幼い頃、祖父の寝室である座敷には、桐の箱、古文書在中と書かれた箱、古い観音開の箪笥が置かれていた。
僕が小学五年生の頃、小学校創立百年の式典が行われ、百年史の発行が計画され僕の家に小学校の創立に係わる書類があるのではないかと訪問者がやってきた。祖父は古い箪笥、土蔵から古い書類を持ち出したのである。
その後、その書類は式典会場に貸し出され、百年史に掲載された。 このようなことから僕は、桐の箱、箪笥、土蔵に何があるのか興味覚え、祖父の目を盗んでその箱を開けた。黙って盗み見した羞恥心から、僕は、これらの古い物がなんであるか祖父に聞けなかった。その数年後祖父は亡くなった。祖父の遺品である手帳・帳面から僕の家が新宅してからの代々の名前や墓石の調査・香典帳の調査模様が記されていた。
そして、僕はいつしか祖父が記せなかった部分を記し始めた。
地域史研究