セル画の知識と情報
1.セル画とは
透明なセルロイドに描かれた絵のこと。1950年以前はニトロセルロースシートが使用されたがアセチルセルロースに移行している。
現在国内では生産されていないようです。 サイズの規格は特になく、スタンダードセル(通常サイズ:268mmx228mm)・中版セル(横長サイズ)・
ビスタサイズ(劇場版:345x230)・その他(A1,縦長等変則サイズ)に大まかに区分される。
輪郭などはマシントレス(昔はもちろん手作業)などで動画をもとに転写されたカーボン線であるため時間とともにカラーペイントにより
侵食され薄くなっていく。(ペイント部ではなくてもはがれ落ちる)
1秒間12コマ撮影とすれば2時間のアニメでは約8万コマ分用のセル画が必要。
宮崎アニメでは約7〜11万枚の動画を使用することもある。最近はデジタルペイントに移行し、サザエさんを除きセル画を使用しないアニメーションになっている。
2.セル画の保存について
問い合わせが多いので、解る範囲ですが乗せてみました。
(1)保存前にすること。
@セル画が何かにくっついている場合。
・動画の場合
動画はくっついていてもセル画に対してそれほど悪さはしませんので無理にはがす必要はありません。セル画と対応する動画が
くっついているものは貴重ですからよく判断してから行ってください。はがす場合は背景を付けられるようにしたいとか貼りつきが
軽度、動画が全く価値のないものが付いている時でしょう。
剥がす環境ですが、冬は避けて下さい。アニメカラーがはく離しやすいです。20度前後で適当な湿度の時がいいと思います。
はがす方法は大きく2通りあります。1つめはゆっくりとただ剥がす方法です。密着が甘いときはこの方法でもいいですが動画が
やぶれてもいい場合に限ります。はがしている途中でトレス線や塗料が剥がれそうになったら直ちに中止して下さい。
もう1通りですが、動画の密着部分を湿らせてやわらかくしてからゆっくり剥がしてください。乾燥させて終了です。やわらかく
する液ですが、水が無難です。画材店で売っているソルベントという有機溶剤でも効果がありますが、アニメカラーの種類によっては
剥がれません。また、トレス線の密着までは剥がせませんので注意してください。
・セル画同士の密着
組セルではかなりの確率で密着しています。違う組み合わせの場合剥がしたいと思いますが諦めるのが賢明です。分離可能なところ
のみ部分的に剥がすくらいです。溶剤、水等を使用して剥がそうとするとアニメカラーが溶けて悲惨なことになります。よっぽど軽微な
接着以外は避けて下さい。 どうしてもはがしたい時はセル画を冷蔵庫で冷やして一気にはがす方法がありますがおすすめできかねます。
・背景の密着
背景は絵の具(ポスターカラー)で書かれていますのでセル画のアニメカラーに染み込み色が浮き出てきます。基本的には剥がして保存する
ことが良いです。 ただ、背景の方がセル画よりも貴重な場合は良く考えてから行ってください。方法としてはひたすらゆっくりと剥がすしか
ないようです。剥がしたあとは背景は密着部分が破れていることがありますのでいっそうの傷みを防ぐために保存袋に入れておいたほうが
いいです。セル画側は背景塗料が付いていますので水ふきにて取り除き乾燥させて終了です。
・セル画保存袋に密着
まれに保存袋に密着している場合があります。いきなりはがすとアニメカラーごと剥がれてしまうこともありますので、適温・適湿環境にて
ゆっくり分離してください。たいていは無事に剥がれると思います。
・ホチキス針にて止められているもの。
これは必ず取り除いてください。セル画がホチキス穴から切れてしまったり、サビ、凹凸の転写などいいことは何もありません。
・両面テープによる接着セル
まれに組セルの結合に見かけますが、これも剥がしておいた方がいいと思います。保存時にズレた場合汚れやすいです。
・セロハンテープによる組セル止め。
この方法は傷みが少ない点でいいと思います。ただし、動画、原画も一緒にセロハンテープ止めはいけません。ご存知の方も多いと
思いますが紙にセロハンテープの跡がついてしまいますと取れません。セル画の止めのみに採用してください。しかし、できれば
セル画一枚一枚を別々に保存し、何も貼り付けないようにしたいです。
Aセル画の汚れ
・指紋、セロテープによる汚れはまず水が染み込んでいるウェットティシュで軽く拭いてみて下さい。ただの湿らせたティッシュですと細かいキズが
付くことがありますので注意してください。 それでも取れない時はプラモデル塗料用薄め液を少量使ってふき取ってください。その際、セル画
塗料部分は絶対ふかないでください。セル画表面の色トレスにも注意してください。
斑点状の汚れは上記の方法でも取れません。石鹸類、アルコール類でも難しいです。
(2)保存作業
・準備するもの。
手袋、ビニール袋(セル画入れ)、クリアファイル、パラフィン紙・和紙。
・作業
上記(1)にて処理の終わったセル画等をできれば手袋をしてビニール袋一枚に一枚そっと入れます。セル画の表面側にパラフィン紙を
入れます。これは色トレス、ぼかしを保護するためとセル画を直接圧迫しないためです。ケバのない和紙でもいいみたいですが。
なお、これらの紙は長い間そのままにしておくと貼り付くことがありますので適時はがしてください。 次に空気を追い出して袋を閉じます。
(3)保存
・クリアファイルにビニール袋に入れたセル画等を入れます。(クリアファイルの背表紙に中味がわかるようタイトルをつけておくと便利でかつ
探すときに目的外のファイルを開くことがないので傷みにくくなります。)
・適湿・適温の暗い場所で密閉していない場所(理想ですが)に、圧迫されないようかつしならないように立てて保管してください。
・セル画は光に対して弱く、トレス線の退色・アニメカラー変色を招きます。太陽光はもとより蛍光灯にもやや弱いようです。入手したらなるべく早く
保存しましよう。 時々、常温で乾燥した時期に出して貼り付きや異臭、変成がないかチェックしましょう。
3.セル画の分類と評価(系統的に分類していません。
よく使用される名称のみとりあげました)
・オープニングセル、エンディングセル
これは当然制作枚数が少なくかつTV用では毎回繰り返して放送されるので認知度が高く高額。
・BANKセル
アニメではよく変身等特別な場面があるが、これも高額になることが多い。
また、コレクターが使用することがあるが、お気に入りのセル画という意味もある。
・劇場版
TV用セルよりサイズが一般に大きい(ビスタサイズ)。当然TV用より制作枚数が少なく高価になる。
・ENDセル
各シーンでの最終コマ用。ポーズも決まっている場合が多く人気がある。
・背景画
通常は画用紙に絵の具(ポスターカラー)です。セル画枚数に比べ非常に少なく希少。宮崎アニメの例ではでは動画の60分の1枚しかない。
最近はスキャナー等で取り込んでデジタル処理をして出力したものを使用していることもあります。また、CGを出力して使用している場合もあり。
・複製画
これはまさしく実写等に使用されたセル画の複製のことですが、複製とはいっても高価なものもあり。ああっ女神さまっ、ガンダムの良質シーンに注意。
・オコシ
オリジナルセル画のにせもの(複製画とは違います)で、本物と偽っているもの。作成は実際作画経験のある人が多いようです。
見た目では玄人でも判断できないようです。
オコシの対象は人気が高くシーン良好のもの。
真贋判断は本物がどうであったかの情報(入手ルート、組セルかどうかなど)から得るのが一番確実です。
あとは経時変化とか動画の有無、背景との
関係がすこしは参考になるようですが絶対ではありません。
個人取り引きでは十分に注意が必要(相手もオコシとわからないで扱っていることがある)。
以前テレビでオコシ作成のドキュメントをやっていた記憶があります。(ラピュタのおこし)
宮崎アニメ、高橋留美子関係、きまぐれオレンジロード、999、ガンダムなどは特に注意が必要です。
・中落ち,中割り
最近あまり聞かなくなったような気がします。
静止シーンから静止シーンまでの間のつなぎセルのこと。(原画間のつなぎ)
一般に作画がよくない(最近は作画がまあまあていねいのような)ようです。
偶数番号が該当する事が多い 。原画Noは動画に〇等で囲ってあります。
・アイキャッチセル
番組の中間位にCMをはさんで入る特別なカットシーンで非常に少ない。
・カブセセル
トレス線がかすれているとかペイント色ミスを修正するために上に重ねるセル。
・版権セル
放送、上映には使用されないが、著作権元から権利を買い取り宣伝等用に作成したもの。
・アバンタイトル
アニメにはオープニングテーマの前に挿入される映像が多いがそのこと。プロローグ。
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