第11夜 「すり替え」

この作品を2000HIT記念として 雪風 潮さん に・・・

最初におかしいと思ったのは鳥だった。
「なあ、カズ」
「なんですか?」
「お前、鳥とか詳しいよな?アレ、なんて鳥だ?」
「へえ、潮さん鳥に興味あるんですか?」
「いや、そういう訳じゃないけど。なんか変じゃないか、あの鳥」
指差した先にいる小さな鳥をカズがじっと見る。
「う〜ん・・・ムクドリみたいですけど・・・なんか動きが変ですね」
「だろ?普通ああいう小鳥ってピョンピョン跳ねて歩くよな?」
だが、その鳥は足を交互にヨタヨタと歩いていた。
「そうですね・・・どこか怪我でもしてるのかも」
「ふ〜ん」
驚かさないように、そっと近づいてみる。
「あ、ひょっとして手当てしてあげるんですか?潮さん優しいな〜」
「ウルサイ、鳥が逃げる」
だんだんと近づいていく。そ〜っと、そ〜っと・・・
だが、近づくにしたがってその鳥がおかしいことに気づく。
鳥じゃない。
いや、ぱっと見は鳥だが・・・微妙に何かが違う。
もっと近づいて、確かめようとしたとき。
グゲェーッ!
不気味な声をあげて、逃げるようにその鳥は飛び立った。
だが、その飛び方もフラフラとしている。
「あ・・・落ちた」
草むらに落ちたソイツを探しに走る。
バサバサバサ・・・
ソイツは草むらでもがいていたが
俺が近づくと動きを止めた。
と、思うと突然
シュッ
その鳥の中から、何かが飛び出した。
小さな、黒い影。
なんだか、よくわからないもの。
草むらの中に飛び込んで、それは見えなくなった。
後には、抜け殻のようになった小さな鳥の死骸が残っていた。

にゃおう
カズと別れてすぐに
次に猫が現れた。
いや、これも猫じゃない。
少なくとも、俺の知っている猫という動物は
こんな動き方はしない。
だらしなく口を開け、だらりと舌を出している所は
どちらかといえば犬だ。
普通、前足と後ろ足が交差するように歩くものだと思ったが
コイツは前足と後ろ足が同時に前に出る。
フラフラと、ゆっくりと
だが・・・コイツは近づいてきた。俺に向かって。
首はあらぬ方向を向いていて
目は何を見ているのかわからない。
時折
にゃおう
猫らしく鳴く。
そうすれば、猫らしく見えると思っているかのようだ。
だが・・・
コイツは、違う。
もっとおぞましい、何か別の物。
近寄られるのも嫌だった。
思わず、手近にあった棒切れを掴む。
その途端、ソレは動きを止める。
「シッ・・・シッシッ!」
追い払うように棒を振る。
グゲェーッ!
ソレは、さっき聞いた鳥モドキと同じ声をあげると
ヨタヨタと走って逃げた。
後を追ったが、途中で見失う。
次に見つけたときには
抜け殻になった猫の皮だけになっていた。

次は犬だろうとは思っていたが
こんなでかいヤツとは思わなかった。
確かに、ぱっと見は犬だ。
だが・・・
よく見ると前半分と後ろ半分
違う胴体を一つに繋げたような、そんな感じだ。
いや、胴体だけじゃない。
体のパーツが皆寄せ集めでできているようだ。
さしづめ犬のフランケンシュタインだ。
いきなり俺に襲い掛かってきた。
ぐしゃっ
まだ手にしていた棒切れが役に立った。
だが、鼻面を叩き潰されても
ソイツはまるで痛痒を感じていないかのごとく俺に迫ってくる。
「くそっ!」
2度、3度と棒を振るう。
何度目かの打撃で、ソイツの足を折る。
グゲェーッ!
また、あの声をあげてソイツが逃げる。
追うべきか?
だが、俺の足も膝が笑っていて
ソイツを追うことはできなかった。

「ヤあ、潮さン。どうしタんですカ?」
カズ・・・
「あブないデすかラ、そんな棒ハ捨てテくださイよ」
違う・・・
もう、コイツは・・・カズじゃなくなっちまった。
目が涙でかすむ。
なんなんだ!いったいどうなってるんだ!
「ドうしたンでスか?コわい顔ヲして。サあ、そンな棒は捨てテクださイ」
ダメだ!やらなきゃ、俺がやられる!
だけど・・・
チクショウ、なんでコイツはカズそっくりなんだ!
振り上げた棒切れを振り下ろせないまま
カズの姿をしたソイツが
揺ら揺らと歩いて近づいてくる。
最後に見たのは
不自然なほど大きく開いた
カズの口だった・・・

「よお、カズ。潮見なかった?」
「あア、洋さン、こん二チは。潮さンなら、具合ガ悪イと言って休んデますヨ」
「そっか・・・お前もどこか悪いんじゃないの?なんか変だぞ?」
「そうデすカ?まダ慣れてイないデスから」
「慣れる?ナニに?」
「イえ・・・こチらのこトでス」
「?まあいいや。潮はアパートにいるのかな。CD借りようと思ったんだけど」
「はイ。でモ・・・まだ慣れテいなイでしょウから、会うのハ止めタほうガいイデすよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・Fin・・・・・・・・・・・・・・・・・

どうだったかね?それではまた、別の夜に。

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