県税収入が大幅減 減少率、減少額とも戦後最悪
(2002/1月12日)
IT不況で法人2税減収
県は十一日、新年度の県税収入見込みが今年度見込みより四百五億円(16・4%)減の二千六十二億円と、大幅に落ち込むとの見通しを明らかにした。
減少率、減少額ともに戦後最悪の水準で、総務省の地方財政計画で示された都道府県税総額の5・4%減を10ポイント以上上回る減少率となる。
減少の内訳はIT(情報技術)関連企業の業績悪化により法人二税(法人県民税、法人事業税)が今年度見込みに比べ二百二十億円(29・2%)減、金融機関の利子に課税される県民税利子割が同百三十億円(59・9%)減、個人県民税も同二十八億円(7・9%)の減。
田中知事は同日の会見で、
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「厳しい財源においても、三十人学級を始めとする、雇用を生み景気浮揚を行えるようなものについては計上していきたい」
と述べた。
一方、今年度の税収見込みは当初予算で計上した額(二千五百四十八億円)に比べ八十一億円(3・2%)減の二千四百六十七億円で、二十六年ぶりに当初を割り込む見込み。
福祉・雇用に重点 財政悪化は深刻さ増す
(2月16日)
県新年度予算案 激減する県税収入、進む予算の硬直化
田中知事は十五日、県の二〇〇二年度当初予算案を発表した。
一般会計は一兆四十七億千四百万円で前年度当初比2・5%減と三年ぶりのマイナス予算。
知事は
「昨年よりは、県民に約束し県民が支持してくれることに一歩ならず、二歩、三歩と近付ける予算になった」
と強調、福祉や教育、雇用対策などに重点的な配分を行ったとした。
しかし、県税収入の激減で基金を大幅に取り崩すなど歳入面の厳しさが増す一方、歳出面では公債費の増大で予算の硬直化が進んでおり、県財政の悪化は深刻さを一層増している。
予算案と合わせて「財政改革基本方針」の素案が発表されたが、具体策について知事は
「秋までのできるだけ早い時期に見通しを提示する」
と述べるにとどまった。
【歳出】
投資的経費は前年度当初比約二百九十五億円(10・5%)減。
うち県単独事業費は20・2%、公共事業費も12%のカットで、前年度に引き続き大なたが振るわれた。
しかし、一般行政経費は九十九億円(1・7%)のカットにとどまった。
特別職の給与削減などに踏み込んだが、退職手当の増加で人件費全体では0・5%増。
また、借金の返済に当たる公債費も約百三十四億円(7・7%)増で、義務費(人件費、扶助費、公債費など)は歳出全体の48・7%(2・6ポイント増)と、さらに硬直化が進んだ。
目的別では、知事が力を入れたとする民生、労働費が伸び、土木、農林水産業費が落ち込んでいる。
【歳入】
柱となる県税収入は、前年度当初比16・4%減の約二千六十一億円と戦後最大の落ち込み。
不況による法人二税(法人県民税、法人事業税)の大幅減が響いており、歳入全体に占める割合は前年度の24・7%から20・6%に低下した。
これを補うのが県債と基金の取り崩し。
県債発行額は10%増の約千三百八十一億円。
財政調整基金など三基金からは三百三十三億円を取り崩す。
これで基金残高(二〇〇二年度末)は三百二十四億円となり、もう後がない。
そのほかに、未利用県有地の売却や高校授業料引き上げなどで約十二億円の増収を見込んでいる。
【2004年度、財政再建団体の恐れ】
予算案と合わせて発表された「財政改革基本方針」の素案では、二〇〇六年度までの財政見通しを試算している。
それによると、〇二、〇三年度は歳入不足が三百億円を超え、〇三年度末には基金が枯渇。
〇四年度には財政赤字が三百二十億円に達し、国の指導下に置かれる「財政再建団体」に転落する恐れがあるとした。
再建団体転落を防ぐためには〇三年度以降の四年間で四百三十億円の収支改善が必要で、人件費、公債費、投資的経費の抑制、事務事業の見直し、外郭団体の統廃合などを通じて歳出を抑制する一方、県財産の売却や特定目的基金の取り崩しなどで歳入増を図るとしている。
県独自の新税導入については、知事は会見で
「県民に納得して負担いただけるものを検討はしているが、具体的なものは現在のところない」
と慎重な姿勢を示した。
今後、各部局長で構成する「予算編成会議」を「財政会議」に改組し、県議会や市町村などと意見交換しながら、秋ごろまでに基本方針を策定する。
【県新年度組織改正】
県は十五日、新年度の組織改正を発表した。現在社会部にある男女共同参画課を、全庁的に取り組むため企画局に移管。
県組織の再構築や外郭団体の見直しなどを担当する行政改革推進室を人事課内に新設する。
また、医務課内に県立病院室、廃棄物対策課内に廃棄物監視指導室を新設。
「県政改革ビジョン」で掲げたNPOとの協働を進めるため、NPO推進係を生活文化課内に設置することになった。
【県会各会派の反応】
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下崎保・県政会団長「雇用対策のプラス分より公共事業のカットの方が大きいので景気に対する影響が心配だ。
財政再建に取り組む姿勢は示したが、公社の見直しとか漠然とした言い方で具体的な方針は出ていない。
国の二次補正を受けるならなぜ今年度当初予算で公共事業をカットしたのか。日本一の税収減になった原因だ」
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大和代八・県民クラブ会長「昨年と比べれば医療、福祉、環境でメリハリのある内容で一定の評価はできる。
しかし、経済や雇用をどう守るかなど具体的なものが全くない。
我慢すればどんな長野県になるか見えてこない。
美辞麗句だけ。
県民が分かるように議会の中でただしていきたい」
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浜万亀彦・社会県民連合団長「福祉や教育、雇用対策への重点配分、とくに少人数学級の実現については評価できる。
だが、なぜ県税収入が四百億円も減少するのか。
他県と比べ突出しており、公共事業削減が理由との声もある。納得いく説明を求めたい」
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石坂千穂・共産党県議団長「今まで数年かかった課題が、かなりきめ細かく予算化されている。
タイムケア事業拡大などの福祉政策、『三十人学級』の導入など充実感はあり、基本的には評価できる。
今年度の借金返済の方向が、(公共事業中心の)二月補正予算案で逆戻りした点は残念だ」
【解説】
今回の予算編成で最も注目されていたことは、「県財政の健全化に向けた道筋や将来像をどこまで示せるか」という点だった。
抜本的な財政改革を行わないと、近い将来、「財政再建団体」に転落するとの危機感からだ。
しかし、予算案を見る限り、「示された」とは言い難い。
まず、四百億円以上の県税の落ち込みが見込まれながら、一般会計の予算規模を2・5%、約二百六十億円減にとどめたことについては、
「歳出の絞り込みが甘かったのではないか」
との印象をぬぐいきれない。
確かに、公共事業などの投資的経費は10・5%、約二百九十五億円の大幅な削減となったが、一般行政経費はわずか九十九億円、1・7%のカット。
福祉、教育、雇用などに重点配分しメリハリをつけたとしているが、長野市の中央通りを花で飾るイベントなど「信州の花まつり事業」が「戦略的施策」として二千万円を計上されたことなどを挙げ、
「不要不急の予算が多い」
と指摘する声が県内部にもある。
六百五十七億円しかない基金を半分以上取り崩してしまう価値があったのだろうか。
さらに、予算案と合わせて素案が発表された「財政改革基本方針」には、補助金、外郭団体などの見直しが強調されているが、「縮小します」「検討します」などと、当然のことを書き並べた財政運営の「心得集」の感が否めない。
十五日に知事と懇談した石田治一郎議長らは、
「最終的な方針決定は今秋にずれ込む」
との知事の説明に失望を隠さず、
「財政改革の姿をもう少し早く県民に示すべきだ」
との批判が噴出する結果となった。
知事は会見で、
「今回の予算が会心の出来で一点の誤びゅうもないとは言えない」
としながらも、
「見直しは道半ば。県民から支持される見直しによって、財源は生まれてくる」
と強気な姿勢を示したが、二十一日から始まる県議会では、その強気の根拠が問われることになる。