはヴィクトリアン アイアンワークの透かしフレームに、Bull(牡牛)の絵がはめ込まれた看板で、思えばアンティークな趣深いパブ サインでした。
田舎の村へアンティーク情報の取材や仕入れに出掛けても、ついつい私はこうしたスケッチに時間が取られがちです。

以上、追加でした。

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