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No. 4571 スターリングシルバー チャームブレスレット
ブレスレット一周の長さ 16.7cm、重さ 26g、シェルの横幅と厚み
1.4cm*6.5mm、帽子の直径 1.7cm、ハートの横幅
1.35cm、1966年 バーミンガム、二万六千円
チェーンの鎖玉の一つひとつにはスターリングシルバーを示すライオンパサントの刻印があります。 すべての鎖玉にライオンパサントが刻印されているのは、時計用のヴィクトリアン アルバートチェーンでは見かけることがありますが、チャームブレスレットとしては珍しい特徴と思います。
また、ハートの留め具につながる大きめな円環状の鎖玉にはメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1966年のデートレターが刻印されています。
さらに、ハート留め具の裏面にはメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1966年のデートレターが刻印されています。 つまりはチェーンとハート留め具が、ともに1966年を示しているわけです。
ブリティッシュ ホールマークが多く刻印されていることは、このシルバーチェーンのクォーリティーの高さを示していると言えましょう。 加えて、ライオンパサントをルーペで観察してみると、上下の境界部が波形をしているのが分かるのも面白いポイントと思います。
バーミンガム アセイオフィスの1950年から始まる25年間のホールマーク サイクルはその形に特徴があります。 ライオンパサント、アンカーマーク、そしてデートレターのブリティッシュホールマークはすべて、それらの上端と下端が波をうったようになっています。 両端がウェーブに見えるマークは、五百年以上に及ぶブリティッシュホールマークの歴史の中でも、バーミンガムのこの25年間だけなので、英国シルバーの知識として覚えておくと、アンティーク ハントの時に役に立ちます。
脱落防止用チェーンが付いているのも安心でしょう。 個別のチャームはハートの留め具から時計まわりに次の通りです。
0.ハートの留め具:裏面には四つのブリティッシュ ホールマークが刻印されています。
1.シェル: もともとはパールが入っていたかも知れませんが、今はなくて台座だけ残っています。 ただ、パールがないことで、小さな写真を両サイドに入れればロケットとして使えるのがグッドポイントです。
シェルパターンは12世紀にスペインの聖地 St.ジェイムス オブ コンポステラへ向かう巡礼者たちが、彼の紋章であったシェルを身につけて旅したことから、クリスチャンシンボルとして、シェルが取り入れられていったのが始まりです。 15世紀以降はセラミックスやシルバーの分野で、このシェルモチーフが繰り返し取り上げられて今日に至っています。
2.鍵
3.帽子:四葉のクローバーが表と裏の両方に付いています。 裏面にはスターリングシルバーを示す「STER」の刻印があります。
4.弦楽器
5.鉄道のシグナルハウス:二階建てのシグナルハウスで、サイドには階段が付いていて二階に昇る建物です。 格子窓が見えていますが、その横に大きな信号機が取り付けられています。 イギリスは世界で初めて鉄道網を完成させた国であり、ヴィクトリア時代の大発展は鉄道の発達によるところ大でありました。 イギリス人の鉄道に対する思い入れが、このようなチャームを作らせていると感じます。
当時のイギリスは鉄道狂時代と呼ばれます。 「情報を吸収し、発信し、広める力という観点で見れば、人生が二倍になる。…地方ごとの違いと対立を生み出している偏見と狭量が、この高貴な発明によって解消されていく。」 現在進行中のIT革命の話かと思いきや、そうではなくて、これは百六十年ほど前に鉄道投資熱で浮かれていた頃のイギリスの新聞記事なのです。
1845年にはイギリス中で約600路線の鉄道開設が進められていたそうです。 世の中は次第に鉄道投機熱に浮かれていきます。 そしてついに
1849年には鉄道バブルが弾けてしまったわけですが、それでも鉄道網は残ったことは、イギリスにとって幸いでした。
『19世紀の英国(Harvie & Matthew著)』によれば、1848年には英国内の鉄道総延長は8000マイル(=12800km)に達し、北はスコットランドのアバディーンから南はプリマスまで、イギリスの鉄道網はほぼ完成しました。 ヴィクトリア時代の大発展の基礎が出来上がったのです。
イギリスの鉄道発達史を眺めていて、面白いと思われるのは、イギリスでは民間会社がどんどん鉄道を作っていって、国が主導するということがなかった点です。 日本の鉄道史を考えてみれば、まずは国家が鉄道を計画して、日本を豊かにしようと国中に広げていくのが当たり前だったように思うのですが。
歴史を紐解くと、資本主義の先進国であったヴィクトリア時代のイギリスにおいては、鉄道の延長はまったく民間にゆだねられていました。 ところが、計画性のない無秩序な鉄道建設にはやはり問題もありました。 儲かりそうだとなると、同じく区間に複数の鉄道が敷かれたり、あるいはまた、何でそんなところにというような場当たり的な鉄道敷設もあったのでした。
そんなわけで、鉄道の中には商業的に採算割れとなって破綻の末路をたどっていくものも少なからずありました。 ところが、イギリス人の面白いところは、そうした昔の破綻鉄道の多くが現在では観光用になって、今でも蒸気機関車を走らせる観光鉄道としてイギリス各地に数多くあることです。 イギリス人のアンティーク好きと鉄道に対する思い入れが合わさった結果なのでしょう。
ですから、写真のようなアンティークなシグナルハウスであっても、今日においても見かける機会が多いのです。
鉄道に関連して、英国アンティーク情報欄にあります
「37. アンティークと歴史経済の大循環について」もご参考まで。
この記事を書いていて、私の子供の頃には西武園遊園地の辺りに「おとぎ列車」があったことを思い出しました。 アンティークな軽便鉄道に蒸気機関車が走る路線でありました。 子供の頃の思い出に残っており、懐かしくなって調べてみたら、今はもうなくなったとのこと、とても残念に思いました。
「おとぎ列車」のようなアンティーク鉄道が、イギリス各地にはけっこうたくさん残っているのですが、採算的に合うのかなあと、ちょっと心配になるほどです。 これもイギリス人アンティーク魂のなせる業なのでしょうか。
6.タンカード:取っ手と蓋が付いた大きなビールジョッキをタンカードと呼びます。 パブに行くのが暮らしの一部で、エールやビール好きのイギリス人にとっても、特に銀製タンカードは昔から憧れとなっているようです。 また、銀製タンカードの歴史はかなり古くて、ヴィクトリア&アルバート ミュージアムに行きましても、四百年ほど前の銀製タンカードが展示品になっているのが分かり、歴史的な背景の深い品であることが窺い知れます。 写真のチャームは銀製タンカードのミニチュアで、蓋も開く仕掛けチャームになっています。
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