第4夜「マンホール」
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(あれ?・・・)
帰り道で出くわした、道の真中にぽっかりとあいた丸い穴。
マンホールの、蓋がなくなっているのだ。
(危ないなぁ・・・フツーなんかで囲ってあるのに)
中に誰かいるのかと思い、近寄って覗いてみる。
誰もいない。いや、暗くて奥まで見えないのか・・・
「おーい」・・・「もしもーし」
返事はない。自分のしていることがなんだか馬鹿馬鹿しくなる。
(誰かのイタズラかなぁ・・・それにしちゃ性質が悪いよ)
その場を立ち去ってから少しして、気づいた。
(何で中が暗いんだ?)
まだ日は高く、雲一つない快晴。
周囲に高い建物もなく、陽光をさえぎるものは何もない。
当然、マンホールの中にも光は差し込んでいるはずなのに
まるでそこだけが夜のように暗かったのだ。
もう一度、引き返して中を見てみようか、とも思ったが
(気のせいかな・・・周りが明るいんで暗く見えたのかも)
深くは考えないことにして、再び帰途についた。
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(またぁ?)
角を曲がっていきなりだった。蓋のないマンホール。
(絶対、イタズラだな、これ)
周囲を見回したが、蓋はないようだった。
(ひょっとして、マンホールの蓋泥棒とかがいるのか?)
そんなものはいるわけがない。
また、何気に中を覗いてみる。やはり暗い。
今度は、じっと目を凝らして見る。
それでも、奥は見通せない。
下に下りるときのためについている梯子段の
3段目ぐらいから先は真っ暗な闇に包まれている。
腰をかがめ、姿勢を低くして奥まで見ようとしたが
やはり、奥のほうはまったく見えなかった。
(確か、この先に交番あったっけ)
少し回り道になるが、一応警察にでも言っておいたほうが良いだろう。
そう思ってその場を立ち去った。
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(げ・・・)
2度あることは3度、蓋無しマンホール。
ただし、今度はひとつではない。
(3つ、4つ、5つ・・・なんだこれいくつあるんだ?)
次の曲がり角までの30メートルぐらいの間に
ざっと十数個のマンホール。
全て蓋無し。
(変だ!コレ絶対変!)
普通こんな狭い間隔でマンホールはない。
半ば呆れて立ち尽くしていると
ガコン!
すぐ後ろで、なにやら重い金属音。
恐る恐る振り返ると、いまやすっかりお馴染みになった蓋無しマンホール。
(なかった!ここにマンホールなんてなかったぞ!)
蓋がどこにいったのかとか誰が持っていったのかはその次である。
(これ・・・マンホールなのか?)
周囲からは次々と、あの重い金属音が聞こえていた。
その音は段々と近づいてくる・・・
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「あれ?」
「どした?」
「いや、あそこのマンホールさ、今蓋が半分くらい開いてたんだけど・・・」
「?閉まってるジャン?」
「うん、独りでに閉まった」
「はあ?んな訳ないだろ」
「ホントだって」
「じゃ・・・中に誰かいるんだろ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・Fin・・・・・・・・・・・・・・・・・
どうだったかね?それではまた、別の夜に。