11. 旅の終わりに

 あっという間の旅だった。

ガイドブックを読み込んで、スケジュールをたてて行く旅なんて、初めてだった。

仕事が忙しくてガイドブックなんて見る気になれなかったし、機内で研究しようと思っても、日頃の寝不足がたたってすぐ熟睡してしまい、いつも行き当たりばったりだった。

今回は準備する時間が持てたし、何よりもミスできないというプレッシャーがあったから、入念に研究してプランを立てた。だがそれらを一つ残らずエンジョイすることができたのは、予想外だった。赤ちゃん連れの旅なんだから、そのご機嫌や体調によって行けないところ、出来ないことが当然あるだろうと思っていたからだ。

 

 この旅行は、見事に「万由子の私への親孝行の旅」だったんだな〜と思う。明るく素直で笑顔のかわいい私の娘。この先、時にはそれらを隠して意地を張ってしまうことがあるだろう。私とがっぷり四つに組んで対立することもあるだろう。

でも私は、わずか6ヶ月の万由子がここまで親孝行してくれたことを忘れまい。

彼女は「子どもがいるから何もできない」と鬱々としていた私を励まし、職場復帰後の生活に恐れをなしていた私に「ママがやるなら、ついていくよ」と伝えてくれたのだ。こんなに小さいのに。ありがとう、忘れないよ。でも忘れたら困るから、こうして記録に残しておくよ―。 彼女の私への思いやりに、私も応えていかなくてはならない。どんなことがあっても、守り抜いてあげる。万由子を見つめながらそう決意する。

すごく晴れがましい気分に、私はしばし酔いしれた。

 

 福岡空港着陸体制が長く大人でも耳が痛い。万由子はパニック状態になり泣き叫んだ。

私はなりふり構わずおっぱいを出すしかない状況に追い込まれた。おっぱいを出すと、万由子はうーっと言いながら乳首をぎゅーっと噛んできた。

ぎゃーっ!痛―い!!切れるうー!

だが私は耐えた。さっきそう、決意したばかりだから・・・。

 

                                fin.

 

written by tuba

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