智の館2
納諌 第1章


司馬徽
悪を悪とし取り除く


登場人物紹介

太宗
唐の2代目皇帝。
2代目といってもぼんぼんではない。父の代わりとして中国各地を転戦し唐の中国統一の最大の功労者。
兄と弟が自分を殺害しようとしていたことを知ると先手を打ってこれを討ち、父親を幽閉して皇帝の座につく。
長い中国の歴史の中でも屈指の名君として必ずその名は挙げられ、その治世は『貞観の治』と呼ばれ後世の手本とされた。

王珪
太宗の兄、建成に仕えて非常に重用された。
太宗暗殺を建成に勧めた罪で流罪になるが、その後、実直さを認められ魏徴と共に諌議大夫に任じられた。
太宗配下の優秀な人材の中で、「悪を憎み善を好むという点で誰よりも一日の長がある」と自らを評するほど正義感あふれる人物だった。
唐の太祖の曾孫。
盧江王として封じられていたが、右領軍将軍と共に反乱を起こしたが失敗し、殺害された。
顔グラフィックを作るのが面倒なのでせめて文字だけでも大きくした。




司馬徽
貞観初年。太宗と王珪はくつろいで語っていた時のこと。太宗のそばに美人がはべっていた。
彼女は盧江王の愛姫だった。
ほう。なかなかの美女でございますな。
王珪

太宗
うむ。この娘は盧江王の側室だった者だ。
盧江王は無道な人物で、この者の夫を殺して自分の妻としたのだ。実に暴虐の極みである。そのような事をしていた盧江王は滅んで当然だな。
その言葉を聞いた王珪は自分の席を立ち退き、太宗の前で一礼をした。
陛下は、盧江王が他人の妻を奪い取ったのを是とお考えなのですか?それとも非であるとお考えなのですか?
王珪

太宗
世に人を殺してその妻を奪い取るという、これ以上の非道な行為はあるだろうか?
悪いことに決まっているではないか。
どうして、そなたは私に事の是非を問うのだ?
どういうわけだ?
管子という書物に斉の桓公が滅亡した郭国の跡に行き、その土地の長老と語り合った話がございます。
王珪
王珪は語り始めた。

桓公
郭はどういうわけで滅んだのか?
郭の君は、善を善とし、悪を悪としたからであります。
長老

桓公
むむ。
あなたの言葉のようであるなら、それは賢者である。どうして滅びることになるのじゃ?
そうではございません。
郭君は、善を善としましたが、その善を用いる事ができず、悪を悪としましたが、その悪を除き去ることができなかったのです。
それが滅亡した理由でございます。

長老
王珪は語り終わった。
今、このご夫人が陛下のお側にはべっています。
私は失礼ながら陛下の御心が盧江王の行為を是認しておられるのではなかろうかと思いました。
ですから、あのようにお尋ねしたのです。

王珪

太宗
むむむ。
陛下がもし、盧江王の行為を非とされるのであれば、これこそ、悪を悪と知って除き去ることが出来なかった郭君と変わりがないではございませんか。
王珪
その言葉を聞いて、太宗は非常に喜んだ。

太宗
王珪よ。そなたの言葉は至極もっともである。
この娘はすぐに親族のもとへ送り返すようにしよう。




司馬徽
自分は正しいと思っていても、周りから見ると正しくないと言うことがよくある。
特にこのような人の欲情に絡む問題は他人の行為は悪だとすぐ判るが、自分の行為は正しいと勘違いしてしまう。
それを指摘した王珪もさることながら、それを受け入れた太宗も見事じゃな。
うむ。人の振り見て我が振り直せと言うが、やはり他人からの指摘がなければ気づかないこともあるのう。
飛覇帥

司馬徽
よいぞ、よいぞ
でも、美人は欲しい・・・・
飛覇帥

飛覇麗
ばきっ、ぼきっ(指を鳴らしている・・・)
たりゃーーー。
ぐはっ。
いつの間に!

飛覇帥

鏡秋雪
くっくっく。
奥さんがいると大変ですねえ。
たりゃーー!
鏡那穂

鏡秋雪
はうっ!

飛覇麗
三国志Xリプレイ。第2話鋭意製作中!
鏡那穂

鏡秋雪
いや、もう、投げ出しているし・・・・
飛覇帥

飛覇麗
斬首っ(怒)!
鏡那穂

鏡秋雪
ぐえっ!
飛覇帥

鏡秋雪
はう!
なんだ、この顔は!

飛覇帥






原文
第一章
貞観の初、太宗、黄門侍郎王珪と宴語す。時に美人有りて側に侍す。本、盧江王エンの姫なり。エン敗れ、籍没して宮に入る。太宗、指して珪に示して曰く、盧江、不道にして、其の夫を賊殺して、其の室を納る。暴虐の甚だしき、何ぞ亡びざる者有らんや、と。珪、席を避けて対へて曰く、陛下、盧江の之を取るを以て是と為すや、非と為すや、と。太宗曰く、安んぞ人を殺して其の妻を取ること有らんや。卿、乃ち朕に是非を問ふは、何ぞや、と。
対へて曰く、臣聞く、管子曰く、斉の桓公、郭国に之き、其の父老に問ひて曰く、郭は何の故に亡びたるか、と。父老曰く、其の善を善とし、悪を悪としたるを以てなり、と。桓公曰く、子の言の若くんば、乃ち賢君なり。何ぞ亡ぶるに至らんや、と。父老曰く、然らず。郭君は善を善とすれども用ふること能はず。悪を悪とすれども、去ること能はず。亡びし所以なり、と。今、此の婦人、尚ほ左右に在り。臣、竊に聖心、之を是と為すと以へり。陛下、若し以て非と為さば、此れ所謂、悪を知れども去らざるなり、と。太宗、大いに悦び、称して至言となり、遽に美人をして其の親族に還さしむ。