
司馬徽 |
貞観十年。太宗は左右の侍臣に月令について尋ねた。
月令というのは昔から定められた毎月行う政令を十二ヵ月に配当してあるものであった。 |
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太宗 |
我らは月令にしたがって政治を行っているが、月令というものはいつから定められたものであろうか? |
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今の『礼記』に載せてある月令は秦の呂不韋から起こったものでございます。 |

魏徴 |

太宗 |
政治を行うにあたって、もっぱら月令に依った時、政令の善悪が全て月令に記されているものなのだろうか? |
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秦漢以来、聖王は月令に記されたことによるものが多くありました。しかし、すべてを月令に依る事は善い事ではございません。
月令とはいにしえの教えを設けて人に善をなすことを勧めたものでございます。
王はその行うことを皆月令に従おうとしましたが、その善悪は必ずしも月令に記されている通りではございません。 |

魏徴 |

太宗 |
月令は秦の呂不韋から起こったということは古代の聖王たちは何故月令を行わなかったのであろうか? |
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考えてみますと月令は古代の聖王たちが行っていたことを呂不韋が整理してまとめたものでございます。
ですから、月令は必ずしも秦代から始まったものではございません。 |

魏徴 |

太宗 |
私は最近、読書をしてそこで読んだ善いと思ったことは即座に実行してきた。
ところが、人を用いることについてはその人物の善悪をなかなか見分けることが出来ない。だから人を知るということは非常に難しいものだと思っている。
私は近頃、そなたたちを任用している。しかし、どういうわけで治世が漢の文帝、景帝に及ばないのだろうか? |
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陛下は政治に心を砕き、私どもに治世を委任されましたことは古代の聖王にもまさっております。ただ、私どもが愚かなために陛下のお頼みに応える事が出来ないのです。
しかし、四方の異民族の服従と天下の平穏無事ということを取り上げますと、古来、今日のような治世に似たものはございません。
ですから漢の文帝、景帝などと陛下の御聖徳を到底比較することなど出来ません。 |

魏徴 |

太宗 |
ふむ・・・ |
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昔から君主は初めて政治をなされたときは、皆、尭舜に比較されるような治世を実現したいと願っております。ところが、天下が安らかになってしまいますと、その善い心がけを続けることが出来ません。
また、臣下も始めて任用されたときは、心と力の限りを尽くそうとします。しかし、富貴になりますと、ただ地位官爵を保全しようとしてしまいます。
もし、君臣がいつまでも怠らなければ天下が安らかにならないという道理がありましょうか。 |

魏徴 |

太宗 |
そなたの言葉はまったくその通りである。
私もそなたの言葉のように政治に怠らないようにしていきたいものだな。 |
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