淀長フォーエバー5

さて、淀長フォーエバーの第5回です。
淀長さんのすごいな〜と思うところは、いかにもわかりやすく、敢えてくだけた表現で映画をやさしく解説する一方で、作品の本質を決して見失わず、それを最後にちょこっと付け足してくるところ。
「ゼイリブ」の時もそうだったし、今回の「狼の血族」でもそうですね。

 

第5回作品 狼の血族(1988年5月29日放送)

 

はい、みなさんこんばんは。今夜の映画は「狼の血族」。これ1985(いっせんきゅうひゃくはちじゅうご)年のイギリス映画です。監督はニール・ジョーダンです。みなさんあまりお馴染みじゃありませんけど、このニール・ジョーダンはなかなか注目の映画作家ですよ。さぁ今日の映画は「狼の血族」。しかもかわいい女の子、少女と狼…「赤ずきんさん」ですね。もうすぐにおわかりですね、赤ずきんさん。これは「赤ずきんさん」ですから、ご覧になったら、元は「赤ずきんさん」のヒントですけど、ご覧になったら、みなさんの子供さん達、あるいはお嬢ちゃんは、うわーうわー、おもしろいなぁ、どうなるんだろうかとご覧になるでしょう。御伽噺ですね。けれども、お父さんお母さん、あるいはお兄さんお姉さん、おばあちゃんおじいちゃんは、ご覧になったら、だんだんだんだんこの映画の何ともしれん恐怖と言ったらおかしい、怪談と言ってもおかしい、何ともしれん不可思議な妖怪変化の魅力にとりつかれなさると思います。そうです、日本にもあります猫化け、狸、狐、そんなんじゃないんですね、もっとイギリス趣味のこわーい怪談の匂いがするんですね。狼が人間を愛した場合、私達が見たら、怖い怖い、狼が人間を殺す、思われるでしょうけど、反対にこの映画を見たら、狼が哀れに思えてきたりするんですよ。けれども途中で人間の生首がビューンと飛んだりします。けどこれはそういうオカルト映画じゃないんですね。いかにもイギリスの古い古い小説を、もっぺん綺麗な綺麗なキャメラと、見事な見事な特殊技術で見せますね。さぁこの特殊技術、青年の顔がたちまち狼に変わっていくところ、怖いんですねー、その変わり方が、びっくり仰天の変わり方しますね。それも道理なんですね。この特殊技術、このメイキャップマン、この人は、「エレファントマン」のメイキャップマン、それから「スターウォーズ」のメイキャップマン、クリストファー・タッカーなんですね。だから見事な変わり方してますね。見事な変わり方だけど、ご覧になったら、うわー、びっくりなさるような変わり方して、ここにこの監督の何ともしれん映画への魅力、それを見せようとしておりますね。そういう意味で今日の映画は怖い映画だけど、まぁ言えば芸術映画ですね。綺麗ですよ、怖いですよ。じっくりご覧なさい。あとでまた会いましょうね。

はい、いかがでしたか?まぁ、渋いという言葉はいいんですけど、そういう風なオカルト映画でしたね。で、この映画の主演はサラ・パターソン。13歳のかわいい女の子ですね。けれども、おばあちゃん、あのおばあちゃんはアンジェラ・ランズベリー。よく出てきますね。「探偵物語」にも出てきましたね。もう名女優ですね。それからちょっと悪魔になって出てきたのに、テレンス・スタンプが出てきますね。その他は渋い俳優ばっかりで固めて、いかにもイギリス映画らしいかんじ出しました。そしてこの大きな大きな、古い古い狼物語の御伽噺というか怪談ものを、頁をめくっていくようなかんじで、今日は見事な映画美術として出てきましたね。今日の映画でいかにもイギリス映画らしいと思ったのは、アメリカ映画なら、ただただ狼が怖い怖い、月夜の晩に吠えるというようなかんじでオカルト式に撮るでしょうけど、この映画見てますと、おばあちゃんが言いましたね。お前、気をつけなさいよ、眉毛が濃い、眉と眉とがつながっているような男には気をつけなさいよ、と言いましたね。それからまだ小さいこの女の子に、あのね男はいろいろあるけど、胸毛の濃い男は怖いよ、と言いましたね。ああいう風な、おばあちゃんがなんとなしに、狼が人間になっているその男に気をつけなさい言うところに、グロテスクな匂いよりもセクシーな、なんか男の魅力いうものが感じ出されるんですね。そんなあたりにやっぱり英国映画らしい、この監督らしい作り方があって、ただのオカルト映画、ただの怪談映画でないフロイト的なものがありましたね。そこらあたりが今日の見所ですね。はい、もう時間きました。

それでは次週をご期待ください。

サヨナラ、サヨナラ、サ・ヨ・ナ・ラ

(2000年12月16日)

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