20世紀すべりこみ名画座
そのうち見ようと思っていて、結局見ていない作品っていっぱいありますよねぇ。
これを見ずして21世紀はむかえられない!あせって今いろいろ見てるところです。
ダリオ・アルジェント初期作品


歓びの毒牙
| アルジェントの最高傑作は「サスペリア2」だと思っているのですが、この作品はまさに「サスペリア2」の原型みたいなかんじ。ローマを訪れていたアメリカ人作家が偶然殺人(未遂)の現場を目撃する。好奇心旺盛なアメリカ人はよせばいいのにその連続殺人事件の真相を追究しようとする。途中犯人が買ったとされる1枚の絵(殺人の場面を描いたもの、これが不気味)に注目し、その作者に会いに行く件など、謎解きというより脱線に近い展開も「サスペリア2」を思い出させる。(あの作品でも子供の描いた殺人の絵が重要だった。また「恐怖の家」の本の作家に会いに行ったりしてた。殺されてたけど)そして犯人からの電話に録音されていた不気味な軋み音、これが事件の鍵をにぎることになる。(このへんも現場で聞こえたレコードが鍵をにぎる「サス2」に似ている)主人公は最後に簡単な、しかし肝心なトリックに気づく。(これも「サス2」の鏡のトリックみたい)ほとんど思いつきのような展開で、ミステリーとしてはまるで破綻しているんだけど、深層心理に訴えるというか、いや〜な気持ちにさせる要素が多くて、(フィルムのまったりした感じとか)実にアルジェントらしい一編。 |
わたしは目撃者
| 当時のアルジェントはヒッチコックの再来のように言われてたようですが、この作品を見ると、なるほどなと思う。事故で盲目になった元新聞記者が偶然殺人事件に繋がる脅迫の場面を目撃し、(厳密に言うと盲目なので会話を聞いただけ。このへん邦題は実にうまい)事件の謎に迫ろうとするストーリー。とにかく技巧こそ我が思想みたいなスタンスがヒッチっぽく、特に毒入りミルクを飲むか、飲まないかのところでの、くどいくらいのミルクの存在感の出し方などヒッチを思わせずにはいられない。(「断崖」でのミルクの場面を思い出した)ただ途中から主人公が盲目の元記者から、彼に協力する現役の記者にバトンタッチされたようなかたちになって、主人公が犯人に狙われハンディキャップゆえにピンチになる、というお約束の展開にならず、これにはちょっと拍子抜けした。犯人は最後転落死するのだが(これが当時の作品にしては斬新な死に方)、死んだ瞬間エンドクレジットになるあたり、やはり「サス2」を思わせてくれます。殺人場面は前作よりどぎつくなっていて(と言っても今の感覚からすればおとなしいもんですが)いよいよアルジェント作品らしくなってきたかんじ。 |
アルジェントはこのあと「4匹の蝿」「サスペリア2」を経て、あの意欲作「サスペリア」で自分の独自のスタイルを完成させ、世界的名声を得るのですが、その後の作品が「フェノミナ」あたりを除けばどれもいまひとつで、すっかり自己満足の作家というイメージになってしまいました。新世紀を迎えてぜひもう一花咲かせてほしい監督さんのひとりですね。
(2000年11月22日)
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