智の館2
求諌 第1章


司馬徽
常に諌言を求める


登場人物紹介

太宗
唐の2代目皇帝。
2代目といってもぼんぼんではない。父の代わりとして中国各地を転戦し唐の中国統一の最大の功労者。
兄と弟が自分を殺害しようとしていたことを知ると先手を打ってこれを討ち、父親を幽閉して皇帝の座につく。
長い中国の歴史の中でも屈指の名君として必ずその名は挙げられ、その治世は『貞観の治』と呼ばれ後世の手本とされた。




司馬徽
太宗は威厳がある容姿であったため、部下たちは発言しようとしても緊張してしまっていた。

太宗
何か意見があるのか?
えー。そのー。申し訳ございません。
出直してまいります。

官僚
そんな部下たちを見て太宗は考えた。

太宗
これではいかん。もっと、意見が言いやすいように私が努力せねば。
まずは笑顔が大事だな。
(ニコニコ)
(笑顔の練習)
太宗は部下たちが上奏する時には必ず顔色を和らげて部下たちの諌めを聞き、政治に役立てようとした。
貞観の初年。太宗は家臣たちに言った。

太宗
人は自分の姿を照らそうとすれば、必ず鏡を用いなければならない。君主は自分の過失を知ろうとすれば、必ず忠臣の諌めによらなければならない。
もし、君主が自分自身を聖賢であると思い込んで、自分の考えだけを頼りにすれば、臣下は君主の過失を諌めないようになってしまう。これでは、国家が危機に陥らないようにと希望しても出来ることではない。
御意。
大臣

太宗
亡国の臣下も自分の家の安全だけを保つということは出来ない。
隋の煬帝のような暴虐な天子の場合においては、臣下は堅く口を閉じて何も言わなかった。そのため、最後までその過失を聞かせることなく、国は滅んでしまった。そして、煬帝に重用された虞世基らも、君主を諌めずひたすら迎合していたために殺されてしまった。
前の王朝である隋の出来事は遠い昔の話ではない。
そなたたちは社会の人民に不利なことがあったならば必ず遠慮せずに思ったことを充分に言い尽くして私の過失を正しく諌めなければならない。
よろしくたのむぞ。
御意。
大臣




司馬徽
太宗はこのように広く意見を求めるために努力したのじゃ。
確かに、無用に部下たちを萎縮させては意見を言ってくれなくなるな。わしも部下から意見を言いやすい君主になりたいものじゃ。
飛覇帥

司馬徽
よいぞ、よいぞ

鏡秋雪
飛覇帥さんの場合はもっと威厳をつけたほうがいいですね。
むむむ!
飛覇帥

鏡秋雪
所詮、ハゲですからねえ・・・・。
カツラにします?
貴様〜!
飛覇帥

鏡秋雪
飛覇帥さん。笑顔が大事!
おう、そうであった。
ニコニコ

飛覇帥

鏡秋雪
やっぱり馬鹿だ、このオヤジ。
斬首っ!
(それでもニコニコ)

飛覇帥

鏡秋雪
笑顔で斬首って、ある意味、怖いかも。
ぬう。逃げ足が速いのう。
(それでもニコニコ)

飛覇帥






原文
第一章
太宗、威容厳粛にして、百寮の進見する者、皆、其の挙措を失ふ。太宗、其の此の若くなるを知り、人の事を奏するを見る毎に必ず顔色を仮借し、諌諍を聞き、政教の得失を知らんことを冀ふ。貞観の初、嘗て公卿に謂ひて曰く、人、自ら照らさんと欲すれば、必ず明鏡を須ふ。主、過を知らんと欲すれば、必ず忠臣に藉る。若し主自ら賢聖を恃まば、臣は匡正せず。危敗せざらんと欲するも、豈に得可けんや。故に君は其の国を失ひ、臣も亦独り其の家を全くすること能はず。隋の煬帝の暴虐なるが如きに至りては、臣下、口を鉗し、卒に其の過を聞かざらしめ、遂に滅亡に至る。虞世基等、尋いで亦誅せられて死す。前事、遠からず。公等、事を看る毎に、人に利ならざる有らば、必ず須く極言規諌すべし、と。