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No. 4372 グッドラック シリング 銀貨(「Lucky Shilling」) ペンダントヘッド
シリング銀貨の直径 2.35cm、重さ 6g、厚さ 1.5mm、シリング銀貨はヴィクトリアン ヤングヘッド、一万一千円

ヴィクトリアン シリング銀貨には、ヴィクトリア女王の若い頃の横顔と、お年を召してからのバージョンがありますが、写真の銀貨は若い頃のバージョンです。 ナショナルポートレート ギャラリーにあります女王の肖像画に近いので、見比べてみると興味深いでしょう。 写真は以下にありますので、ご覧になってください。

英国アンティーク情報 「14. Still Victorian (百年ほど前のイギリスはどんな様子であったのか?)

イギリスではシリング銀貨に穴を開けただけのペンダントヘッドを時々見かけます。 アクセサリーにしては、あまりに作りが簡単なので、どうしてだろうかと不思議に思っていたのですが、最近この品の背景が二つの別々の方面から分かってきましたので、ご紹介してみましょう。

トーマス・ケイズという人の研究によると、船舶や鉄道の発達によって国外への旅が増えた19世紀には、銀貨に穴をあけて、ジャケットの裏に縫い付けておくなどして、旅先での非常用通貨にするということが行われていたそうです。 当時は多くの国で金銀を本位通貨とする貨幣制度が採用されていたので、世界の大国であったイギリスの銀貨は、いわばトラベラーズチェックのように、英国外でもある程度は通用したというわけなのです。

そうしますと、今日見かける写真のようなペンダントヘッドは、元々はアクセサリーとして作られたわけではなく、こうしたトラベラーズチェックの代わりだった可能性があります。 

さらに加えて、『裸の王様』、『みにくいアヒルの子』、『人魚姫』などで有名なアンデルセンの作品の中に、19世紀半ばに書かれた『シリング銀貨』というおとぎ話があります。 外国旅行に出かけた英国紳士の財布にあった一枚のシリング銀貨が、異国の地で財布からこぼれてしまい、いろいろな人たちを巡りめぐって、最後には元々の持ち主であった英国紳士のもとに戻ってくるというストーリーです。 

物語の中で、シリング銀貨に穴をあけて糸を通し「Lucky Shilling」として身に着けるという話が出てきます。 シリングは大き過ぎず、小さ過ぎず、ペンダントヘッドにちょうど良いサイズであることと、シルバーという素材は幸福に通じることから、遠いヴィクトリアンの時代よりラッキーシリングとして好まれてきた背景があるようです。 

これら二つの話を合わせて考えてみると、ヴィクトリア時代には穴あきシリングが、私たちが今思う以上に多くあったのではないでしょうか。 そして、巡りめぐってそれを手に入れた人たちの中には、「Lucky Shilling」の側面を重視して、ペンダントヘッドにされていくものも少なからずあったろうと思うのです。

わざわざアクセサリーにするには作りが簡単過ぎますが、さりとて銀貨に穴をあける仕事は誰もが出来るほど容易くはありません。 初めはトラベラーズチェックとして使われ、後にはラッキー シリングとして大切にされてきたと考えれば、今日こうした品を時々見かけることに納得がいくのです。

クイーン ヴィクトリアが若干18歳の若さで英国王位を継承したのは1837年のことで、この年から1900年までの64年間がヴィクトリア時代にあたります。 ヴィクトリア女王は在位期間が長かったことと、その時代は英国の国力が格段に伸張した時期と重なっていた為に、イギリス史の中でも特にポピュラーな国王となりました。 アンティークの分野にあっても、この時代の物品を指すヴィクトリアーナ(Victoriana)という用語もあって、ヴィクトリア時代を専門とするコレクタターが大勢いるわけなのです。

ヴィクトリア時代のイギリスについては、「英国アンティーク情報」欄にあります「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」や「14. Still Victorian」の解説記事も合わせてご覧ください。




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