
司馬徽 |
貞観八年。太宗は群臣たちに語った。 |
|

太宗 |
政治を行う要点はその根本になるところを完全にすることだ。もし、中国が乱れていたら遠い異民族が服従してきたところで何の益もない。
中国が安らかに治まり四方の国境が静かに平穏になさしめたのは全てそなた達が忠誠を尽くし多くの功績を挙げたからだ。
私は本当に喜んでいる。しかし、安らかな時に危ういこ事を忘れずに恐れて用心しなければならないぞ。 |
|
|
御意。 |

大臣 |

太宗 |
隋の煬帝が帝位を継いだ時、天下は極めて隆盛であった。ところが、徳を捨ててむやみに武力を用いて国家の転覆を招いた。
突厥の頡利可汗も最近まで強大であった。しかし、慢心を起こして得意になり兵乱が起こってその地位を失い、今は私の臣下になっている。
私は尭舜禹湯のような聖天子の徳を受け継ぐことはできないが、これらの者が滅亡する有様を私自身の目で見てきたのだ。どうして恐れ慎まないで居られようか。
そなたたちは私をよく補佐をしてくれ、建国の功績をたててくれた。これからはその身を慎んでその地位を守り長生きすべきである。そして、皆が努力しなければならない。
もし、政治上でよくないことがあった時は明言すべきである。君主と臣下が心を同じくしたならばどうして治まらないことがあるだろうか。 |
|
|
陛下は良い政治を広めて天下を安らかにしました。しかしながら、たぐいまれなるめでたい世を見ながら、いよいよ危険を恐れる心をひたすら持っておられます。古来から非常なる慎みはこれ以上のものがございません。
孟子に『上の好むところは、下の者は必ずこれに従う』とあります。
陛下の立派な発言によって臣下たちを激励なされたことは、意気地のない男を節義に奮い立たせるものがございます。 |

魏徴 |