クマノミ[熊之実、隈魚]

(学名)Amphiprion clarkii
(英名)Goldbelly anemonefish,Clark's anemonefish


スズキ目スズメダイ科

[分布]
千葉県以南;インド洋・太平洋域
ペルシャ湾
[環境]
浅海の岩礁(1〜10m深)
サンゴ礁
[体長]  8〜10cm
[撮影地] 大瀬崎・岬の先端
[深度]  10m
[撮影者] H.Murayama

[特徴]
10種類ほどのイソギンチャクと
共生する。
(サンゴイソギンチャク,イボハタゴイソギンチャクetc.)
この種は、カラーバリエーションが豊富で、
伊豆半島に生息する雄の尾ビレは
全体に黄色、沖縄の個体は上下の縁
だけが黄色といった風に、生息地域
によって色彩変異がある。

産卵は春〜秋で、雄が卵の世話をする。


意外に人間くさい?!クマノミのライフスタイル

皆さんの中にも私と同様、魚と言えば海の中を自由
気ままに泳ぎ回るイメージが強く、人間のような生活
習慣があるとは想像しにくいのではないでしょうか?

スズメダイ科に属するクマノミの仲間は、人間と同様
に一夫一妻制であり、1つのイソギンチャクを住み家
として一対のペアが長期間定住生活します。しかも
その住み家であるイソギンチャクに卵を産みつけた
後も孵化するまで卵の面倒を見て、卵を狙って
やってきた外敵から保護することまで行います。
さらに、彼らの住み家に異性のライバルが紛れ
込んでくると、自分達の家庭を守るため徹底的に
追い払うこともやってのけます。
モイヤー先生の本
によると、一つのイソギンチャクに同じペアが10年
以上生活していた記録もあるそうですから、まさに
人間顔負けのライフスタイルを持っているといっても
過言ではないと思いますが、いかがでしょうか?

このようにクマノミは同じ住所(イソギンチャク)に
定住し、毎回同じ個体に会うのもそう難しいことでは
ないようです。今度潜りにいく際は、なつかしい友達
に会いに行く感覚で訪問してみたいものです。

嬶天下とは言えない?!クマノミの家族構成

クマノミの住み家となるイソギンチャクは一部地域を
除いて普通単独で存在するため、そこに生息する
クマノミは一対の成熟した雌雄と数尾の子魚という
日本の一般的な核家族世帯のような家族構成が
成立しています。

雌は雄が準備した産卵床に卵を産み付けた後は
主に餌を取ってきたり、外敵を追い払う役目を
行い、雄は産み付けられた卵に鰭を使って常に
新鮮な海水を送りつづけ、卵が泥に埋もれたり
しないよう、卵を保護する役目を行います。
このため、雌のほうが雄に比べ体が大きいほか、
雄の鰭は卵に海水を送り続けるため、雌に比べ
擦り減ったり、傷ついたりしているようです。

こんな話を聞くと、クマノミの女性優位の社会に
憂鬱感を感じる男性諸氏もなかにはいるかも
知れませんが、クマノミの場合、もともと一つの個体
に精巣と卵巣を同時に持っているそうです。
(これを両性生殖巣といいます)
従って、全ての小魚はまず先に雄として成熟した後、
何かの都合で雌がいなくなるとペアだった相手の雄
が雌に性転換し、別の雄と新たな家族を作っていく
そうですから、少なくともクマノミ社会においては
男であることに不満を持つことはないのではない
でしょうか?


"目次"へ戻る

Hiroの海洋写真館