1. 出発

2001年2月17日(土)

よく晴れわたった週末の昼。私達家族3人は出発した。

私は背中にデイパック。夫はスーツケース。そしてB型ベビーカーに乗る万由子。

私達は海外に出かけようとしている。

でも行き先は違う。夫は成田空港からアメリカのアトランタへ出張。私と万由子は羽田空港から福岡の実家で一泊、翌日台湾へ向かう。私達は途中の池袋まで一緒に出かけられるよう、時間を合わせていた。

夫はもちろん反対だった。わずか六ヵ月の万由子にとって、海外旅行など何の得もないというのがその理由。でも最後には福岡に住む自分の母、つまり私にとっては義母と3人で行くことを条件に折れてくれた。私が福岡を経由するのはこのためだ。

池袋で夫と別れる。たかだか台湾、そんなに大げさなものじゃない。でも、必ず万由子を守りきることを心に誓って、軽快にホームへの階段をベビーカーの万由子と共に上った。

 

「一週間ほどアメリカに出張する」と聞かされた時、それはたまらんと私は思った。

一週間、万由子と昼も夜も二人きりという状況を想像する。寂しくやるせなく閉塞感に溢れたイメージが広がる。万由子のことは可愛くて仕方がない。これは万由子を愛せないとか育児に疲れているとか、そういうこととは全く別問題なのである。二人だけで家に閉じ込められているような長い時間を過ごしたことがない夫には、なかなか理解しがたいだろう。「実家に帰るという選択肢があろう」と思われるかもしれないが、私の実家は北海道。今年は特に雪が多いのである。最も寒さ厳しい2月にベビーを伴って帰るのは、むしろ海外より危ない。あー、どうしよう。どこに出かけたらいいだろう。私はまじで焦っていた。

私は現在育児休職中。元々はテレビ局で働いている。

私も回りの人間も、仕事で海外に出かけることが度々ある。“明日から一ヶ月出張”なんていう男に「奥さん寂しがっているでしょう?」と聞くと、「耐えられないから実家に帰るって」という答えがしばしば返ってきた。正直、随分気の弱い奥さんだな〜などと思っていた。しかし何のことはない、私も全く同じなのだ。分かってなかった・・・。

私が旅を決めあぐねていた時、このHPの管理者れいこさんがスペインに親子旅をするという情報が入った(笑)。そしてれいこさんから、あるHPを紹介していただいた。6ヶ月のベビーと二人、3週間もスペインを旅した記録を綴ったものだった。

このことが私の背中を押してくれた。大丈夫、行ける。つんくも言ってるじゃないか。

「行けると思っているやつだけが、先に行ける。行っちゃえ、まず行っちゃえ」って。

そんなことを目を細めながら一人考えてふと気付いたら、浜松町乗り過ごした!何やってるの〜もうっ、しっかりしてよ!!

 

 

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