Home > Column > 楽譜の比較 >
楽譜の比較 〜 Chopin ショパン
異なる版が存在する作品の楽譜選びをお手伝いします
2008/9/14 更新
ピアノ作品全般
-
エキエル編「ナショナル・エディション」(英語、一部日本語解説付き)
1995年改訂新版出版開始(旧版は1967年初出)
正確性=◎、校訂報告=◎(別冊)、運指=○、解説=○、網羅性=○ 2008/9/14更新 new
最新の原典版。1980年代に相次いで公表された研究成果が盛り込まれ、既存の全楽譜を検討した最も信頼できる改訂新版です。手に入るのは現在以下の通り(一部未刊あり):
Aシリーズ(作品番号あり)
- バラード
- エチュード(全27曲)
- 即興曲(第3番まで)
- マズルカ(Op.63まで)
- ノクターン(Op.9,15,27,32,37,48,55,62)
- ポロネーズ(Op.26,40,44,53,61)
- 前奏曲(Op.28,45)
- ロンド(Op.1,5,16)
- スケルツォ
- ソナタ(2,3番)
-
ワルツ(Op.18,34,42,64)
- 作品集(華麗なる変奏曲、ボレロ、タランテラ、演奏会用アレグロ、幻想曲、子守歌、舟歌)
- 協奏曲第1番(ソロ版)
- アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
Bシリーズ(主に作品番号なし)
- 作品集(幻想即興曲、夜想曲嬰ハ短調 それぞれ2バージョン他)
- 遺作ワルツ集
- 協奏曲第1番(二台版)
- 協奏曲第2番(二台版)
どれも、それ以前の版とは異なる点がいくつもあり、驚かされます。運指は、ショパンの書き込みとエキエルによる優れた指示が併記されています。ショパンの遺言を反映し、生前に出版されたものはAシリーズ、遺作はBシリーズと分けられています。日本語版の出版も追随しています。
- ウィーン原典版 ショパン ピアノ作品集(音楽之友社) 1970-
正確性=○、校訂報告=○、運指=○、解説=○、網羅性=△
パデレフスキ版より後発の原典版。ショパンが弟子に指示した奏法が多く示されています。また運指は様々な可能性が併記してあり参考になります。装飾音などの奏法の解説も的確。現在、全作品が含まれているわけではない。続刊が待たれる。
- パデレフスキ版 ショパン ピアノ作品集(日本語版) 1949-1961
正確性=△、校訂報告=○、運指=○'、解説=○、網羅性=△
徹底した校訂報告と演奏ノートが素晴らしい。装飾音の奏法に関する解説は極めて的確。全てのピアニストに再読してもらいたい。出版された時代が古いため必ずしも全ての音が正しいとは言えない。遺作が抜けている等網羅性に欠けている点も残念である。しかし、値段が安く、製本が見事な点は評価できる。リプリントのため印刷はそれほどきれいではない。
- コルトー版 ショパン ピアノ作品集(日本語版あり)
正確さ、網羅性共にいまいち。しかし、運指が素晴らしい。脱力を極めています。
- ヘンレ原典版 Chopin ピアノ作品集
正確性、網羅性が○。真の原典版と言われている由緒ある楽譜。自筆譜を元にした入念な校訂がなされています。ただし弟子の楽譜に入れたショパンの書込は反映されていない模様。演奏ノートもなし。ショパンをよく分かっている人や、優れた教師についている方には使えるかもしれませんが、私のような素人・独学者には少々寂しい譜面です。運指はなかなか考えられていますが、装飾音の正しい奏法を知らない人によるものである点が残念です。
ピアノ遺作集
- 全音出版社版 Chopin ピアノ遺作集
全音の数ある楽譜の中で最も入念な校訂報告が成されているのではないでしょうか。夜想曲嬰ハ短調の初期稿が載っているのも見逃せません。