智の館2
求諌 第5章


司馬徽
多くの諌言を受けるためには


登場人物紹介

太宗
唐の2代目皇帝。
2代目といってもぼんぼんではない。父の代わりとして中国各地を転戦し唐の中国統一の最大の功労者。
兄と弟が自分を殺害しようとしていたことを知ると先手を打ってこれを討ち、父親を幽閉して皇帝の座につく。
長い中国の歴史の中でも屈指の名君として必ずその名は挙げられ、その治世は『貞観の治』と呼ばれ後世の手本とされた。




司馬徽
貞観八年。太宗は大臣たちに言った。

太宗
私は用事がなく静かに座っているたびごとに心の内で反省している。
私の行いは天の意志にかなっているだろうか。私の行いは人民に怨まれるようなことはしていないだろうか。と。
人の正しい諌めによって外界の事情をよく知り、人民たちが無実の罪を晴らすことが出来ずに苦しんでいる者がないように願っている。
御意。
大臣

太宗
このごろ、私のところに来て事務の奏上をする者を見ると、多くの者はひどく私を恐れるあまり、どぎまぎして言葉を間違ってしまっている。
事務のような普通の上奏でさえこのようであるのだから、強く諌めようとする時には天子の怒りを非常に恐れるに違いない。
それゆえ、諌める者があるごとに自分の意見とはまったく違っているものでも私はあえて逆らわず聞くようにしている。もし、自分と意見が違うからと言って怒って責めたならば人は恐れおののき、諌言してくれる者がいなくなってしまうであろう。
御意。
大臣




司馬徽
常に自分の行動を反省するという太宗の姿勢は素晴らしいのう。名君というものはこうして自らを律していくものなのじゃ。
そして、君主として自分の意見とは違っていても、とりあえず相手の意見は全て聞く。そういう姿勢が必要じゃということじゃな。
確かにその通りじゃ。
飛覇帥

司馬徽
よいぞ、よいぞ

鏡秋雪
では、私の意見を何も言わずに聞いてください。
その前にわしの意見も聞くのじゃ。
飛覇帥

鏡秋雪
そんな事言ってぇ。あなたは君主なんでしょ?
そういうお前は諌言大臣であろう。
前回の第4章のようにおとなしく聞くのじゃ。

飛覇帥

鏡秋雪
・・・・・・・・・・
飛覇帥
両雄、睨みあって動けず。(笑)






原文
第五章
貞観八年、上、侍臣に謂ひて曰く、朕、閑居静坐する毎に、則ち自ら内に省み、恒に、上、天心に称はず、下、百姓の怨む所と為らんことを恐れ、但だ人の匡諌せんことを思ひ、耳目をして外通し、下の冤滞無からしめんことを欲す。又、比、人の来りて事を奏する者を見るに、多く怖慴する有りて、言語、次第を失ふを致す。尋常の事を奏するすら、情猶ほ此の如し。況んや諌諍せんと欲するは、、必ず当に逆鱗を犯すを畏るるなるべし。所以に諌者有る毎に、縦ひ朕の心に合はざるも、朕亦、以て忤ふと為さず。若し即ち嗔り責めば、深く人の戦懼を懐かんことを恐る。豈に肯て更に言はん、や。