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呼吸法 ―心身のバランスを取り戻す― ('02.6.24) |

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呼吸法とは |
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ヨガ、気功、座禅、武道、伝統芸能、道教、養生論などを通して重要視されているのが、呼吸法です。「臍下丹田」(せいかたんでん。下腹部にあり、”気”の源とされる部分)で呼吸をする「丹田呼吸法」は、その到達点。”気”を取り入れ、丹田に貯め、それをはっきりと体感し、体内に巡らせるという技です。 これは、ブッダも行ったと言われる修行の手段であり、心身を高次のリラックス状態に導くだけでなく、健康で強靭にするとされてきました。 丹田呼吸法をはじめとする様々な呼吸法は、脳をリラックスさせる・ストレスによって失った自律神経のバランスを回復する・血液循環を良くする・内臓の働きを高めるなど、心身の健康を促進することが科学的にも証明されています。(「武道の心理療法的作用」のコーナー参照。) 白隠禅師(江戸中期)をはじめ、呼吸法の本は、数多くあります。丹田呼吸法の習得にはかなりの訓練が必要ですが、もっと簡単な呼吸法でも十分な効果が得られます。 すべての基本は、口からゆっくりと細く長く息を吐き切り、鼻から吸う腹式呼吸です。 |
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呼吸法の効果 |
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呼吸法の効果には、即効性があります。緊張・不安・恐怖を感じる時、心臓がドキドキした時、気が滅入ったり、無性にイライラする時、呼吸法を試してみて下さい。短時間の間に、ずいぶん緩和されるのを実感して驚かれると思います。(カラオケで気分が良くなったり、お経を唱えることで気持ちが落ち着くと言われるのも、意識せずに呼吸法に似たことをしているからではないでしょうか。) 効果は、身体にも出ます。常にどことなく不調で重苦しかった身体が、呼吸法を毎日続けていくうちに、心から健康だと感じられる快適な身体に変化していくのを実感できると思います。心身のバランスを回復すると、身体の声(身体感覚)にも敏感になり、ごく自然にバランスの取れた健康的な生活ができるようになります。身体が欲しないので、必要以上に食べたい・飲みたいと思わなくなります。夜は、熟睡できるようになり、朝は、爽やかに目が覚めます。感覚は鋭くなり、木から出る気持ちの良い「気」などを敏感に感じられるようにもなります。 |
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様々な呼吸法の紹介 |
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以下に、私が試して効果があると思った様々な呼吸法を本からの引用という形で紹介します。更に詳しく知りたい方は、本をお読みください。 呼吸法は、無理なくできるものから始めていくのが良いようです。普段、あまり運動をせず、浅い呼吸を永年していると、腹式の深呼吸一つでも大変になるようです。一番楽にできるものから始めて、徐々に段階を上げていくと良いと思います。腹式呼吸が楽にできる方は、興味の持てるものを試してみて下さい。気持ち良く呼吸できるイメージも大切です。他にも良い呼吸法が色々ありますので、随時加えていく予定です。 <注意: 呼吸法は、心臓や肺に負担がかかるそうですので、持病のある方は、気を付けて下さい。> <呼吸法を本格的に実践したい場合は、ヨガや気功などが良いそうです。ただし自己流でなく、良い先生につき、正しく行うことが大切だそうです。> |
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肥田春充の静息長呼法 |
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『1.まくらをとって仰臥す。(あおむけに寝る) 2.あごを上げて気管を楽にする。 3.自然呼吸を正しく数回やった後、4.静かに息を充分に吸い込み 5.口を細く結んで、空気を少しずつ長く長くだんだんに吐き出す。 6.吐き出し切ったら、また静かに吸い込んで、これを数回くり返す。 7.腹へも胸へもどこへも力を入れない。極めて静かに穏やかに呼吸操錬を行うのである。』 (「肥田式天真療法」。これは重い病人のための健康法の本。壮神社発行。著者は、肥田式強健術の創始者。明治生まれ。この健康法は今でも書籍・ビデオが書店で入手できる。呼吸法は他にも色々紹介しているが、これが初心者や病人でもすぐにできる基本のもの。) |
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斎藤孝の丹田呼吸法(6月24日追記) |
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『やり方は簡単だ。鼻から3秒間、深く息を吸う。つぎに2秒間、その息を出さすに保つ。それから少しづつ吐き出し、15秒間かけて吐き出す。(略)これを6回行うと2分間になる。出す時は鼻からでもよいが、口をすぼめて少しづつ出す方が簡単だ。吐く息とともに、自分のなかの嫌なものや雑念が溶かし込まれて吐き出されていくようにイメージすると、気分がすっきりしてくる。緊張する場面やパニック状況のときに(略)この呼吸法を行うと気持ちが落ち着いて集中しやすくなる。(略)吐く息を長くすることを主眼とし、意識を下腹部におくように努める。吐く息とともに全身の力が抜けていくようにイメージするのではなく、息を吐いていっても、あたかも息がまったく吐かれていないかのようにイメージするのがコツである。』 (「自然体の作り方」太郎次郎社発行。著者は、明治大学助教授。専攻は教育学と身体論。ベストセラー「声に出して読みたい日本語」の著者。この呼吸法は、実践の難しい丹田呼吸法を誰にでもできるようにしたものだという。) 追記:この呼吸法の上級編として、「3秒吸って、2秒息を止め、25秒間吐く」方法がある。糸の様に細く息を吐くと出来る。この方法は、丹田呼吸の特徴と言われる(しかし中々実感できない)「口ではなくハラ(丹田)が息をしている感じ」がとても掴みやすい。 |
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藤平光一の「藤平式気の呼吸法」 |
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『(略)正座する。両膝は拳2つ入るぐらい開き、(略)臍下の一点に心をしずめ、全身の力を抜く。目を閉じ、口を軽く開き(略)「ハー」の音を小さく出して、静かに息を吐き始める。25秒か30秒、そのままの姿勢をくずさずに吐いて、体中のすみずみの息を吐き切ったと思ったら、さらに足の爪先の息まで吐き出すように、軽く上体を前に倒して、最後の息を静かに吐き出す。(略)今度は鼻からスウーッと静かに吸い始める。足の爪先から、脚、腰、腹、胸と(略)思い浮かべ、それらに息を送り込むつもりで十分に吸い込み、体に息を充満させる。(略)20秒ぐらいかける。充満したと思ったら、上体を起こし、最後に頭部にまで息を吸い入れる。吸い終ったら、臍下の一点に心をしずめて5秒ほど待つ。その間、酸素はくまなく全身に配られる。そして、また吐き出す。これをくり返すのである。(略)一日30〜40分くらいはやってほしい。(略) 朝15分、夜15分でもいい。(略)長く続けることである。』(「気の威力」講談社文庫。著者は合気道10段。選手時代の王に一本足打法を指導。この呼吸法は元々神道のみそぎの呼吸法。特に肝臓に効くという。) |
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西野皓三・由美かおるの「西野流呼吸法」 |
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『緑の葉をいっぱいにつけた大木が、地面から水分を吸い上げていくイメージで、足の裏から細く長く息を吸い上げていく。もちろん実際は鼻から吸っているのだが、意識でそう思いながら息を吸っていくのである。(略)足から膝、腿を通って丹田(下腹)へ”気”、つまりエネルギーが昇ってくるのが感じられるはずである。(略)続いて丹田まできたエネルギーを背骨に沿ってどんどん上げていく。背骨を昇ったエネルギーはやがて百会(頭のてっぺん)に達する。ここで軽く息を止め、そのままの状態で、百会まで昇ったエネルギーを今度は、鼻筋、口、喉、胸と身体の前側の中心線を通して、丹田まで一気に下ろす。そして最後は息を吐きながら、エネルギーを足芯から大地に向けて広げていくのである。』(「西野流気の極意」講談社文庫。著者はバレエ、合気道を経て西野流呼吸法主宰。この呼吸法は、気功のような数種類の運動をしながら行う。河合隼雄氏も関心を示している。本は「”気”の発見」<祥伝社文庫>の方が分りやすい。 由美かおるは、西野氏の弟子。同じ呼吸法を「ダイエット呼吸法」と名称を変え、痩身と美肌効果を強調して本やビデオを出している。確かに効果がある。) |
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ティク・ナット・ハンの呼吸法(瞑想法) |
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『はじめての人は呼吸法を練習するとき横になるとよいでしょう。(略)枕はしません。まず吐く息に注意を向け、その長さをはかります。心の中でゆっくり数を数えてください。つぎに、吐く息を1つか2つ長くしてみます。(略)ずっと息を吐き続けるのです。こうすると肺の空気をいつもより多く押し出すことができます。息を吐き終えたら、ちょっと息をとめ、それから自然に肺が空気を吸うにまかせます。(略)疲れたなと感じたら、いったんそこでやめてください。(略)10回か20回で十分です。』(「マインドフルの奇跡」より) 『意識的呼吸法は平和に触れるための仏教の最も基本的で大切な修行です。次のようなガーター(短詩)を用いた練習を一緒に行ってみましょう。 「息を吸って 私はしずか/息を吐いて 私は微笑む このいまに生きることこそが / 私には 素晴らしい一瞬(ひととき)」 「息を吸って 私はしずか」。この一行をくちずさむと、冷たい水を飲んだときのように、清涼感が体に染みこんできます。息を吸いながらこの一行を唱えるとき、私はいつも本当にこのしずかなひと息が、私の体と心を鎮めてゆくのが実感できるのです。このように体と心をひとつにするのが、仏教の瞑想の目指すところです。 「息を吐いて 私は微笑む」。たった一度の微笑だけで、何百という顔面の筋肉が緩み、それがあなたをあなた自身の主人にしてくれます。仏像を見たら(略)いつも微笑んでいます。心を、いまここにおいて微笑んでみたら、この微笑むという行為のなかに不思議な力が秘められていることに、誰でも気づくことができます。 「このいまに生きることこそが」。(略)息を吸いながらこう唱えます。私たちはいつも充実した生活を未来に先送りしますが、いつまで先に延ばしても、そんな日は決してこないのです。いまの自分の生活を本当に生きる方法があるとすれば、それは、現在のこのときに自分を置き、自分がいまここにいるという事実に気づき、現在のこのときをおいてほかに生きるときはないということにしっかりと気づくことです。最後に息を吐きながら、「私には すばらしい一瞬」と呟いてみましょう。いまここにしっかりと根づき、現在のこの瞬間を豊かに生きることこそ、私たち人間に与えられた最も大切な仕事ではないでしょうか。』(「生けるブッダ、生けるキリスト」春秋社発行。著者はベトナム出身の禅僧・詩人・平和運動家。欧米において著名な仏教指導者。「微笑みを生きる―気づきの瞑想と実践」(原題:Peace is Every Step)等、多くの著書は、平易な言葉で仏教の本質を語り感動的。「こころに響いた言葉」のコーナー、No.48でも瞑想法の一つを紹介。「様々な宗教から こころに響いた言葉」のコーナーでも多くの著書を紹介している。) |
