智の館
王徳用


司馬徽
兵法に多言は無用


登場人物紹介

王徳用
根っからの武人。
容貌魁偉にして色黒。『黒王相公』と呼ばれ、その名は契丹に恐れられた。

仁宗
四代目皇帝。
宋がもっとも繁栄した時の皇帝。
しかし、後半は西夏の離反や財政赤字の増大などの諸問題が噴出した。

李元昊
宋から離反し西夏を独立させる。
少数ながらも精強な兵によって宋軍を苦しめた。




司馬徽
独立した西夏軍に宋軍は押されっぱなしであった。

仁宗
みなの知恵を結集し、この国難を乗り越えたい。
なにかよい戦略があったら言ってきてくれ。
ここは、守りを固めて西夏軍の疲弊を待つのが上策でしょう。
大臣

仁宗
なるほど!
早速、前線に伝えよう。
これ、軍使行って参れ。
ははっ!
軍使
軍使は皇帝の指示を前線に伝えた。
守りを固めて西夏軍の疲弊を待つ事が陛下の御意でございます。
軍使

兵士
ははっ。
(なにを当たり前のことを・・・・そもそも、こう負けてばかりでは守るので手一杯だ)
次の日のこと・・・・
陛下。
昨日は守りを固めるように指示を出されたとか・・・それはまずいですぞ。

大臣

仁宗
なんじゃと?
どこがまずいのじゃ?
守りばかり固めていては、士気が衰えます。
かつて魏の武帝が合肥の張遼に孫権が攻め寄せた場合の対策を指示した故事をご存知ですか?

大臣

仁宗
おう、知っておるぞ。
なるほど、一戦して相手の出鼻をくじくのだな。
よくわかった。
これ、軍使!早速前線に伝えよ!
ははっ。
軍使
軍使は皇帝の指示を前線に伝えた。
少数の兵で奇襲をかけて西夏軍の出鼻をくじくのが陛下の御意でございます。
軍使

兵士
はあ・・・・
(現場の苦労を知らない陛下は気楽だな。そんなにうまくいくわけないではないか)
その次の日のこと。
前日、陛下は奇襲を指示されたとか・・・。それはまずいですな。
大臣

仁宗
なんじゃと?
どこがまずいのじゃ?
そもそも奇襲などという奇策が通じる相手ではございません。ここは守りを固めて、援軍を送るがよろしいでしょう。
大臣

仁宗
なるほど!
早速、前線に伝えよう。
これ、軍使行って参れ。
ははっ
軍使
そんな様子を見ながら王徳用は笑って言った。

王徳用
なにをすったもんだやっておるのだ。
兵法は難しいものではない。
将が兵士たちに畏敬の念を抱かせること。
臆病な兵士たちを勇気づかせ、勇敢な兵士たちが驕慢にならないように手綱を引き締める。

そして、勝つ算段をして敵と戦う。

それだけのことだ。現場から離れている我々が多言をする必要はない。




司馬徽
実情を知らない者たちが方針をころころと変えることは前線の兵士たちの士気を一気に落としてしまう。
王徳用が言いたいのはそういうことじゃな。
うむ。
これは今の時代にも当てはまるぞ。
リーダーたるもの現場を知らぬようでは正しい戦略を定めることは出来ないぞ。
わしも高貴な身分になったとしても前線で兵士と共にありたいものじゃ。

飛覇帥

司馬徽
よいぞ、よいぞ