智の館
杜衍4


司馬徽
門下生への訓戒


登場人物紹介

杜衍
行政に素晴らしい手腕を発揮し、宰相に就任した。范仲淹らの若手を積極的に登用し体制改革を推進した。
しかし、改革路線に恐慌をきたした反対派によって讒言され、わずか七〇日間で宰相を罷免されてしまった。




司馬徽
杜衍の門下生の一人が県知事に任命された。

杜衍
官途に就いたからには何よりも清廉、慎重な態度を心がけよ。
はい。

門下生

杜衍
君の才能からすれば県知事程度では楽にこなせるだろう。しかし、才能をひけらかさず、目立つような言動は厳に慎むことだ。
周りの者と同じように振る舞い、無用な摩擦は出来るだけ避けよ。
そうしなければいたずらに災いを招くだけだぞ。
先生はかねてからご自分の信念に忠実であることをもって天下にその名が轟いております。
しかし、今、おっしゃったことはそれとはまったく逆ではありませんか。

門下生

杜衍
私が今の地位に就いたのは数多くの職務をこなし、陛下や重臣に認められたからだ。
ところが、君の場合はまだ県知事に就任したばかり。今後の昇進は上司のサジ加減一つにかかっている。
一つ上の州長官の地位はそう簡単には手に入らない。
上司に認められなければ一生、県知事どまりとなり、自分の信念を政治に反映させるなどできないぞ。
あまりカドが立つ行動ばかりしては無用な災いを招くことになる。だから、凡人のように振る舞えと言ったのだ。
そうなのでしょうか?
門下生

杜衍
ああ。
上司が人を見抜く能力に優れているとは限らないからな。




司馬徽
杜衍はわずか七十日で宰相を罷免されておる。上司が優れているとは限らないと言っているのはその苦い経験から出たのかのう。
うむ。
上司は人を見る目を磨き、部下は職場の和を乱さぬように能力を発揮する。
そんな組織は一つの理想であるな。
しかし、多少、癖がある部下を使いこなせないようでは天下は掴めぬぞ。

飛覇帥

司馬徽
よいぞ、よいぞ