カスミチョウチョウウオ[霞蝶々魚]

(学名)Hemitaurichthys polylepis
(英名)Brushtooth butterflyfish


スズキ目チョウチョウウオ科

[分布]
和歌山以南;南シナ海
ハワイ諸島;マリアナ諸島
ソシエラ諸島
[環境]
サンゴ礁
[体長]  12〜15cm
[撮影地] サイパン・ディンプル
[深度]  18m
[撮影者] H.Murayama

[特徴]
サンゴ礁外縁の中層に
群れている。
潮が流れ出すと、流れに向かって
泳ぎながらプランクトンを捕食する。

他のチョウチョウウオの仲間と比べ、
頭部は黒褐色で、体の前上部、
背ビレ、尻ビレが黄色であるため、
識別は容易である。


チョウチョウウオは群れをつくる?!

サイパンのディンプルポイントと言えば、上の写真の
ようにカスミチョウチョウウオが大量に群れている
ポイントとして雑誌などでもよく取り上げられていて
私も始めてこのポイントに潜り、カスミチョウチョウ
ウオの群れに囲まれた時は、ダイビングを初めて
本当に良かったと心から感動したものです。

ところで、伊豆でお馴染のシラコダイもカスミチョウ
チョウウオと同じチョウチョウウオ科の魚ですが、
大抵は単独か1対のペアで見かけることが多く、
なにか物足りなさを感じる人も多いのではないで
しょうか?
文献1によると、意外なことにチョウチョウ
ウオ科の魚の多くは通常、単独かペアでいる方が
多いようで、カスミチョウチョウウオのような大群を
つくる種はそう多くないようです。もちろんチョウチョウ
ウオ科以外も含めると、伊豆でも良く見かける
ネンブツダイなどは大群をつくっていますが、同じ
チョウチョウウオ科でありながら、行動パターンに
こんな違いがあるのは不思議に思いませんか?

もともと、魚が大群をつくるのは、数が増えることに
よって群れのなかの一個体が外敵から狙われる確率
を少なく出来る効果によるものと考えられているよう
ですが、チョウチョウウオ科の他の魚とカスミチョウ
チョウウオとの行動パターンの違いはどうやらその
食生活に影響しているようです。

雑食性のシラコダイやサンゴのポリプを食べるセグロ
チョウチョウウオなどに対し、カスミチョウチョウウオ
はプランクトン食です。プランクトンを効率よく摂取
するためには潮通しのいい場所を見つけて待機する
のが一番ですが、このような潮流の比較的速い場所
はプランクトン食の魚達を目当てにした大型の魚達も
多く集まるため、そのような外敵から自分達を守る
意味も含めて、大群を形成するようになったのでは
ないかと考えられます。

見慣れた魚達の何気ない行動にも、それなりの合理
的な理由があるようです。皆さんもぜひそんな好奇心
を持って、魚達を観察すると興味はつきないのでは
ないでしょうか?

華麗な姿は何のため?!

夏が近づくとTVコマーシャルなどで南の島のリゾート
の海を彩るチョウチョウウオ科の魚達が映し出される
ため、ダイバー以外の人達でもそのカラフルな模様
を一度自分の目で見てみたいと憧れるのではない
でしょうか?

ところでチョウチョウウオ科の魚達は何のために、
このような美しい体色を持っているのでしょうか?
チョウチョウウオの頭部はたいてい 目を隠すような
帯模様となっています。これは、外敵が襲ってきた際
に頭の方向を分かり難くさせて逃げやすくするため
の模様と考えられていますが、カラフルな体色その
ものの理由については残念ながらよく分かりません。
もちろん、我々人間の目を喜ばせるためではない
ことだけは明らかでしょうが・・・。

チョウチョウウオの仲間は世界中に約100種類以上
が既に確認されていて、色とりどりのあらゆる模様が
種ごとにはっきりしているため、図鑑で種類を調べる
時にも比較的簡単に調べられますが、意外な事に
その生態についてはまだ詳しく研究されていないよう
です。チョウチョウウオの仲間の多くがなわばりを
持っていなかったり、カスミチョウチョウウオのように
潮流の比較的速いところに生息していたりするため
同一個体の観察を続けにくいことが原因ではないか
と思われます。皆さんもよく観察していると面白い
発見ができるかもしれませんね。


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