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「なぜイノシシは増え、コウノトリは減ったのか」
【目次】
はじめに
第1章 ダムに風穴を開けろ!
第2章 田園に舞え、コウノトリよ
第3章 ぼくらツキノワグマ予報官
第4章 飛ぶ鳥を落とす風車
第5章 キューダイ方式が里山を救う?
第6章 西洋大円花蜂、知床半島に接近す
第7章 アライグマ鎮魂歌
第8章 野生動物とサスティナブルなおつきあい
あとがき
なぜイノシシは増え、コウノトリは減ったのか 平田剛士
はじめに
野生動物の群れが目の前で全滅しかけていたら、たいていの人は何とかしなきゃと思うに違いない。けれどさて、どうやったらそのレスキューは成功するだろう? ちょっとシミュレーションしてみよう。
まずは、その群れを絶滅の淵に追い込んでいる元凶を探る必要がある。伝染病が流行している? 食べ物が足りない? 繁殖場が失われたせい? 外来種に圧迫されている? それとも乱獲(殺しすぎ)のためか……。原因は一つとは限らない。むしろいろんな要因が複雑に絡み合っているケースが多い。そういう時は、何が一番ひどくて、二番目がどれで、三番目は、と優先順位をはっきりさせると、対策のスケジュールを立てやすくなる。
原因が分かったら、今度はそれを取り除く方法を考える。病気なら治療を、汚染なら浄化を。食べ物不足の手当てを。生息地の保全や復元を。侵略的外来種は排除。乱獲にはブレーキを。ひとつひとつ潰して、群れにかかっている「絶滅圧力」を緩和してやる。
この間、相手の群れの様子をずっと監視(モニタリング)し続けていると、対策が本当に効果を上げているかどうかが分かる。ふつう、対策のための財源は限られている場合が多いので、やっても無駄だと分かった方法は止め、効果ある手法に集中投資するのが合理的だ。
もしかすると、絶滅原因を取り除くだけではもはや回復不能なほど、群れ自身がすでに構成員の数を減らしすぎているかも知れない。たとえば大型の哺乳類だと、一〇〇〇頭を切ると群れは健康を保てなくなると言われている。そんな時は当面、人の手で数を増やすこと(人工増殖と補充)が作業の中心になる。保育器育ちの動物を無事に野生に戻すための手法をあみだす研究も必要だろう。
――とこんなふうに、絶滅しかけている群れのレスキュー作戦は、頭の中では案外スムースに計画を立てられる。「傾向」を読み、適切な「対策」を実行するだけ。受験勉強なみにシンプルだと言える。
ところが現実には「成功」のニュースはほとんど聞こえてこない。代わりにレッドリスト(注1)の掲載種数だけが積み上がっていく。
(中略)
では、どうすれば彼らを絶壁から引き戻せるのか――。それが知りたいと思って、わたしは取材の旅に出た。本書でこれからご紹介するのは、北海道から九州まで、列島各地で出合った実践者たちによる最先端のケーススタディだ。
(C)2007 Hirata Tsuyoshi,
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