「自転車に乗って」
第一話
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目が覚めると、青い空が目に飛び込んできた。
「い・・・痛って〜?」
なんか頭がズキズキ痛い。
上半身を起こすと、そこは道の真中だった。
「ああ?なんでこんなトコロで・・・」
ふと周りを見ると、ちょっと離れた場所に見知らぬ若い女が倒れていた。
その傍には自転車が倒れている。
どうやら衝突してしまったらしい。
「げ・・・お、おい、大丈夫か!?」
「・・・うう・・・痛〜い〜」
オレの呼びかけにノロノロと体を起こすと、その女がオレに問い掛ける。
「・・・貴方・・・誰?」
「え?誰って・・・オレは・・・オレ・・・?」
彼女に質問されて気がついた。
オレって誰?
コレって・・・いわゆる記憶喪失ってヤツ?
いやいや落ち着けオレ。
多分これは一時的なもので何かキッカケがあれば記憶は戻るんだそうだそうに違いない
とりあえずこの女と話していれば何か思い出せるかもしれんそうだそうしよう!
「そ、そういうキミは誰なんだい?」
「え?アタシ?アタシは・・・アレ?」
気まずい沈黙は彼女の叫びで破られた。
「ど、どうしよう〜!?アタシ、自分が誰だかわからなくなっちゃったよ〜?」
むう、事態はさらに悪化してしまったようだ。![]()
「どうしよう、どうしよう〜!?」
両手を上下にブンブン振って足をジタジタ踏んでいる様はまるで駄々ッ子だ。
「おい、落ち着けって!」
「どうしよう、どうしよう〜!」
聞いちゃいねえ。
「そうだ!何かその・・・財布とか持ってない?何か名前とか書いてある物が入ってるかも!」
「あ・・・!」
二人して服のポケットとかをゴソゴソ探る。
オレのジーパンのポケットには数枚の千円札と小銭のみ。
あとはタバコと百円ライター。
くそう、手がかりなしか・・・
「あ、お財布があったよ!」
「おお!何か身分証明とかカードとか入ってる?」
「・・・お金は入ってるけど・・・後は何もない・・・」
はあ・・・振り出しに戻る、か・・・
「あ!お財布になんか書いてある!」
「何!?ちょ、ちょっと見せて!」
「えっと・・・Y・・O・・」
「汚い字だなぁ」
「ウルサイわね。えと、これは・・・K?・・O・・・」
「YOKO・・・よこ?縦横の横か?」
「違うって。ようこ、だよ、多分。アタシ、ようこって名前なんだと思う」
「おお、一歩前進。名前がわかって・・・何か他に思い出せそう?」
「ん〜・・・ダメみたい」
「そっか・・・オレのほうは全然手がかりなし、だ」
「そう・・・まあ、きっとそのうち何か思い出すわよ」
だといいんだけど。
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「これから・・・どうしよう?」
「ん〜・・・」
オレは自分と彼女の服装を見てみる。
オレも彼女もジーパンにTシャツ、スニーカー。荷物らしい物はなし。
「オレの推理によれば・・・オレ達はこの近所に住んでるみたいだな」
「え、どうして」
「服装を見てみろ。遠くからこの格好で、荷物もなしに来たとは思えない。たいして金ももってないし」
「ふむふむ」
「多分、そこに転がってるチャリで走ってて、ぶつかっちまったんじゃないか?」
「あ、全然気がつかなかった。キミの自転車?」
「いや、わかんないけど。キミのかもしれない」
彼女がトテトテと自転車の傍まで歩み寄る。
「・・・違うみたい。アタシにはサドルが高すぎるよ」
「じゃ、オレのチャリか」
ん?彼女がジト目でこちらを見ている。
「何?なんかあった?」
「つまり・・・アナタが自転車でアタシにぶつかってきたわけね?」
はうあ!オレか!?
「そして、ソレが原因でアタシは記憶をなくしてしまったのね!?」
「待て!早とちりはよくないぞ!この自転車はたまたまココに転がってただけかもしれん!」
「・・・ホントにそう思う?」
「いや、そういう可能性だってあるかもしれないかなという仮説であってだね・・・」
「ホントにっ!そう思うワケっ!?」
「・・・ゴメンナサイ」
「わかればヨロシイ」
そう言って彼女がちょっとふんぞり返る。
クッソー、なんかスッゲー悔しいゾ!?
「ああっ!?」
「うお!?まだなんか!?」
「これ、キミの名前じゃないの?」
あ。そーいや自転車ってよく名前書いとくよな。
そこにはただ『狩野』と書いてあった。
「・・・かりの?」
「かのう、だろ」
「狩野クンか・・・何か思い出せた?」
「ん〜・・・ダメっぽい」
二人揃ってため息をつく。
これから・・・どうなっちまうんだ?
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