Home > Column >
楽譜には2種類あります。作曲者による自筆譜と、出版社等著作者以外の手によって清書された楽譜(以下「出版譜」)。この2種類の楽譜と著作権、版面権をキーワードに楽譜のコピーが可能な条件を列挙してみます。
これら以外は、手書きによる複写も含めてコピーは法で禁止されています。
以上の話は「作曲者による自筆譜」の場合には無条件に成立します。しかし、著作権が切れている(あるいは無い)楽譜でもコピーが許可されない場合があります。それは出版譜の場合です。このとき「版面権」なるものを主張される場合があります。つまり手間のかかる「清書」作業自体を保護して欲しいということです。これは日本では法で規定されていませんが、出版元の外国などでは規定されていることもあります。なので出版譜の場合は著作権が切れたと言っても一概にコピーが可能とは言えません。ただし、清書された楽譜を見て手書きで写すことは許されています。また、個人使用のためのコピーも認められています。
さてさて、出版されている楽譜はお金さえ出せば購入できるので幸せなものです。では、絶版状態の楽譜はどのようにしたら手に入れることができるのでしょうか?
著作権が残っている場合、コピーには著作者(既に死亡している場合は著作権を引き継いだ遺族など)の許可が必要です。では、著作権が切れている場合は?出版していない、つまり、それでお金を儲けていないわけですから、この場合のコピーは出版社に金銭的損害を与えているわけではありません。よって版面権を主張する理由がないことになり、コピーは可能というのが筆者の解釈です。
またこれらの諸条件とは関係なく、例外として図書館に所蔵されている楽譜でその一部がコピー可能な場合があります。これは日本内外を問わず図書館によって規制方法が異なるようなので図書館員の方にお尋ね下さい。
版面権が認められているヨーロッパでは「絶版譜も生きている」と主張している出版社が多いようです。これは、絶版状態でも消費者の要求に応じて、短期間にそのコピー譜を送付するということを約束しているということです。だから、版面権は生きておりコピーはしてはならないという論理です。これが事実なら驚くべきことです。お金と多少の語学力さえあれば絶版譜でも必ず手に入ると言うことなのですから。音楽愛好者への多大なる愛情と考えるか、弁護士に作ってもらった空疎で強引な論理と考えるか。実際絶版譜を請求してみるまで判断は難しいところです。