音楽夜話バックナンバー

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第3話 元ダウンタウンブギウギバンド鈴木氏インタビュー  前編
(平成12年5月公開)

 ダウンタウンブギウギバンドと言えば、普通の音楽ファンなら知らない人はいないでしょう。なおかつ、30代以上の人であれば、その全盛期にヒット曲を連発し、テレビにも数多く出演していたのを記憶しているはず。 ブギウギバンドには歴代4人のドラマーが在籍したが、その存在感、テクニックともにNO.1で、ファンに強烈なイメージを残したのが2代目ドラマーの鈴木洋行氏。
ダウンタウンブギウギバンド時代の雄姿。左から宇崎竜童、鈴木洋行、千野秀一。

 その鈴木氏と太陽のオーナーKT氏が旧知の間柄であることから、今回のインタビューが実現する事となりました。 ブギウギバンドに関しては、インターネットでもさほど情報が得られません。(これは意外なのですが…) なので、今回は若い音楽ファンのために、私が知りうる限りの注釈を付け加えながらご紹介します。なお、インタビューは約1時間にも及び、「これはヤバイんじゃないの?」という話も「全部書いていいよ」というお許しを得ておりますので、ほぼノーカットでお届けします。その為、かなりの文章量になりますので、この企画は2回に分けて掲載します。

 前編は「ブギウギバンド加入〜加入後のエピソード〜ツアー秘話」を中心に、後編は「海外レコーディングこぼれ話〜脱退の真相〜その後の活動」という内容になります。ごゆっくりお楽しみ下さい。

☆インタビュー開始

 4/2(日)の午後6時。取材道具一式を抱えて「太陽」に入ると、そこには「服装は派手だが、穏やかな笑顔の紳士」がおりました。

中学生時代にブギウギバンドのファンであった私にとっては、“憧れの人”ともいえる存在の方です。やや緊張してしまったのは仕方が無いとして、とりあえずインタビュー開始。

パパ「今日は宜しくお願いします。まずは、役得としてサインなどお願いできますでしょうか?」(と、“サクセス”のレコードジャケットを差出す)
KT「まさしく役得だ(爆笑)
鈴木「いいですよ。よろこんで。お、懐かしいな〜。でも偉いね、俺は持ってないもん、コレ」(と言いつつジャケットにサラサラっとサイン)
パパ「バンドに加入されたのは、この頃ですか?」
鈴木「あのね、ジャケットに入ったのは“涙のシークレットラブ”からだけど、あれは前のドラムの相原誠が叩いてるから、俺は叩いてないんだよね。」
パパ「そうだったんですか。録り直したんじゃないんですね。」
鈴木「そう。レコーディングは“沖縄ベイブルース”からだね。次が“サクセス”かな?で、やめたのが“身も心も”の時だから。」
パパ「あ、“身も心も”までなんですか?」
鈴木「でも、シングルの順番でどこからどこまでやったとかは覚えてない(笑) LPは、“ああブルース”を2枚やって、“身も心も”まで。インターネットで、なんとかわかんないの?」
パパ「それが、ダウンタウンブギウギバンドに関しては、あまり関連サイトがないんです。」
鈴木「そっか〜。(しばし沈黙。必死で思い出すが…) もうわかりません(笑)」
パパ「“欲望の街”とかは?」
鈴木「あれは俺がやめてからだね。」
パパ「そうですか。じゃ“乾いた花”なんかは?」
鈴木「LPのは俺が叩いてるんだよね。だけど、あれは1回焼きなおしで…、宇崎さんが誰かにあげたんだよね。」
パパ「え〜っと、香坂みゆきですね。」
鈴木「そうそう。それには俺は関連してない。」
パパ「ブギウギバンドは、歴代4人ドラマーがいましたが、メンバーが代わるたびに100曲もレパートリーを覚えさせるのが忍びないって事で、宇崎さんが一時過去のレパートリーをやらないって決めてましたよね。」
鈴木「そう。ファイティングブギウギバンドになっちゃったから。でも、俺も入ったときは苦労しましたよ
例えば『港のヨーコヨコハマヨコスカ』とかやるときに、『タ、タン、タン、タン、タ、タン』ってブレイクして、『アンタ、あの子のなんなのさ?』ってセリフのあとに、『トン』とドラムが入って歌になるんだけど、これが割り切れないっていうか、拍数が合わないんだよね。で、『なんで、わざわざ一拍余分にしてるんだろう』って考えてたんだけど、実は宇崎さんのセリフのタイミングに合わせてるだけなんだね。」
パパ「あ、あれはそうだったんですか?」
鈴木「そう。それに気が付くのに2〜3ヶ月くらいかかって(笑)『あ、コレは単にセリフのタイミングなんだ』って。 でも、ダウンタウンをコピーしてたバンドなんかは、わざわざ変拍子にしてると思ってたらしくて、そのままコピーしたりして。ファンの人はいまだに気づいてないかもしれない。」
パパ「難しく考えちゃうんですね」
鈴木「そう、あとあれもそう。『一番星ブルース』ね。『一番星そ〜らから〜』って一拍おいて、トトトンって入るんだよね。あれも、歌いまわしに合わせてるの。」
パパ「一番星ブルースは、ライヴでもやってたんですか?」
鈴木「やってたよ。宇崎さんが歌って。」

◎ウンチクその1
・ブギウギバンドメンバー−鈴木氏在籍時のメンバーは、宇崎竜童(ヴォーカル、ギター)、和田静男(ギター)、新井武士(ベース、ヴォーカル)、千野秀一(キーボード)で、合計5人。
・涙のシークレットラブ−美しいラブバラードで、初期のLP「ブギウギどん底ハウス」に収録されていた。「ドラムがいなくてレコーディングできないのに、新曲は発売しなければならない」という苦しい事情からシングルカットされたのであろうが、これは名曲で私も当時好きだった。
・相原誠−初代ドラマー。あの“キャロル”にも在籍。懐かしのヒット曲を、当時のビデオで紹介するTV番組などで、映像に出てくるのは大体この人。鈴木氏とは対照的で、地味でオーソドックスなドラミングの人であったが、客席の女性ファンからの声援には思わず横を向いてしまうシャイな一面も。
・港のヨーコヨコハマヨコスカ−おなじみの大ヒット曲。「アンタ、あの子のなんなのさ?」は当時流行語にもなった。元は普通の歌にする予定が、作詞の阿木さんが「1番目と2番目がうまく合わない」と悩んでいたところ、宇崎氏が「それなら、全部セリフにしてみれば?」と言ってこういう曲になったのは有名なエピソード。数々のアンサーソングも生まれ、関西バージョン「アンタあの子のなんだんねん?」は、笑福亭鶴光が歌っていた。
・一番星ブルース−菅原文太と愛川欽也主演の人気映画シリーズ「トラック野郎」の主題歌。このイントロのギターを聞くだけで、胸を熱くするファンも多い。映画の主題歌は、菅原&愛川コンビによる物で、私はそちらしかレコードになってないのかと思ってたが、ダウンタウンブギウギバンドとしても宇崎氏のボーカルでレコーディングされている。映画のバージョンの方がギターソロは圧巻。
・乾いた花−多分、鈴木氏が勘違いしてると思うが、これは香坂みゆきだけじゃなくて、ダウンタウンブギウギバンドでもシングル化されている。ただし、ジャケットの写真は、鈴木氏ではなく後任の坂庭氏がいるため、おそらく鈴木氏が脱退してからシングルカットされたものであろう。丁度「シークレットラブ」のパターン。
 

☆騙されてスカウトされた?

パパ 「で、ブギウギバンド以前の活動について伺いたいんですが、その当時の雑誌記事によると、以前は森本太郎とスーパースターにも在籍してたとか。それは、正しいんでしょうか?」
鈴木 「そうなんだけど、元々やってたバンドがあって、そこにスーパースターから“ドラムとギターの2人欲しい”って話があって。だけど、二人いっぺんに抜けるとバンドが困っちゃうから、最初にギターの奴だけ行ったんだよね。で、ドラムは代わりの奴を紹介して。」
パパ「じゃ、その時は行かずに…」
鈴木「それで、しばらくして銀座NOWを見てたら『森本太郎とスーパースターの望郷の旅がヒットの兆し』とか出てて…。それ見てたら『あ〜本当はあそこのドラムに座ってるのは俺だったかもしれないのに。またチャンス逃したなぁ』って思って。で、その後一時バンドやめてた事あんの。何回もチャンス逃すから、『もう音楽やめた!』って、知り合いの会社で普通のサラリーマンを3ヶ月くらいいやってて。それが、なんだかスーパースターの方がヤバくなってきたら、俺の代わりに入ったドラムが辞めちゃって。で『紹介したのはお前なんだから、今度はお前が来てくれ』って電話が来て、またドラムやり始めたんだけど、その後1ヶ月くらいで解散しちゃって(笑)」
パパ「実質1ヶ月ですか(笑)」
鈴木「それで、その森本太郎とスーパースターの残党でバンドをやってたんだけど…アロンアルファってのを。」
パパ「それはレコードデビューもしてたんですか?」
鈴木「いや、まだまだ。それが、東京駅の近くのライヴハウスで演奏してたら、いろいろなツテで『またビクターからレコード出そうか?』って話にまでなってたんだけど…。で、その頃に、ある日のライブで、客席の最前列に宇崎さんとベースの新井さんとピアノの千野がいるんだよ。で、『あれダウンタウンのメンバーじゃねえか?』って言ってたら、休憩時間に『次のステージに一緒にやろうよ』って言うわけ。で、そのときスモーキン・ブギとか3曲くらいやったのかな? で、演奏後にマネージャーが来て『実はお願いがあるんですけど』って言うわけ。で、最初ウソつくのよ。ダウンタウンのジュニアバンドを作ると。それでそのドラムに来てくれないか?ってね。で、こっちも折角レコード会社が決まるか決まんないかってところだから、『そんな話だったら行かないですから』ってことわったわけよ。だけど、また翌日来たんだよ。『しつこい人だなぁ〜』と思ったら、その時は『仕事が終わったら赤坂の事務所に来てくれ』って地図渡されて。」
パパ「で、行ったんですか?」
鈴木「うん、なんだろうと思って。それで事務所に行ったら、スケジュール表が凄く魅力的なワケよ。『CX、歌番組』だとかライヴツアーとかって(笑)。で、『仕事してるな〜』と思って。こっちは恵まれないバンドマンなのに(笑) で、そのとき初めて話聞いて。『実は昨日は嘘ついてました。本当はダウンタウンブギウギバンドのドラムに来て欲しい』って」
パパ「はぁ〜そうだったんですか。」
鈴木「だけど、即答はしなかったのよ。バンドの連中にも相談してみるから、返事は1日待って下さいって。で、帰ってバンドの連中に相談したら、みんな『お前行っちゃえよ』って。『俺達の仲間から一人でもメジャーな奴が出れば嬉しいし、これから音楽やってく上で、そこから繋がりもできるだろうし』って言って、送別会までやってもらって。」
パパ「そうですか、いい友達をお持ちですね」
鈴木「だけど、そのとき渋谷のスタジオで一回テストがあって」
パパ「それはもちろん1発合格で?」
鈴木「いや、合格じゃないのよ。ま、これはオフレコなんだけど…。8ビート、16ビート、ラテン系とか一通りやって。で、ピアノの千野が『まぁこんなもんでいいんじゃない?』だって。で、こっちは『こんなもん? ふざけんな?』ってね(笑)」
パパ「ふざけてますね(笑)」
鈴木「で、それで入ったんだけど、俺の他に3人くらいテストやってたんだって。それは、あとで聞いたんだけど。」
パパ「はぁ〜そうだったんですか?」
鈴木「で、そのときもギターの和田がいなくて。なんでかと思ったら、和田が最初のドラムと一番仲が良かったから。内緒でメンバー探ししてたみたいね。で、俺も入ってから一番仲良くなったのが和田なんだよね。メンバーで酒飲めるのが俺と和田くらいだから。」

◎ウンチクその2
・森本太郎とスーパースター−元タイガース(野球ではない)のギタリスト森本太郎が結成したバンド。ドラマ必殺シリーズ第三弾「助け人走る」の主題歌「望郷の旅」がヒット。
・銀座NOW−当時の人気TV番組。ただし、私は当時石川県に住んでいたので、見たかったが一度も見た事はない。関東近辺でしか放送されていないのかもしれない。が、その辺も詳しく分からない。ただ、当時の若者の情報源となっていた事は確か。
・千野秀一−「裏切り者の旅」の頃に正式加入。レコーディングには初期から参加し、「スモーキンブギ」や「港のヨーコ」などのピアノも彼の演奏。加入当初はミッシェルポルナレフばりの衣装で登場し、加入後は主にバンドのアレンジを担当。解散後は、坂田明、小川美潮らとWAHAHAを結成。その後も映画音楽等で活躍。ダウンタウンの他のメンバーとは明らかに色が違う(と私は思う)。ただ、この人と長谷川きよしが並んで立つと、私は区別がつかない。
・和田静男−昭和50年代前半には、お茶の間で最も親しまれたギタリストであると同時に、日本を代表するブルースギタリスト。ダウンタウンのヒット曲の間奏でも非常に秀逸なプレーが多い。特に「裏切り者の旅」「身も心も」のギターソロは、若い人にも是非聞いて欲しい。ハッキリ言って「裏切り者…」は、ギターソロがよくてヒットした曲だと思う。
バンドには初期から参加しているので、オリジナルメンバーと思われがちだが、実は2代目のギタリストらしい。ただし、一般に知られている曲はすべてこの人の演奏。また、『カッコマンブギ』の意味不明のセリフはこの人。当時の音楽雑誌によると「名前通りの物静かな男」と言われていたが、今回のインタビューで実態が暴露される事に…。
・当時の音楽雑誌の記事によると、某所でのライヴで鈴木氏を見かけた宇崎氏の「面白いじゃん?」の一言で加入が決まったと書いてあったが、実際はそんな簡単なものじゃないというのが判明。探す方も、スカウトされた方も、いろいろ事情があって結構苦労してるのである。

☆ブギウギバンド流タダ酒の飲み方

パパ「宇崎さんはお酒飲まないんですか?」
鈴木「宇崎さんは全然。新井さんは飲むけど、俺達みたいな飲み方しないから…。で、千野も飲むんだけど、そもそも楽しい雰囲気にならないから(笑)」
パパ「それは、なんとなくわかります(笑)」
鈴木「で、コンサートツアーのときも、ブギウギバンドは主催者側の打ち上げを断っちゃうの。事務所が。だから一回も行った事無い。」
パパ「え、そうなんですか?」
鈴木「そう。マネージャーが『うちのバンドは、みんな飲めませんから』って言って。ほとんど飲まないのは宇崎さんくらいなんだけど。」
パパ「それは、どうしてでしょうか?」
鈴木「まぁ、付き合っていろいろしがらみができるのが嫌だったんじゃない?」
パパ「そうすると、皆さんステージ終わってから何してるんですか?」
鈴木「たまに、みんなで食事くらい行く事はあっても、街に飲みに出かけるって言うと、俺と和田だけなんだよね。ほかの人達はまっすぐホテルに戻ってるんじゃない? 部屋で何してるかは別に知らないけど。で、最初のうちは自分の金で飲みに行くんだけど、毎晩だとすぐ金無くなっちゃうじゃない? で、和田と二人で相談して、なんかいい方法ないかな?って。」
パパ「で、どうしたんですか?」
鈴木「『そうだ、いい手がある!』って考え付いたんだけど…。俺は普段サングラスかけてるから、俺が先頭で店に入ってくと目立たないんだよね。だから、和田が適当な店を選んで、ドアを開けて店内をじっくり見回してから、『あれ〜、いないな〜。おっかしいなぁ〜』って出てくるの。そうすると、大体店の人が『あっ!ダウンタウンブギウギバンドの和田静男だ!』って追いかけてきて『どうしたんですか?』って言うから、『いや〜マネージャーと待ち合わせしたんだけど、来てないみたいだから…』って言って。そうすると必ず『折角だからウチで飲んでって下さいよ』って言われるんだよね。それで、『マネージャーに財布預けてるから』って言うと、構わないからって言われてね。それで飲んでくの(笑)」
パパ「いかにもミュージシャンらしいですね(笑)」
鈴木「それも、いつも朝まで(一同爆笑)」
パパ「その話は書いちゃっていいんですか?」
鈴木「ええ、いいですよ。ついでにここでお礼も言っときます。『皆さん!お世話になりました!』」
パパ「それで潰れちゃった店とかありませんかね?(笑)」
鈴木「あるかもしんない(笑) でもね〜恵まれないバンドマンでしたから(笑) でも、一回北海道で閉め出されちゃった事あって。」
パパ「は?」
鈴木「帰ったらホテルの入口が閉まってるの。6時まで開かなくて。それが冬だったから『さみぃ〜、死んじゃうよ〜』って(笑)」
パパ「でも、それで凍死してたらワイドショーですごいニュースになってたでしょうね(笑)」
鈴木「『ブギウギバンドのメンバーが朝まで飲んでて、ホテルの前で凍死』って(一同爆笑)』」

◎ウンチクその3 
・まさか、これが原因で潰れた店はないと思うが、タダ飲みされた店の方でもサインとか写真を飾って「コンサートのあるときは、ブギウギバンドのメンバーが必ず寄ってくれるんだ」とか「俺が声かけると、ブギウギバンドのメンバーが来てくれるよ」とか言って、宣伝に使ってたはず。もし、今でも和田氏や鈴木氏のサインを飾ってある店を見かけたら、それはきっと“被害にあった店”です。

☆鈴木風ドラミングの秘密

パパ「鈴木さんが入ったときでも、それ以前のレパートリーは前のドラムの相原さんがやってたのと同じに叩かなければならなかったんですか?」
鈴木「ま、最初はそうやってたけどね。でも、やっぱり雰囲気違うでしょ。で、そのうち好きにやるようになった。例えば『裏切り者の旅』のサビに行く前は、相原さんはタカタカタカタカってやってたんだけど、それを4分音符から始めて3連とその倍って叩いたら、他のメンバーみんな『え、なんだ?』って振り向いて(笑) テレビの収録だったのに(笑)」
パパ「鈴木さんのドラミングのスタイルは独特ですが、あれはブギウギバンド以前からやってたんですか?」
鈴木「昔はよくいろんなバンドで怒られました。」
パパ「え、怒られた?」
鈴木「ほらドラムってのは、小節ごとにオカズの入る所が大体決まってるんだけど、俺は関係無いところで、歌が盛り上がると一緒に盛り上げちゃうから。ま、それで歌が自分を盛り上げてくれて、それで自分が盛りあがって、必然的にオーバーアクションみたいになるけど、わざとやってるわけじゃないんだよね。でも、なんだろう…自分でも自然にやってるんでわかんないんですけどね。」
パパ「それはレコーディングでもやってたんですか?」
鈴木「ええ、この『サクセス』あるでしょ。このレコーディングの間奏で盛り上がっちゃって、俺が『イヤ〜!』とか唸りながら叩いちゃった(笑) だから、間奏だけやり直したの。一人で。一番難しいね。でも、今でもボリュームをでか〜くして聞くとわかるらしいよ」
KT「へぇ〜本当ですか?」
鈴木「そう、完全には消えてないらしくて。でも、おかしいよね。アメリカとかだったら全然OKじゃん、そんなの。日本の場合ダメなんだよ。」
KT「ところでパパさん。ちょっと鈴木さんのドラム見てみますか?」
パパ「え、いいですか?」
鈴木「ええ、いいですよ。」

ということで、鈴木氏の模範演奏開始。ほんの1分程度のドラムソロであったが、凄くスネアのロールが細かくて、音だけ聞いてるとテープを早回ししてるんじゃないかと思うほど。KT氏は一言で「凄く切れる」と表現していたが、確かにビシバシと切れのいい音。鈴木氏はこの時、レギュラーグリップでスティックを握っており、ロックのイメージが強い人ではあるが、実際はジャズがベースにあるとの事。





鈴木「16歳でバンドボーイ始めたんだけど、肋膜炎で半年でリタイヤして…。で復帰して20歳くらいからかな?4年くらいコンボバンドやってたんだよね。」
KT「あ、それでだ〜。そのスティックさばきは。」
鈴木「ま、俺はベンチャーズから入ったんだけど、それは正解だと思うよ。メル・テイラーのドラムってみんなバカにするけど、あの人のは深いよ。ジャズがベースにあるから。あの人のドラムはコピーすると勉強になるよ。俺もエド山口と“東京ベンチャーズ”を1年くらいやってたけど、何十年ぶりにベンチャーズコピーしてみて…、アクセントの付け方なんかがいろいろ違うんだよね。」
パパ「はぁ〜そうなんですか?」
鈴木「俺の場合、コンボバンドにいたのはすごいプラスになってると思うんだよね。」
KT「絶対そうでしょう。」
鈴木「だからこの“サクセス”なんかも、アフロキューバンなの。まぁ普通のアフロキューバンを、ちょっとロックっぽく変えてるんだけどね。折角だから、ドラム講座でもやりますか(笑)」
パパ「ホームページで通信教育するといいかもしれないですね(笑)」

◎ウンチクその4
・サクセス−某化粧品会社のコマーシャルソングとして当時ヒットした。
また、カップリングの「愛しのティナ」も有名(私の妻も知ってた位だから…)。間奏の叫び声については、各自じっくりチェックしてみて下さい。ただし、「変な声が聞こえる」と言って、「アンビリーバボー」などに投書しない事。ただ、この鈴木氏の叩き方(唸り方ではない)のおかげで、後任の坂庭氏はステージでこの曲を演奏する際に、かなり苦労したらしい。

☆次回の内容
 さて、話はますます盛りあがって、次回は海外レコーディングこぼれ話から、ブギウギバンド脱退の真相、その後の音楽活動に関する話を掲載。現在太陽本館にて公開中です。
なお、ギターの和田氏も太陽本館を見たようですが、「事実と違う!」というクレームは来てないので、すべて実話と思われます(笑)。

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第2話 〜スペクトラム編〜
(平成12年3月公開)

今回はディープなスペクトラムファンに囲まれる事に恐れをなしたケンケンがお休み。
私のお相手をしてくれたのは、サックスプレーヤーにしてブラスロックにやたらと詳しいBARIさんと、「音楽のある毎日」でお馴染みのKUMAさん。「単にミーハーなファン」というKUMAさんが、マニアである我々二人に囲まれる事となりました。

この日外はしんしんと雪が降ってましたが、3人で熱いトークバトルを行いました。では、ご用とお急ぎでない方はとくとご覧あれ。

☆スペクトラムとは?

 知らない人は既にここまで読んでないかもしれませんが、一応紹介します。
 スペクトラムは、歌って踊れるトランペッターの新田一郎氏をリーダーとする8人組で、昭和54年にデビュー。

 トランペットはもちろん、ギターやベースもグルグル回す“前衛5人組”の大胆なステージアクションと、超絶テク、ド派手なコスチューム、アグネスチャンのような(?)ファルセットボーカルで、一世を風靡。
が、才能あふれるメンバー達は、結局一つの枠に収まってはおらず、わずか2年で解散。
しかし、当時からの熱狂的なファンはもちろん、再発されたCDによって新たなファンも獲得。その存在は伝説とさえなっている。
 

☆トークバトル開始

ハイパパ「では、『構成に工夫が無い』という意見は承知の上で、まずファーストアルバムから順に曲を聞きながら語って行きたいと思います。」
BARI「ほんっとうに工夫がないですね(笑)」
KUMA「まったくだ(笑)」   
 

☆ファーストアルバム「スペクトラム」

・アクトショーを聴きながら

BARI「これって、MIXが凄いですよね。やってる音楽と全然別物って感じで…」
ハイパパ「ん〜やっぱり海外録音だと音が違うんでしょうか。」
BARI「でも、このころ海外でもこんなのないでしょう」
ハイパパ「なんなんでしょうね。海外録音だと、もっと低音がガツ〜ンと来るって印象があるんですが。」
BARI「特にこのハットの音が反則って言うか(笑) こんなにカシャカシャ鳴ってるのはなかったですよね。当時のクロスオーバーのグループとも違うし。」
ハイパパ「でも、アクトショーはライブの方がいいですよね」
BARI「…いや、俺はレコードの方が好きなんですよ」
ハイパパ「あ、そうですか」
BARI「裏切りまくり(笑)」
ハイパパ「ま、そうでないと話が盛り上がらないかも(笑) でもね〜当時はこの曲にどう反応していいかわからなかった」
KUMA「俺は今でもわからないよ」
 

・ファーストウエイブを聴きながら

ハイパパ「僕は結構これ好きなんですよ。」
BARI「俺も好きだな〜」
ハイパパ「こういう曲をもっと前面に出したら、フュージョン系の硬派なファンも増えたんじゃないかと」
BARI「これはライブで見た方がいいですよね。直樹さんがベース弾きながら唄ってるのがミソなんで。」
KUMA「俺はまず2ndを聞いて、次に1stを聞いたんで結構違和感ありました」
ハイパパ「確かに音が違うんですよね。でも、リアルタイムで聞いた時は僕も1stはあまり好きじゃなかったんですが、今は結構好きです。特にクエスチョン…あたりのBassのノリは結構いいと思いますよ。」
BARI「あ〜そうですか」

ハイパパ「ただね〜このアルバムはメンバーの写真が出てないんで、どういう方向性のグループが見えなかったんですよね。」
BARI「それはそうですね。」
ハイパパ「それに、雑誌で衣装を見た友人が『鎧かぶとを着てる』って言ってたんで、西洋の物じゃなくて、日本の鎧かぶとだと思ってた(笑)」
BARI「久月の武者人形じゃないんだから(笑)」
ハイパパ「それと、僕はこのアルバムからインザスペースまで、歌詞の世界が好きになれないんですよ。なんだかよくわからない。はまってるのは、ロックンロールサーカスくらいで」
BARI「あ〜そうかも。でも普通の日本語にしちゃうと、初めから4枚目(セカンドナビゲイション)の世界になるかも」
ハイパパ「なるほど。ま、最初からあれだとつまんなかったかもしれないですね」
BARI「そうでしょう」
ハイパパ「やっと意見合いましたね(笑)」
BARI「そうですね。」  
 

☆セカンドアルバム「オプティカル・サンライズ」

ハイパパ「さて、2枚目は何からかけたらいいんでしょう?」
BARI「やっぱりモーションでしょう」

・モーションを聴きながら

BARI「この曲だけで1stと印象が違いますね。出だしはもろにソウルバンドのLPのオープニングみたいで。このイントロのバックで鳴ってるのはバルブトロンボーンかな?」
ハイパパ「これを初めて聞いた時、この出だしのピャ〜って音で、ソファーの下で寝てたネコがびっくして飛び出して行った(笑)」
KUMA「でもね、昔聞いた時は凄い音だと思ってたけど、最近あらためて聞くとそんなでも無いような気が…」
ハイパパ「ん〜シビアな意見(笑)」
KUMA「でも俺は入りかたがミーハーだったもの。何しろTVで見てからだったから。特にBCリッチで引き付けれられて」
ハイパパ「さすがギターマニア(笑)」
KUMA「それにギターも回ってたし」
ハイパパ「イスのキャスター着けてね(笑)」

・F・L・Yを聴きながら

BARI「これ凄いよな〜。この出だしのブラス」
ハイパパ「凄いですよね。もうなんとも言えない」
KUMA「だけどね、俺はミーチャンGoingToTheHoikuenの広告をレコード屋で見て、『小学生向けなのか?』ってガックリ来た記憶あるよ」
ハイパパ「そうですね〜。結構難しいイメージとその方面のイメージで悩んだファンもいたかも」
BARI「あとは、スタンハンセンでお馴染みの曲もあるから、プロレスから来たファンもいますよね」

☆人気投票によるベスト曲紹介

ハイパパ「ところで、この辺でちょっと休憩。スペクトラムファンのホームページとしては、情報量がおそらく日本一のStudio未来来によるスペクトラムベスト曲人気投票のデータを紹介します。今でも投票は続いてるんですが、現在の順位は以下の通りです。」

   1.イン・ザ・スペース
   2.正調もんぎり節
   3.トマトイッパツ
   4.サンライズ
   5.アクトショー
   6.F・L・Y
   7.パッシングドリーム
   8.やすらぎ
   9.あがき
   10.ミーチャンGoingToTheHoikuen

ハイパパ「この1位は、イン・ザ・スペースしか知らない人が結構投票してるからじゃ無いでしょうか?」
KUMA「ああ、そうかも。俺もそれ一番好きだもん」
ハイパパ「BARIさんの1位はなんですか?」
BARI「俺ですか?パッシングドリームなんすよ」
ハイパパ「おや、意外。実は直樹ファンなんだ。」
BARI「2位はI Love PTAだけど。」
ハイパパ「ま、それはそれとして…」
BARI「そうやってサラっと流す〜!」
ハイパパ「私の1位は、しいて言えば侍ズなんだけど…入ってない」
BARI「モーションも入ってないですよ! ま、このランキングでは結構直樹ファンが強いようだから(笑)」
ハイパパ「いわゆる組織票か?(笑) では、またアルバムの話題に戻ります」
 

☆サードアルバム「タイムブレイク」

ハイパパ「このアルバムはどれから聞けばいいんでしょう?BARIさん」
BARI「う〜ん、難しい所ですね。難しいアルバムなんで」
ハイパパ「じゃ、まずは「夜明け」から。B面は好きな曲多いんだけど、いらない曲もあるんで(笑)。四季とか…」
BARI「あ、言っちゃってる(笑) たしかに新田演歌はちょっとね。」
ハイパパ「『すべて懺悔だけ』も好きですね。こういう曲をもっとやって欲しかったな」
KUMA「俺はもっとハードにやって欲しいな」
ハイパパ「でもね〜、セカンドを出した時のインタビューで新田さんが『これからのスペクトラムは中学生にもできる音楽をやらないと』なんて言ってたのに…。次に出たのがこのアルバムで(笑)」
BARI「大嘘つきですね(笑)」
ハイパパ「ま、レコード会社とのしがらみかも…」
BARI「でも、このアルバムを聞くたびに、『やすらぎ』のシングルバージョンを、是非CDで聞いてみたいと思う」
ハイパパ「さすが直樹ファン」
BARI「あとね、普通のホーンセクションの場合、トランペットとトロンボーンってのは結構音程差をつけるんだけど、スペクトラムはトランペットとトロンボーンがみんな上を吹いてるんですよ。だから、トロンボーンはかなりきついんじゃないかと思いますね。」
ハイパパ「ほぉ〜吉田さんは流し目の魅力だけじゃなくて、いい仕事してるんですね」
 
 

☆ホーンスペクトラムを聞いてみる

ハイパパ「では、折角なので『サーキットの狼』も聞きましょうか」
BARI「KUMAさん、聞いた事あります?」
KUMA「あるわけないじゃない(笑)」
ハイパパ「この、出だしでガン!と来ると見せて、すぐフリューゲルホーンでモワっとさせるのが、2枚腰と言うかなんというか」
BARI「なんだそりゃ(笑)」
ハイパパ「でも、このパーカッシブなフレーズは『スケバン刑事』にも通じますよね」
BARI「この頃から、既に雛形ができてたんだ」
ハイパパ「すごいですね。早すぎた才能というか…」
BARI「変わらぬ芸風かも(笑)」
ハイパパ「でもね〜、このボーカルがなんとも言えない(笑)」
BARI「俺の友達は、これを聞いて『和田アキ子かと思ったって(笑)」
 

☆スペクトラムにコピーバンドがいた?

BARI「これ俺の友達のバンドの写真なんだけど」
KUMA「一緒じゃん。よくここまでそっくりに(笑)」
BARI「馬鹿でしょう〜(笑)」
ハイパパ「あ〜、これが噂の(笑) この鎧とかヘルメットどうやって作ったんですか? もしかして紙製?」
BARI「いや、なんかレザーとか買ってきて作ったみたい」
KUMA「いまならもっといい素材あると思うけど」
ハイパパ「これなんて言うバンド名ですか?」
BARI「これはムートセプスっていう」
ハイパパ「それ絶対覚えられない(笑) これはスペクトラムと同時期?」
BARI「いや、ついおととしくらい(笑)」
ハイパパ「大馬鹿者ですね。ステージは見たことあるんですか?」
BARI「いや、ないんですよ。この中の二人と昔バンドやってたんだけど、今はこの人達横浜にいるんで」
ハイパパ「へぇ〜見てみたいなぁ」
(なお、画像はリクエストが多ければ公開します)

☆4枚目「セカンドナビゲイション」

ハイパパ「で、いよいよ4枚目ですが。これは何をかければいいんでしょう?」
BARI「やっぱり、『NIGHT NIGHT KNIGHT』でしょう」
ハイパパ「お、やっぱり直樹ファンだ」
BARI「あ、やっぱりパラダイスにしよう。もしかして、俺はこれが一番好きかもしれない」
ハイパパ「僕は、これを奥さんのソロアルバムで聞いて、いい曲だな〜と思ったんですが」
BARI「ま、このアレンジは結構マッタリしてますもんね。」
KUMA「俺はこのアルバム知らないんだけど、これは全体的にどんな感じなの?」
ハイパパ「それを聞かれるのが一番困る」
BARI「そうっすね。もうバラバラ(笑)」
ハイパパ「でもね、結構好きな曲多いんですよ。西さん、直樹さん。新田さんのも。」
BARI「最初からこれだと違うバンドになってたでしょうね」
ハイパパ「そうですけど、この世界でもう2枚位LP出してくれてたら良かったと、僕は思いますね」
 

☆意外な元ネタが判明

BARI「あと今日は折角なんで『アノカオ、アノカオ』の元ネタを持ってきたんですけど」
ハイパパ「あ、それ知らない」
BARI「クール&ザ・ギャングの弟分にあたるバンドなんですが…。ここ聞いて下さい」
ハイパパ「あら〜、日本語か英語かの違いだけで、声は一緒(笑)」
BARI「KUMAさん聞いた事は?」
KUMA「いや、なんの事だかさっぱりわからない」

☆しゃべり疲れて…

ハイパパ「あと、LPは2枚ほどあるんですが、人間の集中力にも限界があるんで、今日はこのへんで。
KUMAさんどうでした?」
KUMA「俺は今までは『インザスペース』が一番好きだと思ってたけど、こうやって聞くと「F・L・Y」の方がかっこいいですね。」
ハイパパ「既に洗脳されつつありますね(笑)」
KUMA「そりゃぁ2時間も聞かされてれば…」
ハイパパ「で、BARIさ…、ちょっとそっちで女口説いてないで!(笑)」
BARI「あ、すいません(笑)」
ハイパパ「今日はこれで終わりなんで、次回はB、C級ブラスロックの特集でもしましょうか?」
BARI「それなら、俺腐るほどレコード持ってますよ(笑)」
ハイパパ「どしぇ〜、またマニアックな世界にどっぷり浸ってしまう(笑)」

(平成12年3月24日 太陽にて)
<後日談>

 今回は、ちゃんと会話の内容をMDに録音して、それを文章にしたのですが結構大変でした。まぁ聞いてる分には面白いのですが。それと、これを公開する際に、スペクトラムファンのサイトや@niftyの掲示板で宣伝させていただいたのですが、おかげさまで結構アクセスが増えました。
 ちなみにカウンターは、公開前 205 → 終了時 365 でした。ムフフ、スペクトラムファンの絆は強いのじゃ。
 また、いかく〜ちょさんや、とうしろうさんには感想までいただいて感謝の限りです。「これまで全然知らなかったけど、スペクトラムはやっぱり人気がある」というのをKT氏も認識したようでしたので、いつかこの続編を“新田一郎編”でやりたいのですが…。
 

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第1話 〜 ブラジル音楽編〜
 (平成12年2月公開)








 ここは、太陽のライブでおなじみのダイナマイトベーシスト“ケンケン”と、いつもカウンターで薄笑いを浮かべながらバーボンをチビチビやってる“ハイファイパパ”こと私が様々な音楽に関して、ウンチクを傾けつつあれこれ語るコーナーです。なづけて「怪しい音楽夜話」とでもしましょうか?

 ケンケン氏は、いつからかブラジル音楽に傾倒してるようですが、私もブラジル音楽といえばちょっとだけコダワリがあります。なおかつ、今夜はケンケン氏の相方でこれまたブラジル好きの“ルイス・ボンチ氏”も同席しておりました。(彼は、かのルイス・ボンファを目指しているがちょっと違うような気が…) そこで、今回の肴は当然ブラジル系! それも比較的ポップな「ミルトンバナナトリオ・コパカバーナの誘惑」とします。以下その会話。

ハイパパ「これは、アナログのレコードから録音したんだけど…」
ケンケン「あ〜、あの1980年頃に出てたトロピカルなジャケットの奴ね」
ハイパパ「そうそう。ジャケットも結構気に入ってるけど、今日は持ってきてない」
ケンケン「ボンチさん、60年代のミルトンバナナとはかなり印象が違うからね。」
ハイパパ「そうっすね。ちょっと解説すると、ミルトンバナナは有名な“ゲッツ〜ジルベルト”にも参加した白人のドラマーですが、これは1980年頃に自分のトリオで既成のサンバ曲を取り上げてます。このシリーズは何枚か発売されてますが、当時そこそこヒットしたようです。内容はほとんど2曲ずつのメドレーで、それぞれ有名な曲らしいけど、わたしゃこれを聞くまでどの曲も知らなかった。」
ケンケン「彼のドラムは凄いんでしょう?」
ハイパパ「いや〜、それが凄いんだかなんだかわからないんだけど(笑)」


(これがそのジャケット)

☆1曲目 モサ〜エウ・ナシア・10ミル・アノス・アトラス

 モサは、日本でもよく知られている(らしい)ワンドの曲。
 深い意味のありそうなオープニングで、これだけを聞くとバリバリのサンバのレコードとは誰も思わないでしょう。曲の最後の方のコーラスが印象的。

ハイパパ「これはどっちかというとボサノバっぽいんだけど」
ケンケン「ああ、そうっすね」
ボンチ 「あ、このコーラスはシャカタクっぽい」
ハイパパ「実は私はシャカタク聞いたときに“ミルトンバナナみたい”って思った。でも、周りでは誰も知らなかった…」
ケンケン「でも、このピアノはシャカタクより10倍うまいよ」
ハイパパ「ん〜、ただこれはシャカタクが流行る2年くらい前のレコードだと思います。」
 

☆2曲目 コント・アテ・デズ〜ボーラ・プラ・フレンチ

 FTVのテレポートのオープニングでも使われている曲。毎日夕方5時になると、この曲がTVから流れます。
 このLPを象徴する曲と言えばこれでしょう。「コント・アテ・デズ」は、ルイス・アイランの曲だそうですが…。
ハイパパ「これはさっきと雰囲気は違うんですが」
ケンケン「おお、もろにサンバになった」
ハイパパ「結構踊りたくなったでしょう」
 

☆4曲目 あなたとどこまでも〜あなたが望むなら

 私は高校時代に、斉藤洋美さんのラジオでこの曲を聞いて、このLPを買ったという思い出の曲。
なお「あなたが望むなら」は、あの山口百恵の「あ〜なた〜が望むなら〜、わたし〜アレを〜されてもいいわ〜」という歌の原曲であるというのは大嘘です。
ハイパパ「私はこれが一番好きなんすよ」
ケンケン「で、なんて曲?」
ハイパパ「元題はティ・シグラっていうんだけど、意味はサッパリ(笑)」
ボンチ 「ポルトガル語ですもんね。」
ケンケン「でも、こんな風にドラム叩ける人って他にいないよね」
ハイパパ「あ、そんなにすごい?」
ケンケン「…(そんなもんもわからんか?と呆れる)」
ハイパパ「ただ、このマイナーに変わってからが、あんまり好きでないです」
ケンケン「いやこっちの方がいいと思う(笑) なんか、『行け〜っ!』って感じで」
 

☆A面が終わって

ケンケン「いや〜いいですね〜。レコード探してみようかな?」
ハイパパ「今のはCDも出てるらしいけど、輸入版の方が探しやすいかな?」
ケンケン「こういうの聞いてたら、ブラジルの音楽やりたくなったね〜」
ボンチ 「実は一昨日ガットギター買ったんですよ。新星堂で。練習中です。」
ハイパパ「へぇ〜どんな曲やるんですか?」
ボンチ 「ええ、いろいろ。ワンノートサンバとか?」
ハイパパ「ワンノートサンバねぇ。Keyは何でやってるんですか?」
ボンチ 「Keyはですねぇ…、わかんないんですよ(笑)」
ハイパパ「(ズテッとずっこける)あ、わかんないの?」
ボンチ 「ええ、細かいことは気にしないんですよ」
ハイパパ「あ、そなの?」

ケンケン「今ねぇ、ボンチさんと二人でやるんですよ、ブラジルを」
ハイパパ「へぇ〜曲は何をやるんですか?」
ケンケン「ええ、ボサノバのスタンダードを!」
ハイパパ「で、具体的には?」
ケンケン「ええ、ボサノバのスタンダードを(笑)」
ハイパパ「あくまでも、それですか(笑) でも、なんか一緒にやらせてよ」
ケンケン「そうですね。是非やりましょう」
ハイパパ「だけど、3人でギター持って並んでも…かしまし娘みたい(笑)」
ケンケン「ん〜そうか?」
ハイパパ「ボンチさん、なんか他に楽器できないんですか? ピアノとか」
ボンチ 「いや〜できないですね」
ハイパパ「じゃ〜サックスとか?」
ボンチ 「サックスもできないです」
ハイパパ「じゃサックスより簡単な…SEXとか?」
ボンチ 「それは大好きです!」

ハイパパ「あ、やっぱり(笑) ところで、ブラジルでお奨めなのはどのへんですか?」
ボンチ 「やっぱりセルジオメンデスですね。」
ハイパパ「あれはたくさんでてますが、どの辺のがいいんですか?」
ボンチ 「ブラジル65とか66とかがかっこいいですよ。」
ケンケン「そうですね。新しいのよりその辺が渋いです。」
ハイパパ「じゃ、私もブラジル音楽初心者としてその辺から聴いてみます」
ケンケン「じゃ我々はそろそろ帰りますか」
ハイパパ「あ、どうもお疲れ様でした。」

そろそろ日が変わろうとする頃に、怪しい二人組は夜の町に消えていきました。ではでは、私もそろそろ帰るとしますか。

<平成11年9月 太陽にて>
<後日談>

 このときA面しか聞かなかったのは、会社の後輩にレコードの録音を頼んだところ、手違いでB面を録音し忘れたため(笑) 
 現在は我が家でもレコードプレーヤーを買ったので、MDに録音して車でガンガン聞いてます。ところで、その後のボンチさんとの会話。

ハイパパ「ところで、結局セルメン65を買いました。結構ボーカルが雰囲気があっていいですね。好きですよ、ああいうのは。丁度好きなファベイラとかサマーサンバとか入ってたし」
ボンチ 「そうですか。僕は小野リサの『ボッサ・カリオカ』を買いました。いいですよね。」
ハイパパ「あれはいいですよね。私も持ってます。小野リサさんは、初期の『ナナン』とか『ミニーナ』とかも好きですけど…」
ボンチ 「僕は、どちらかというとスタンダードしか興味が無いので、小野さんのオリジナルって言うのはピンとこないんです。」
ハイパパ「あ、そうですか?」
ボンチ 「でも『ボッサ・カリオカ』はジャケットがいいですね」
ハイパパ「あ、そうですね。色合いもいいし」
ボンチ 「いや、この小野さんの二の腕がいい!」
ハイパパ「???」
ボンチ 「これだけ太ければ、揉めば胸の代わりになる。」
ハイパパ「あんたとはやっとれんわ!」

という事で、結局ブラジル音楽バンドは結成されず(笑)、ボンチさんにも2000年になってからは一度もお会いしてません。さては、ブラジルに密航したか?

ケンケンにはクララ・ヌネスのライブについてレクチャーを受けたが、その話はまた後日。って本当はよく覚えてない(笑) すまぬ>ケンケン

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