アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い品一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No. 4332 チューダーローズ & ダーツボード スターリングシルバー フォブ ペンダントヘッド with エナメルワーク
チューダーローズの直径 2.6cm、縦の長さ(留め具を含む) 3.1cm、本体部分の最大厚み 3mm、重さ 9g、1949年 バーミンガム、一万四千円 SOLD

チューダーローズの内側のバラがダーツボードになっています。 エナメルワークにも細かな色使いが見てとれます。 ダーツの歴史を辿ってみますと、バラ戦争当時の兵士の娯楽に由来するとのことで、そうした歴史が背景にあってチューダーローズ & ダーツボード デザインが採用されたものと考えられます。

作られたのは今から六十年前の1949年のことで、裏面にはブリティッシュ ホールマークがしっかり刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1949年のデートレターになります。

全体のモチーフは外国人にはピンと来ないかも知れませんが、英国人ならすぐに分かるチューダーローズです。 身に着けておいて、このフォブを見た外人さんが英国人か、あるいはそうでないかを見分けるテスターとして使ってみたら面白いかも知れません。

英国史にあまり通じていない私たちには、見分けるのが難しいのですが、イギリスでは小中学校の歴史でチューダー時代を細かく教えますので、このチューダーローズは子供たちでも当たり前のように知っているモチーフなのです。 そういうわけで、子供の頃によほどお勉強が好きでなかった人を除いて、英国人なら普通は知っているモチーフと言ってよいでしょう。

大小二つのバラの花を組み合わせたデザインはチューダーローズと呼ばれ、バラ戦争後の英国の統合を象徴するチューダー朝の紋章となりました。 バラ戦争は赤バラを旗印とするランカスター家と、白バラのヨーク家が、新旧諸侯を巻き込んで互いに覇を競った中世末期の30年にわたる内乱で、結局は両家が共に戦いで消耗しきってしまったことから、漁夫の利を得たランカスター派のヘンリー・チューダーが次のチューダー朝(1485年〜1603年)を興しました。

この品は内側のバラがダーツボードに代わっていますが、一般には外側の大きい方がランカスター家の赤バラで、内側の小さい方がヨーク家の白バラをシンボライズし、紅白二色になっています。 

19世紀のヴィクトリア期にはチューダー リバイバルの潮流がおこり、建築、家具、テキスタイル、そしてメタルワークの分野で、このチューダー ローズのモチーフが広く人気を博し、現在に至っています。

ところで、うちの娘が習ってくるイギリスの歴史教育は日本とずいぶん違っています。 かなり低年齢の段階から歴史の授業があって、歴史を体験して実感する側面が重視されているようです。

例えば、チューダー時代の勉強でしたら、児童や先生が全員でチューダーの衣装を真似して、コスチューム パーティーよろしく、チューダー時代のマナーハウスに遠足に出かけ、五百年前の暮らしを一日追体験してみるといった具合です。 あるいは、歴史事実を紐解いて、バラ戦争における最後の戦いである「ボズワースの戦い」についてポエムを作ってみるという課題もありました。 

ちなみに「ボズワースの戦い」というのは、日本史における関が原の合戦のような天下分け目の戦いでありました。 歴史の授業では戦闘詳報のような形で、この戦いの一日の経過が時間を追って教えられていたのにも驚きました。

古代エジプト史のクラスでは、ヒエログリフ(象形文字)を使って児童に自分の名前を書かせる実習をしていました。 歴史の勉強と言えば年号暗記がほとんどと思っていた私からは思いもよらない教育方法で、こんな歴史の授業ならとても楽しそうですし、新鮮でした。 

しかしちょっと考えるに、ヒエログリフで自分の名前を書いてみる経験をした子供達からの方が、将来、古代文字を自力で解読するような歴史上の大発見をしてやろうという意欲に満ちた人材が生まれやすいのではないでしょうか。 あるいはまた、多くのシャンポリオンやシュリーマンを生み出す教育かどうかは別としても、少なくとも、過去を追体験させるこうした歴史教育の成果が、イギリス人をひときわアンティーク好きにさせている根っこにあるように思うのです。

チューダーローズ & ダーツボード スターリングシルバー フォブ ペンダントヘッド with エナメルワーク


アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い品一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ