智の館2
論択官 第3章


司馬徽
今の時代の人材を推挙せよ


登場人物紹介

太宗
唐の2代目皇帝。
2代目といってもぼんぼんではない。父の代わりとして中国各地を転戦し唐の中国統一の最大の功労者。
兄と弟が自分を殺害しようとしていたことを知ると先手を打ってこれを討ち、父親を幽閉して皇帝の座につく。
長い中国の歴史の中でも屈指の名君として必ずその名は挙げられ、その治世は『貞観の治』と呼ばれ後世の手本とされた。

封徳彝
(ほうとくい)はじめは隋に仕えていたが、その後、宇文化及と共に唐に降った。
太宗が即位すると尚書右僕射となったが、貞観元年に死去。
常識的な考えを述べることが多かった。
旧唐書の太宗本紀と封徳彝伝では貞観元年に死去となっているが貞観政要では七年ぐらいまで登場していたりする。謎な人物。




司馬徽
貞観二年。太宗は封徳彝に言った。

太宗
平和な国家を作り出す根本は立派な人材を得る事である。
このごろ、そなたに賢才を推挙するように命じたのに、一人も推薦してこない。
天下を治めるという事は重大な任務である。そなたは私の心労を分担すべきである。そなたが賢才を発見してくれない事には私は誰を頼りにしたらよいのだ。
私は愚か者ではございますが、なにも私の精魂を尽くさないわけではございません。ただ、今日の世を見てみますと格別の衆に抜きん出た特異な才能のある者が見当たらないのでございます。
封徳彝

太宗
前の世の名君たちは臣下を使うのにそれぞれの器量に応じて使った。才能のある人物を別の時代から借りてきたものではなく、すべてその時代の人材を採用したのである。
また、殷の高宗が傳説を夢に見て工事現場から発見したり、周の文王が太公望に出会うというような奇跡を起こるのを待ってから政治を始めたわけではない。
いつの時代でも賢才がいないということがありうるだろうか。賢才がいるにもかかわらず、それを取り残して知らないという事を一番心配するのだ。
御意。
封徳彝
封徳彝は自分の怠慢が恥ずかしくなり顔を赤く染めて退出した。




司馬徽
以前にも同じような話があったが(政体14章)今の世の逸材を得るために努力しなければならないのじゃ。そして、人には長所短所があるのだから適材適所に配置する事。それが君主の務めといえるじゃろうな。
うむ。
わしもそのように心がけなければいかんな。

飛覇帥

司馬徽
よいぞ、よいぞ

鏡秋雪
げっ。もう復活してるよ。
くっくっく。
主人公は死なないのが世の常というものじゃ。

飛覇帥

鏡秋雪
そうですね。主人公は最終回に死ぬものですからね。ふふふ。
次回、衝撃の最終回!
飛覇帥の死!
お楽しみにっ!
こら。勝手に終わらせるな。
貞観政要はまだまだ続くぞ。

飛覇帥

鏡秋雪
ご安心を。次の主役は私ですから。

琵琶侍
べぇぇーん、べべぇぇーん
(琵琶の音色)
(さりげなく自分もいる事をアピールしているらしい)






原文
第三章
貞観二年、上、尚書右僕射封徳彝に謂ひて曰く、安きを致すの本は、惟だ人を得るに在り。比来、卿をして賢を挙げしむるに、未だ嘗て推薦する所有らず。天下の事は重し、卿、宜しく朕が憂労を分つべし。卿既に言はずんば、朕将た安くにか寄せん、と。対へて曰く、臣愚豈に敢て情を尽くさざらんや。但だ今の見る所、未だ奇才異能有らず、と。上曰く、前代の明王、人を使ふこと器の如くす。才を異代に借らずして、皆、士を当時に取る。豈に伝説を夢み、呂尚に逢ふを待ちて、然る後に、政を為さんや。何の代か賢無からん。但々遺して知らざるを患ふるのみ、と。徳彝慙赧して退く。