キアンコウ[黄鮟鱇]

(学名)Lophius litulon
(英名)Yellow goosefish


アンコウ目アンコウ科

[分布]
北海道以南
黄海〜東シナ海北部
[環境]
やや深い砂地(10〜50m深)
[体長]  0.7〜1.5m
[撮影地] 大瀬崎・湾内
[深度]  20m
[撮影者] H.Murayama

[特徴]
深海に住む魚だが産卵期になると
浅場に上がってくる。
砂の中に目だけを出して隠れ、獲物
が近づいてくると擬餌を動かして
おびき寄せ、大きな口でひとのみに
してしまう
釣りの名手でもある。

アンコウ鍋などの料理に利用される
せいか年々乱獲が進み、大型の
個体に出会う機会が減少している。


アンコウも見掛けに依りません?!

アンコウは深海に住む魚であり、通常ダイバーが
海の中で見かけることは比較的まれだと思います
が、運良く出会えたとしてもその外見はおせじにも
美しいとは言えず、なんとも複雑な心境になるのは
私だけでしょうか・・・

もともとアンコウの呼び名はアンゴウというヒキガエル
の方言が変化したものだそうで、中国では蛙魚、英語
ではSea Devil(海の悪魔)、Frog Fish(蛙魚)、Sea
Toad(海のヒキガエル)など、その名の通り外見が
ヒキガエルに似ていることから由来する名前が圧倒
的に多く、アンコウにしてみれば散々な呼び名が
付けられて迷惑しているかも知れません。

そんなアンコウですが、見掛けに依らず釣りの名人
であることは比較的良く知られていると思います。
アンコウは英語で別名Angler Fish(釣り師の魚)とも
呼ばれるように、独自に持っている擬餌を巧みに
使って餌となる小魚などを捕食します。この擬餌は
もともと前方の背ビレが遊離し伸長したもので、先端
に糸状のふさが付いており、このふさをまさに釣り師
のごとく、餌虫が水の流れでゆらゆら揺れているかの
ように上手く動かすことで近づいた小魚を一飲みに
してしまうそうです。

アンコウは動きが鈍く泳ぎも下手なため、このような
形態を身に付けたと考えられますが、釣り好きな人
の中には、ぜひアンコウに釣りの技術を教えてもらい
たいと願う人もいるかも知れませんね。

アンコウも中身で勝負?!

アンコウが見掛けに依らないのは単に釣り名人だけ
に限らないようです。関西出身の私からすれば馴染
が薄いのですが、関東で特に冬賞味されるアンコウ
鍋は高級料理の一つに位置づけられるほどの珍味
と評されています。

アンコウ料理の歴史はかなり古く、江戸時代の
『本朝食鑑』(平野必大、1697)にもアンコウ料理が
紹介されているほどで、その独特な料理方法は今も
昔と同様、"吊し切り"という方法を使うようです。
アンコウは他の魚と違い鱗がなくぬるぬるしており、
まな板の上で調理しにくいせいか、まず縄を下アゴ
に通して吊し、口から水を5〜6升ほど注ぎこんだ後
外皮、肉、内臓の順に骨から身を切り離していく様子
がTV番組でも紹介されていた記憶があります。

食通の人になると、擬餌の部分・キモ・ヌノ(細長い
卵の袋)・皮・前ヒレ・胃袋・肉の七つ道具が揃わない
と本物のアンコウ料理と言わないそうですから、ここ
まで評価されれば、アンコウも本望なのではないで
しょうか?ぜひ一度食してみたいものです。


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