
司馬徽 |
貞観十一年。劉キが上表文を奉って申し上げた。 |
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私が聞くところによりますと、『尚書の担当する政務はまことに政治の根本である』と言います。
もしも、尚書がその職に適合しなければそれは位を盗むものであるとして非難が起こります。
慎んで観察してみますと、尚書省では詔勅の処理が滞り、文書が停滞しております。
私は平凡で愚かな者ではございますが、その根源について述べさせていただきたいと思います。 |
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太宗 |
うむ。 |
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貞観の初年には尚書省には令僕の職はございませんでした。その時の省の事務が繁雑であったことは今の倍以上でした。しかし、左丞の戴冑と右丞の魏徴は共に官吏としての道についてよく通じており、しかも性質が公平正直でありましたから、官吏の罪状の弾劾すべきものについては遠慮するところがありませんでした。陛下は恩情をお与えになりましたから、自然に人々は整粛となりました。
官吏たちが政務を怠らなかったのはこういう理由によるものであります。また、魏徴の後を継いだ杜正倫も部下たちを督励しました。 |
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太宗 |
ふむ。 |
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この頃、国家の法度がうまく働かなくなってしまったのは、勲功があった者と天子の親族が高い地位にあり、その才能がその任務にふさわしくなく、ただ、権勢を振るうだけであるためであります。それゆえ、官僚たちは公正の道に従わず、たとえ、道を正そうとしても高い地位にある者の轟々たる非難を恐れます。
それゆえに郎中の任免は命を受けるだけ、尚書はぐずぐずして決断を下す事が出来ません。あるいは天子への上奏を妨害しわざと期日を引き伸ばしております。
詔勅の文案は極めつくしているのにさらに究明を加えています。
去る事に期限はなく、来るのに遅くとも責める事がありません。一度、その手にかかれば何年も経過します。あるいは、天子の意を迎えて実情を見失い、あるいは疑いを避けて道理を押さえてしまいます。
役人は文案が出来上がる事でそれでことが終わると考えてその内容の是非を究明しません。
尚書はごきげんを取る事が奉公と考えてその是非を論じることなくお互いに一時逃がれをしています。 |
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太宗 |
ふむ。 |
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官というものは天の仕事を人が変わって行うものでありますから、才能のないものにやたらに官位を加えてはなりません。
皇室の外戚や国家に大功労があった人についてはその礼儀、録を優遇すべきであります。ある者は高齢でおいぼれとなり、ある者は病気が重なり愚かとなっている者はもはや当代に何の益もございません。このような者は退任して余生を静かに暮らさせるべきであります。こういう人たちが要所に居座って、長く賢者の昇進を阻むことはことのほかよろしくない事でございます。 |
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太宗 |
ふむ。どうすべきだとそなたは思っておるのだ。 |
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この弊害を救済しようと思いましたならば尚書の左右丞、左右郎中を精選すべきであります。もし、共に良き人を得たならば自然と国家は振起します。また、出世競争を矯正する事も出来ます。なにも停滞をやめるだけではございません。 |
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太宗 |
ふむ。そなたの意見、よく判った。考えておこう。 |
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その後、間もなく、太宗は劉キを尚書右丞に任命した。 |
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