
司馬徽 |
虞世南は太宗に見出され、昇進して秘書監になった。
太宗は暇があれば虞世南を呼び出し談論し、共に経書や史書を学んだ。
虞世南は体つきが弱々しく着物の重さにも耐えかねるようであったが心ばえは剛直で屈せず、談論が過去の帝王の得失に及ぶごとに、遠まわしに正しい戒めをして、太宗のために役立つことが多かった。
太宗は侍臣に語った。 |
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太宗 |
私は暇があれば虞世南と古今の政治を語り合っている。その時、私に一言でも善があれば虞世南は喜ばないことはなかった。また、一言でも間違いがあれば残念がらないことはなかった。
最近、こういうことがあった。 |
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太宗はその時のことを語り始めた。
太宗は戯れに一つの詩を作った。 |
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太宗 |
(うむ。少しばかり軽薄で派手な表現じゃが、こんなものであろう) |
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陛下。
陛下のこの御作品は巧みではございますけれども、その体が雅正でございません。
上が好むものは下は必ずまねをするものでございます。この文が一度行われますと、恐らく世間はなびき従うことになるでしょう。そのため、軽薄な風俗になることは国を治める上で利益にはなりません。
今後、このような詩を作り続けなさいますなら、命をかけてお願いし、詔をお受けいたしません。 |

虞世南 |

太宗 |
うむ。私が誤っていた。
よく、言ってくれた。 |
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この出来事を群臣たちに語った後、太宗は全員に語りかけた。 |
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太宗 |
虞世南の言葉は誠意にあふれていた。私は虞世南を褒め称えよう。
群臣たちがみんな虞世南のようであるなら、天下はよく治まらないという心配はないであろう。 |
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太宗は虞世南に絹百五十段を贈った。 |
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太宗はある時、虞世南の優れた点を語った。 |
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太宗 |
虞世南には五つの優れたものがある。
一つ徳行、二つ忠直、三つ博学、四つ詞藻、五つ書翰である。 |
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虞世南が世を去った時、太宗は直筆の詔を下された。 |
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太宗 |
虞世南は私にとって一つの体と同じである。政治上について私が行き届かないところを補って諌め、いかなる日も忘れることはなかった。
実に当代の名臣であり、人間の手本である。
私に小さな善があればさらに立派になるように助成し、私に小さな悪があれば、嫌な顔をしてもかまわず諌めてくれた。
ところが今は亡くなってしまった。文学館の中に虞世南に匹敵する人がいなくなってしまった。
誠に痛惜の言葉がない。 |
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