マイ・トラウマ劇場 第3話
 

小学2,3年の頃だっただろうか、日曜日の午後、テレビで土居まさるが司会をやっていた「テレビジョッキー日曜大行進」を見ていたときだった。番組の中盤、大根足大会とかのコーナーと奇人変人コーナーの間くらいに毎週映画紹介のコーナーがあった。たしか解説を作曲家の宮川泰先生がやっていた。その日は外国の変なコメディ映画の紹介だった。緑の芝生の生えた競技場のようなところで、正装した4,5人の男がピストルを自分の頭に向けて撃とうとしている。男たちは次々と自分の頭を撃ちぬいてバタバタと倒れていった。宮川先生の解説によると、これは先に死んだものが勝ちというルールのゲームなのだという。絶句した。小学校低学年にはどこがおもしろいのかさっぱりわからなかった。外国の人たちは、なんて残酷な映画を作るんだろう、などと思ったりもした。その後、ずーっとその場面が頭の片隅に残っていた。時が過ぎて僕も大学生になり、時間があるのをいいことに新旧の映画を見まくっていた頃、突然あの芝生の上で自分の頭を撃つ男たちに再会することとなった。自称コメディ・ファンだった僕は、その当時イギリスの伝説的コメディ・グループ「モンティ・パイソン」にはまっていた。ちょうど彼らの過去の作品が次々とビデオリリースされていた頃だった。問題の場面は彼らのテレビシリーズ「空飛ぶモンティ・パイソン」の初期の傑作コントを集めて劇場用作品として編集した「モンティ・パイソン・アンド・ナウ」の中に存在した。傑作ギャグばかり集めただけあって、爆笑につぐ爆笑の本作だが、そのトリをつとめる傑作コントの中にあの場面は存在したのだった。

 

上流階級アホ・ナンバーワン決定レース

 

あらすじ

ある競技場では今回で127回目を迎える伝統のレースが行われようとしていた。このレースのために上流階級から選りすぐりのアホ5人が集められていた。数字が4まで数えられるという強者。野良猫にバカにされてやる気まんまんの男。ヨチヨチ歩きをはじめたのが31歳のころという大器晩成型のアホなど、ナンバーワン決定戦にふさわしいメンバーが揃っていた。ここで行われる難易度の高い障害レースに優勝したものが本年度のアホ・ナンバーワンの称号を手に入れることができるのだった。レースが開始された。まず第1の関門は地面に書かれた白線にそってまっすぐ歩くという、いきなり難易度の高い関門。第2の関門ではなんとマッチ箱を2段積み上げた障害を飛び越えなくてはならない。第3の障害は弱いものいじめ・乞食蹴り。早く蹴り倒したものが先へ進める。第4の関門は車を運転して老人のパネルを轢く、通称ババア轢き。ここでアホのひとりは自分で自分を轢いてしまいレースから脱落。続いて寝ている人をいかにして起こすか、知恵を競いあう。第6の関門は、これは難しい、地面にしばりつけられたウサギをライフルで撃つウサギ狩り。そして次こそは最大の関門、マネキンのブラジャーはずし。そしてこれをクリアすると最後の関門、ピストルによる自分との決闘に流れ込むのであった。なれないピストルを不器用ながらも使いこなして男たちは次々と昇天していった。今年のアホ・ナンバーワンは決定した。しかし表彰台に彼の姿はなかった…。







 結局僕はあの日見た映像に魅せられていたのだろうか?
 自分の好きなものを追求していった先にあったのがトラウマ映像だったとは…。
 これ以上の幸せはないのかもしれない。

 

 あなたのトラウマエピソード、ぜひ教えてください。

 (2000年7月16日)

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