キュウセン[求仙、九仙]

(学名)Halichoeres poecilopterus
(英名)Multicolorfin rainbowfish


スズキ目ベラ科

[分布]
函館以南(除沖縄)
朝鮮半島;シナ海
[環境]
浅海の岩礁・砂地(1〜10m深)
やや深い岩礁・砂地(10〜50m深)
[体長]
雄:18cm
雌:16cm
[撮影地] 宇佐美・カーゴ石
[深度]  15m
[撮影者] H.Murayama

[特徴]
雌から雄へ性転換する魚で、雄は
青みが強く胸ビレの近くに黒斑が
ある。雌はやや小型で体色が赤味
を帯びる。雌雄の体色の違いから
雄はアオベラ、雌はアカベラとも
呼ばれる。

昼間は餌をとるため岩礁や海藻の
多い場所にいるが、夜は砂地に
潜って
眠る習性を持つ。


ようこそ魚達のハーレムへ?!

ベラ科の魚であるキュウセンは雄と雌の体色が
まったく違うため、初めて見た人のなかには別の
種類の魚と勘違いされた方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか?ちなみに、上の写真に示す比較的
地味な体色を持つ雌に対し、雄はまるで孔雀の羽の
ような鮮やかな色をしていて、体の大きさも雌より
一回りほど大きいようです。

ここで思い出してもらいたいのが、クマノミで説明した
ような雌雄の優位差と体長との関係です。クマノミが
雌優位の社会において雄よりも体の大きさが大きい
のとは逆に、キュウセンは雄優位の社会を構成して
いるようです。
文献10によると、キュウセンなどベラ
科の魚達は一夫多妻制のハーレムを形成しており、
雌との性差をはっきり区別させ、求愛時などの
コミュニケーションを円滑に行うために鮮やかな
体色を持っているものと考えられます。

このように一見、男尊女卑に感じられるキュウセンの
社会構造ですが、ここでも
クマノミの場合と同様に
上手くバランスが取られているようです。キュウセン
はクマノミとは逆に、雌から雄へと変わる雌性先熟の
魚で、最初は雌として繁殖活動に参加していたとして
も、何かの都合で雄がいなくなれば雌の中でも比較
的強い個体(体が大きいetc)が雄に性転換するよう
です。考えてみれば、雄の方が鮮やかな体色で
目立ちやすい分、外敵に狙われる確率も高いものと
思われますので、キュウセンにしてみれば必ずしも
雄の方がいいとは思っていないかも知れませんね。

魚だって寝るんです!!

私がナイトダイビングを始めた頃、昼間沢山見かけた
魚達を一向に見つけられないことに文句を言うと、
「魚だって、夜はちゃんと眠ってるんだよ・・・」と
言われて戸惑った記憶があります。皆さんの中にも
そんなバカなと一笑に伏す人もいるのではないで
しょうか?

ところが人間と同じく、昼間動き回っている魚達は
ちゃんと夜、睡眠を取っているようです。もちろん、
まったく人間と同じような寝姿を想像してもらっては
困りますが、
文献4によると、南の海を彩るチョウ
チョウウオやスズメダイ科の魚達や伊豆でお馴染み
のカワハギなども体色を変えたりして外敵から身を
守りながら睡眠を取っているようです。中には
アオブダイのように体をまるで寝袋のような粘膜の
袋で体を包んで眠る魚もいますが、キュウセンも独特
の眠り方をするらしく、夜になると砂地をベッド代わり
にして、砂の中にすっぽり体を埋めたり、顔だけ少し
出して寝るなど様々な眠り方をするそうです。

残念ながら、私もまだ実際に自分の目でその寝姿を
見たことはありませんが、皆さんもナイトダイビングの
際に、そんな彼らの寝姿をこっそり探してみては
いかがでしょうか?


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