第一日「分け前」

 「で、結局いくらあったワケ?」
「今数えてるんだよ!話しかけんなよな?」
「どーせ大した額じゃないじゃないよ。3000?4000?」
「だから今数えてるんだってば!ちゃんと前見て運転しろよ!」
「あ〜あ、何でこんなについてないんだろ・・・」
それは俺のセリフだ。
この仕事は下準備に2週間かけた。
建物の見取り図やら警報装置の配線やら
巡回の警備の時間やらと調べあげたのに
肝心の金庫の中身の情報が間違ってたなんて。
「ね、これからどーすんのよ」
「どうって・・・」
「言っとくけどね、ちゃんとアタシの分け前は払ってもらうからね!」
「あのなぁ、カネがなかったんだからしょうがないだろ?」
「金庫にいくら入っててもアタシの取り分は5万ドル!そーゆー約束だよ!?」
「キッツイなぁ・・・まあ、とにかく一度部屋に戻って話し合おうぜ」
「OK。じっくりアタシの5万ドルについて話し合いましょ」
とほほ・・・

「よう、マディ。メリルもいっしょか?」
薄暗いアパートの廊下に立っていたのは
今一番顔を合わせたくないやつだった。
「トニオ・・・何やってんだ人の部屋の前で?」
「やだなぁ、あんたを待ってたんだよ。今日だったんだろ?仕事」
「あ、ああ・・・」
「何だい、浮かねえツラして。ドジッたのか?」
「それがさぁ、ヒドイんだよマディったら・・・」
「と、とにかく中入ろうや。立ち話もなんだし」
「いやいや、そんな野暮はしねーよ。頂くモン頂いたらサッサと帰るさ」
コイツは俺とメリルが「男と女」の関係だと思ってるらしい。
いやまあ、確かにそうなんだけど
そんなロマンチックなもんじゃないんだよな、実際。
「頂くもの?なによソレ?」
「あー、なんだマディから聞いてない?」
「いや、トニオちょっとな、訳ありでだな・・」
「払ってもらおうか?後払いの情報料残り1000ドル」

「ちょっとぉ!なんで払っちゃうのよ!」
「しょうがねーだろ!アイツの情報は間違ってなかったんだし・・・」
「金庫が空だったんだから払うことないわよ!」
「じゃ、お前の5万ドルも払わなくてもいいのか?」
「ダメ」
勝手な女だ。とにかく残った金を数えて・・・
と思ったらメリルが金の袋をひっさらってしまった。
「とりあえず、コレは全部頂くからね」
「お、おい!少しは俺の分を・・・」
聞いちゃいねえ。金を数えるのに集中してやがる。
しばらくして、ため息をついて手を止めた。
「2415ドル。いいわ、可哀想だから415ドルはアンタにあげる」
「・・・フツーこーゆー場合山分けじゃないのか?」
「残りの4万8千ドルは、貸しだからね!」
またかよ・・・
「いい?これであんたへの貸しは全部で11万4千ドルだからね!」

「なあ、お前いつまで俺にくっ付いてるつもりだよ」
「なんだい急に」
寝物語でする話じゃないかもしれないが、ふっと気になったのだ。
メリルは貸しを取り立てるため、それだけの理由で俺と組んでるのか?
「俺なんかよりもっと腕利きのやつと組んだほうがいいだろ?」
「アタシと組むのは・・・もうイヤ?」
「そうじゃねえよ!そうじゃねえけど・・・」
「アタシはね、いつかアンタがでかい山当てるって信じてるの」
「じゃ、俺が一山当てたらどうするんだ?」
「そうだねぇ・・・まず、11万4千は耳をそろえて払ってもらうとして」
結局それかい。
「その後は?」
「馬鹿ね。そんなのはね、一山当ててから考えるの!」
やれやれ。こんな調子でもう2年になる。
そして、まんざらでもないんだな、これが。
なんて思ってたらメリルにベッドから蹴り落とされた!
「何ニヤニヤしてんのさ!サッサと次の仕事でも探してきな!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・Fin・・・・・・・・・・・・・・・・・

いかがでしたか?ではまた!

もう一日遊んでいこう!

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