
司馬徽 |
貞観五年。常何はふさぎこんでいた。 |
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常何 |
はあああ。 |
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どうされたのです? |

馬周 |
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たまたま、長安に旅行に来て常何の家に宿泊していた馬周は尋ねた。 |
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常何 |
お客人。実は陛下が百官から広く意見を求めると仰せで、提案書を書かねばならないのです。 |
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ほう。
部下に広く意見を求めていらっしゃるとはさすがは名君ですな。 |

馬周 |

常何 |
さよう。
確かに名君であらせられるのですが、私のような戦う事しか能のない男にも政治に関する提案書を書けと言われても・・・・。
悩ましい限りです。 |
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私は多少、文学の心得があります。
私が提案書の内容を言いますから、常何様が書いてください。 |

馬周 |

常何 |
本当ですか?
助かります。 |
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常何は馬周が話した通りに提案書を書き上げて、太宗に提出した。 |
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太宗は百官から提出された提案書の一つ一つに目を通していた。
そこで、目に留まったのが常何の提案書であった。 |
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太宗 |
見事な内容だ。しかし・・・。
誰か、常何を連れて来てくれ。 |
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突然のお召し。
何事でしょうか? |

常何 |

太宗 |
この、提案書のことじゃ。
とても素晴らしい出来栄えじゃ。 |
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恐れ入ります。 |

常何 |

太宗 |
しかし、これはそなたが書いたものではあるまい? |
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ははっ。
申し訳ございません!
仰せの通り、これは、私の家に泊めている馬周の言葉をそのまま書き写したものでございます。
お許しください。 |

常何 |

太宗 |
咎めているのではない。
これほどの優れた意見を持っている人物はそうはいない。
その馬周殿に会ってみたい。すぐに連れて来てくれるな。 |
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はい!直ちに! |

常何 |
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常何は家に戻った。 |
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常何 |
馬周殿! |
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今日はずいぶんと早かったですね。
どうされたのです? |

馬周 |

常何 |
陛下がお召しです。
私と共に来て下さい。 |
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え?
陛下が?まさか。 |

馬周 |

常何 |
提案書をお読みになって、ぜひ、馬周殿に会いたいと仰っているのです。 |
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しかし、私は旅の途中でお目どおりにかなうような服を持ち合わせておりませぬ。 |

馬周 |

常何 |
服なら、私のものを使ってください。 |
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では、お借りします。 |

馬周 |
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常何殿。
陛下がお待ちかねですぞ。
早くつれてまいれと、仰っておりました。 |

使者1 |

常何 |
おいおい。まだ、帰ってきてから一刻も経っていないぞ。いくらなんでもそりゃないだろう。 |
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まあ、確かにそうなのですが・・・・。 |

使者1 |
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常何殿。
陛下がお待ちかねですぞ。 |

使者2 |

常何 |
え? |
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常何殿。
陛下がお待ちかねですぞ。 |

使者3 |

常何 |
・・・・・。 |
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常何殿。
陛下がお待ちかねですぞ。 |

使者4 |

常何 |
こんなに短い間に四人も催促の使者が来るとは。 |
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陛下は人材には目がないですからなあ。 |

使者1 |
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馬周はこうして、太宗に目通りした。 |
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馬周でございます。 |

馬周 |

太宗 |
うむ。待ちわびたぞ。
早速じゃが、この提案書についてじゃが・・・・ |
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太宗は馬周と語り合い、人物や才能が優れていることをとても喜んだ。 |
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太宗 |
馬周殿。
ぜひ、私のもとで働いてくれないだろうか? |
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はい。
身に余る光栄でございます。 |

馬周 |
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太宗は馬周を門下省に詰めさせ、詔勅の作成にあたらせた。 |
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馬周はその場に応じた巧みな弁舌があり、意見を述べることがうまかった。また、物事の根本を見抜いているため、その言動はあたらないことはなかった。
貞観十八年。中書令と太子右庶子を兼ねた。処置が公平適切で当時の人から非常によい評判を得た。そして、さらに吏部尚書も兼ねるようになった。
ある時、太宗は家臣たちに言った。 |
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太宗 |
馬周は物事を処理するのが敏速で、性格は節操堅く行いが正しく、人物の優劣を評論する場合には道義を守って直言し、その多くが我が意にかなっている。
今の政治が安らかなのは馬周の力のおかげである。 |
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