
| このコーナー、箸にも棒にもかからないような怪作ホラーばかり紹介していますが、今回の「ジャンク・イン・ザ・ダーク」は、作品の内容はともかくとして、十分鑑賞に耐えうるマトモな作品です。4人の殺人狂が、街の停電騒ぎのどさくさに紛れて、厳重に管理された療養施設から脱走。彼らは、新任の精神科医一家の自宅を包囲し、家族ともども皆殺しにしようとする……簡単に説明すればそんな話。なんといっても殺人狂を演じるジャック・パランスとマーティン・ランドーの存在感が圧倒的。幼女レイプ魔を演じたアーランド・ヴァン・リドスの不気味さも捨てがたい(この俳優が「バトルランナー」で、あの電飾男ダイナモを演じたことはあまり知られていない)。施設の院長を演じるのはドナルド・プレザンス。プレザンス院長は彼ら精神病者を“患者”とは呼ばず“航海者”と呼んでいる。彼らを、精神科医すら見ることのできない精神の奥底を旅する者たち、と解釈しているのである。狂人が人を襲うという身も蓋もないドラマですが、狂人とは、常人が掴み得ない真理に近づいてしまった孤独な者たちなのではないか、そんな視点がこの作品からは感じられます。原題は“Alone in the Dark”暗闇にひとりぼっち…停電の夜に狂人に包囲された主人公一家を表現しているようでいて、実は狂人たちの心の孤独を表しているのではないでしょうか(しかし邦題はなんとかならんかったんかね)。監督・脚本は「ヒドゥン」のジャック・ショルダー。サスペンスフルな演出が冴える佳作であります。(1982年 ジャック・ショルダー監督 松竹ホームビデオ) |
(2001年11月5日) 次のページへ プログラムへ トップページへ