ウミスズメ[海雀]

(学名)Lactoria diaphana
(英名)Spiny boxfish


フグ目ハコフグ科

[分布]
茨城県以南;インド・西太平洋域
[環境]
浅海の岩礁(1〜10m)
浅海の砂地(1〜10m)
[体長]  15〜20cm
[撮影地] 雲見・牛着岩
[深度]  10〜15m
[撮影者] H.Murayama

[特徴]
ウミスズメの仲間は海底のみ
ならず、その上層部分にかけて
サッカー場ほどの広大な三次元
なわばりをもつ。

ウミスズメを含むハコフグ科の
魚はその名の通り、鎧のような
箱状の甲殻に覆われており、
その体表からは
有毒な粘液
分泌する。


ウミスズメのなわばり争い?!

なわばりをもつ魚の多くは外敵からの攻撃を避け、
海底近くの安全な場所になわばりを作りますが、
ウミスズメの仲間はなんと海底の平面上のみならず、
その上層部も含めたなわばりをもち、しかもその広さ
はサッカー場ほどと言うから驚きです。

この広大ななわばりで雄は1〜3匹の雌と自分達の
餌場を守っているわけですが、実はウミスズメも別頁
で記載したオハグロベラなどと同様、ハーレム社会を
形成し、侵入してくる別の雄と激しいぶつかり合いや
噛み合いバトルを繰り広げるようです。

ハコフグ類は性転換を行わず、雄雌比がおおよそ
1:1にも関わらず、ハーレム社会を形成するという
ことは、それだけなわばりを持たない独身の雄が
多くなりバトルの回数が増すだけでなく、最初に
述べたように広大ななわばりを隅々まで注意を
払わなければいけなくなり、それはもう大変であろうと
なわばりを守る雄に同情さえ感じます。

一方、それほどの涙ぐましい雄の努力に守られて
雌はさぞかしいい身分と思いきや、なんと雄の攻撃は
自分のなわばり内の雌に対しても行われ、雌が自分
のなわばりから出て行かないように行動範囲が制約
され、一種の”軟禁状態”に置かれているようです。

おそらく自らの種を維持するために手に入れた生態
だと思われますが、なんとも考えさせられる話です。

ウミスズメの鳴き声を聞いたことがありますか?!

皆さんはウミスズメの鳴き声を聞いたことがあります
か?別の頁で記載したように、ウミスズメなどのハコ
フグの仲間に限らず、魚のなかには浮き袋から空気
を押し出す際の振動により音を出す種が意外に多い
ようで、その音を使って求愛といったようななんらかの
コミュニケーションを行っているようです。

ウミスズメも上の写真のように手で捕まえたりすると
船のエンジン音のような”ブーブー”という音を発する
そうですが、私はまだ聞いたことがありません・・・

さらに、ウミスズメも一応フグの仲間ですから、この
ようなストレスが与えられると、音だけでなくその体表
から有毒の粘液を分泌するようです。しかもその有毒
な粘液は自分自身にとっても有害なようで、ハコフグ
類を水槽などで飼おうとすると、一緒に入れた他の魚
だけでなくハコフグ自身も毒で死んでしまうそうです。

このハコフグ類の粘液毒の毒性や目的、どれくらい
のストレスを与えれば粘液毒を分泌するのかなどは、
まだはっきりと解明されていないようですが、いずれ
にしても、実際に手で捕まえたりすることは、魚達に
とって非常に大きなストレスになり、海を愛する者
としてのマナーにも反することになりますので、あまり
マネはしないようにしましょう。


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