「翼」

もう一つのエピローグ

「あ・・・」
道でバッタリ出会ったのは、佐久間クンのアパートで会った・・・
確か静香ちゃん・・・っていったっけ?
「わあ、久しぶり〜!響子さん・・・元気でした?」
「うん・・・静香さんは?もう・・・平気?」
「やだなあ、静香、でいいデスよぅ。アタシは・・・もう、全然元気ですよっ!」
ウソ。
この娘は、ウソをついてる。
あんなに佐久間クンに夢中だったのに、そんな簡単に立ち直れるハズないわ。
アタシにはわかる。
アタシが、そうなのだから。
「でも、響子さんツライですよね・・・学校とかクラブで・・・会うんですよね・・・」
痛いトコロを突いてくる。
確かに、イヤでも佐久間クンとは顔が会う。
どんなに彼を避けても、彼がアタシを避けても
毎日のように二人は出会い、そしてぎこちない挨拶を交わすのだ。
・・・静香のほうが、出会わずに済む分、立ち直りが早いのかもしれない。
そう思うと、自分の境遇が恨めしかった。
「ね、響子サン今ヒマ?」
「え?・・・ええ、別に予定は何も・・・」
「じゃ、良かったらアタシと買い物行きません?駅前のKeyWest、今日バーゲンなの!」
「そう・・・折角のお誘いだしね。行こっか?」

一緒に買い物をして、色々と話しているうちに
アタシ達はすっかり仲良くなってしまっていた。
静香の人懐こさのお陰でもあるのだけれど。
佐久間クンとダメになってしまってから
自分でもイヤになるほど、とっつき難い人間になっていたのに
今日は静香のお陰で、何度も笑った。
「あ〜ん、ちょっと買いすぎ〜。今月ピンチかも〜」
「大丈夫?少し持とうか?」
「ううん、平気・・・んしょ」
あんまり平気そうには見えないのよね〜。
「ね、ここからアタシのアパート近いんだけど、ちょっと寄ってって休んでく?」
「あ〜、助かります〜」
「・・・やっぱりソッチの袋、アタシ持つよ」
「ゴメ〜ン・・・誘っておいて荷物持ちみたいなコトさせちゃって」
「うわ・・・こりゃ・・・よくこんなの持ってたわね〜」
結構腕力には自信があったんだけど
その買い物袋はむやみに重かった。
「なんか・・・こんな重たいモノ買ったっけ?」
「う〜・・・沢山買いすぎてナニ買ったか思い出せない〜」
二人よろめくようにしてアタシのアパートの部屋にたどり着く頃には
すっかりへとへとになっていた。

戦利品を確認しているうちに夜になり
流れで自然に二人で夕食を取り
これまた自然な流れで酒盛りが始まってしまった。
「アッハッハッハ・・・そうなんですかぁ〜!?」
「そうなの!それで、佐久間クンが必死な顔でその先輩から逃げてね・・・」
酒の肴は、佐久間クン。共通の話題だし。
不思議と彼の話をしても胸が痛まない。
今までは、一人で部屋で彼のコトを思い出すと
泣き出しそうになるほど胸が痛んだのに
今、静香と二人彼の話で大笑いしてる。
乗り越えられる。
静香と二人なら、乗り越えていける。
同じ人を想い、同じように傷ついた二人だからなのかしら?
「あ、ヤバ、もうこんな時間?そろそろ・・・」
酔ってフラフラと立ち上がる静香。
「!いいじゃない、泊まってい・・・」
ドタッ!
「あっ!」
「きゃっ!?」
帰ろうとした静香の手を握り、強引に引き止めようとした。
一緒にいて欲しかったから。
一緒にいてあげたかったから。
その行為は彼女を引き倒すことになってしまった。
柔らかい。
陸上をやってるアタシとは違って、女の子らしい、柔らかなカラダ。
その柔らかなカラダが、アタシの上に覆い被さっていた。
「・・・ゴメン・・・大丈夫?」
「・・・ウン」
彼女はカラダを動かそうとしない。
両腕をそっと彼女の背に回し、ゆっくりと力を入れていく。
ドクン、ドクン
心臓が高鳴る。
抱きしめた彼女の鼓動も、伝わってくる。
ドクン、ドクン、ドクン・・・
どれくらいの時間が過ぎたのだろう。
我に帰って、静香の体をそっと押しのける。
「ゴメン・・・どうかしてたの、アタシ・・・シャワー浴びる・・・帰って」
「イヤ」
「だって・・・ダメよ・・・」
「アタシは・・・構わない。響子さんなら・・・」
押しのけた静香の体がまた覆い被さってくる。
今度は、彼女の意思で。
再び、彼女を抱きしめ
いつしか唇を重ねていた。

二人でシャワーを浴びる。
「いいなー、静香のムネ。アタシももう少し欲しいな」
後ろから抱きかかえるようにして静香のムネを石鹸のついた手で撫で回す。
「あん・・・響子サンだって・・・脚きれいです」
そう言ってアタシの中心に手を伸ばそうとする。
「ダ〜メ。最初はアタシがしてあげるの」
首筋から耳の裏側に舌先を這わせる。
「ィヤンッ・・・ずるい〜・・・アタシもしたいよぅ」
「ね、そこに座って」
「うん・・・」
ペタン、と小さな椅子に座りこんだ静香を
後ろから再び抱きすくめる。
「脚、開いて」
わき腹、内股、膝の裏、・・・
アタシの手が、自分で一人慰めるときに這いまわる場所を
静香のカラダでなぞっていく。
「ああ・・・響子サンて・・・Hな人だったんだ・・・」
「静香のカラダがHなのよ・・・こんなに感じて・・・」
「だって、響子サン上手なんだもん」
「ね、自分でも・・・してみて?」
「うん・・・」
静香の左手はその豊かな胸を揉みし抱き始める。
そして、右手は中心に向かって這い進んでいく。
「んっ・・・んくぅ・・・ふぅっ・・・手が・・・4本にな、うぅっ・・みた・・いっ」
アタシはアタシで、石鹸まみれのカラダを
静香の背中に擦りつけることで充分に昂ぶっている。
「ああ・・・素敵よ・・・静香・・・もっと・・・感じて」
わざと急所から外していたアタシの手を静香が掴み
自分の中心へと導く。
「・・・お願い・・・響子サンの指で・・・ね?」
「うん・・・静香の指も・・・頂戴」
片膝を立て、口を開いたアタシに静香の指を誘う。
狭いバスルームに二人の叫び声が響くまで
そう時間はかからなかった。

思っていたよりも静香は貪欲だった。
そして、アタシも。自分で思っていたよりもずっと。
バスルームで
ベッドで
またバスルームで
数え切れない絶頂を与え、また与えられた。
一度眠りに就き、目覚めるとまた求めた。
再び眠りに落ちて、次に目覚めたときにはもう昼近かった。
昼・・・?
「あーっ!!ヤバ!静香っ、起きてっ!」
「・・・ふぇ?ん〜・・・もー無理だよぅ・・・」
「あーっ、もう!アタシ学校行くからね!4時に帰るけど・・・静香?」
くー
・・・こりゃ、帰るまで寝てるわね・・・ま、いっか。
身支度を整えると、眠っている静香に軽くキスをして
全速力で学校に向かう。
ギリギリの時間で校門を通り抜けると
前を見知った姿が歩いていく。
「オハヨッ!急がないと遅れるよっ!」
「お?お、おう」
あっけに取られたような佐久間クンを追い抜いて校舎へ向かう。
アレ?
なんだ、簡単だったんだ。
そう、とても簡単。
恋で傷ついた時のクスリは、やっぱり恋なんだ。

〜End〜

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